財政金融委員会・第17号 2005-08-02

【質疑事項】
1.今回の立法過程での苦労した点について
2.第5条第2号の「十分な説明」の中身について
3.第5条第2号の銀行側判断に対しての被害者側の相談窓口について
4.盗難通帳の対面取引やインターネットバンキング取引の被害問題対策について<>○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。
まず初めに、限られた時間でございますので、今回の立法の過程で特に苦労をされた点につきまして発議者にお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(石井啓一君) 近年、偽造あるいは盗難キャッシュカードによる被害が急増して社会的な問題になっているわけですけれども、これは先ほど、冒頭、説明がございましたとおり、金融機関が脆弱なシステムを放置しているということが背景にあったにもかかわらず、これまでの被害者への対応というのは多くのケースがほとんど補償されないということでございました。私どもとしては、これは放置できない問題だということで、西田委員と御一緒にこの検討をさせていただいたところでございますけれども。
苦労をした点といいますか、苦心をいたしました点は、やはり現実に即応してこの法律がきちんと機能するということが非常に重要なことだということで、具体的に申し上げれば、被害者に対して円滑かつ迅速に補償がされるということが重要なわけでございまして、いたずらに裁判の方に持っていかないということから、この法律に基づいて被害補償がされるということについては、やはり過失あるいは重過失の内容なり、具体的な事例を明らかにすることが必要だろうということで、これは検討を重ねました。結果的には法律の中に盛り込むことはできませんでしたけれども、法律の趣旨説明の中に提出者としての考え方ということで述べさせていただいたところでございます。
また、被害者の補償についても、特に盗難カードによる被