財政金融委員会・第6号

【質疑事項】
1.少子高齢社会における税収構造について
2.郵政民営化の財政投融資の民営化について
3.政府系金融機関の統廃合について<>○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。今日はありがとうございます。
まず、私の方からは、少子高齢社会における歳出増に対応してどのような税収構造を持っていくべきなのかというあるべき税構造につきましては、まずもってで きるだけ早く国民にお示しすることが大事であろうかというふうに思いますとともに、その議論は先ほどございましたのでそこは省かせていただきますけれど も。
もうひとつ、やはり総理は、改革なくして成長なしと、こうやってこられました。正にこの次が、成長なくしては財政再建もないと、こういうことだろうかと思います。
そういう意味では、この自然増収、景気の拡大を維持することによって増収を、自然増収、税の増収を図っていくと、自然増を図っていくということで財政再建 を進めるという側面も当然大事になってくるわけでありますけれども、今度のこの平成17年度予算も含めまして、総理の成長政策、どうやってこの成長なくし て財政再建なしというその成長の部分、コアの部分を是非御所見をお伺いできればと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 確かに、経 済成長なくして財政再建なしというのも言えると思います。このままマイナス成長で財政再建できるかというと、そうは思っておりません。だからこそ、この厳 しい財政状況を勘案しながら、ある程度国債の発行もせざるを得ないという状況であると。
さらに、今後の将来を展望すれば、このような財政赤字を 解消していくためにも、経済成長を促すような改革はどうかというと、今ようやく税収も前年度に比べて上がってきたわけです。本来、この税収が上がってきた んだから、これだけ景気が良くないときにはもっと公共事業を増やせ、減税をしろと、この定率減税縮小なんかとんでもないというのが今までの普通の議論でし た。
今回、そういう税収が上がって、なおかつ景気が本格的に回復しておりませんが、国債の発行も削減できた、抑制できたと、前年度より減らし た。なおかつ公共事業も減らしたと。そして、なおかつこの定率減税も縮小をしたと。今までとは違った手法を行って、これから、そういう状況にもかかわらず 景気は上向くと見ているんです。これ、今までのやっぱり、税収増があったらばもっと事業を増やせという状況とは違いますね。その点はやっぱり今までの手法 の反省からもきているんだと思います。
今後、私どもとしては、財政健全化というものは大事でありますが、同時に経済成長をにらんでいくと。増税 も経済成長にはマイナスであります。歳出削減も経済成長だけを考えればマイナスであります。しかし、経済成長だけを見ると、財政、現在の財政状況を見ると どうなんだと。現在だけの経済成長だけを考えていいんじゃありません。将来持続的な経済成長を目指しているわけですから、財政赤字を拡大していくというの は、当面経済成長プラスになっても将来大きな禍根を残すから、これ両にらみでなければいけないという点が極めて難しい道であると私どもは覚悟しておりま す。

○西田まこと君 もうひとつ、先ほど総理もちょっとおっしゃいましたけれども、郵政民営化の根本には財政投融資を民営化する、すなわ ち、国民の資金を、その使途を市場を通して民間で決めていくという仕組みをつくっていこうというその本丸である郵政民営化の問題。さらに、そこを推し進め ていきますと、今検討されているようでございますけれども、政府系の旧金融機関、これを統廃合していくということにも当然ぶつかっていく問題であろうかと 思っております。
その際にやや懸念されることですので御確認でございますけれども、この財政投融資の民営化というものを進めていくときに、なか なか顕在化してこなかったある意味で隠れた赤字というんでしょうか、そうしたものが顕在化し、国民の負担にもしつながっていってしまうんであれば、これ は、まあ実際そういう例が確かに、例えば国鉄の民営化という問題1つ取ってもいまだに長期債務として残っているわけでございますが、この財投解体とあえて 言わせていただきますけれども、財政投融資の民営化を進めていくときのその後の国民負担、ここをどういうふうに考えていくのか。増やしてはいけないと思い ますけれども、どういう意味で、どういう形でその進めていくのかという、この財投解体後の国民負担について総理の御所見をお伺いしたいと思います。

○ 内閣総理大臣(小泉純一郎君) 財政投融資制度は、やっぱり郵便貯金の金、簡保の金を使いながら必要なところに投資、融資していくんだということで、今 後、今までの日本の経済状況を見れば、まだ民間企業の役割がそんなに大きくなかったとき、政府が主導して発揮しなきゃならないということを考えれば有効な 面も多々あったと思います。しかし、それに慣れて、民間ができる分野まで果たして、国民が必要としているから、お金があるから、政府で民間ができる仕事ま でやっていいのかということではないというのが今回の行財政改革の1つの大きな骨子になっております。
現に、政府系金融機関1つ取ってみても、 根強い反対があるのは承知しております。これは民間がやらないから政府でやっているんじゃないか、それが何で悪いんだろうかと。国民の必要なところを民間 がやってくれればいいんだけれども、今の政府系金融機関は全部必要だという議論が根強いことも承知しております。
しかし、住宅金融公庫1つ取っ てみても、私が住宅金融公庫、これは民間でできるんじゃないかと言ったときも強い反対がありました。しかし、いざやってみたらできちゃったんですね。民間 なんかこんな商品なんかできるわけないと。民間の方が住宅金融公庫よりもいい商品を出し出している。ああ、これはもう、廃止はもう何にも問題ないなという 状況になってきました。
これは、廃止しなかったら毎年毎年、数千億円の税負担をして、民間がやらないからということで住宅ローン組んでいたんで す。なぜ民間がやらないからと。それは住宅金融公庫、政府系の金融機関の方が有利だからです。だれだって国民は、民間よりも低い金利で貸してくれるんなら そっち行きますよ。
しかし、それは何でそういうことができるのかと。それは採算取れなくてもいいと。これは民間できないことをやっている。国民 の所得のそれほど高くない人に住宅ローンを提供しているんだからある程度赤字は当たり前じゃないかと、どこで負担のむのかと。結局、郵便貯金等の負担させ るわけにいきませんから、国民全体の税金で負担していたわけです。これは特殊法人、結構あるわけでしょう。そういうことをいつまでも民間ができないから政 府でやるんだと。
確かに、国民、融資を受ける人は助かりますよ。しかし、その採算を考えてだれが負担するのかというと、融資を受けていない人 の、国民全体の税金を負担しないと住宅金融公庫はもたなかったわけですね。今それが廃止して、もう民間でやるようになった。過去の清算分はやっぱり税金で 負担しなきゃできませんよ。これから政府系金融機関にしても民営化していけば、政府が保証した分はある程度国民が負担していかなきゃなりませんね。しか し、将来、長い目で見れば、そのような今まで成長はしなくても国民に必要だという分野に金を付けられたのが、民間になればやっぱり成長分野に投資しないと 経済は活性しない。それを必死になって探すわけですから、収益を上げるために。それがまた税収に跳ね返ってくる、国民負担の方は少なくなる、これは財政健 全化に役立つ。長い目で見れば、やはり民間にできるものは民間にやってもらった方がはるかに今後の経済活性化の面においてプラスになると、それがやっぱり 行財政改革の本旨であります。

○西田まこと君 今種々、御趣旨はよく分かりましたけれども、併せて申し上げますと、あえてもうひとつだけ お聞きしますと、民間にできることは民間でということなんですが、当然できないこともあるので、それは残る分も当然あるわけでございますけれども、この統 廃合、政府系金融機関はしていく際に、先ほど申し上げたのは、結果的に、統廃合を進めた結果として、国民の実質的な負担がかえって大きく増えてしまうよう なことがもしあるような統廃合の仕方というのは、果たしてこの小さな政府を前提とした民間の経済の活性化という視点から見た場合にどうなんだろうかという ようなちょっと疑問を感じておりまして、そこを最後、総理に御質問したいと思います。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 今の議論はこれか らも強いと思いますよ。民間がやらないことをやっているのに何が悪いと。それは私は、政策投資銀行等ひとつ取ってみても、果たして本当に民間じゃできない のかと、民間でもできる分野があるのではないかという、これひとつ取ってみても反対が強いですよ。だから、今後秋以降、今ある現存の政策金融機関は本当に 全部必要なのかとよく検証して、統合ができるか、あるいは存続が必要か、廃止できるかと、よく見極めて、民間にできる部分はできるだけ民間にやってもらう というようなことが必要ではないか。
確かに、今まで民間よりも有利な条件でお金を貸してくれた、それがなくなるという立場に立った人はこれは新 たな負担と感じるかもしれませんが、国民全体の、経済全体の活性化を考えれば、これも必要な政府の関与は残しておきながら、民間にできることは撤退してい くという方向は取っていかなきゃならないではないかなと思っております。

○西田まこと君 ありがとうございました。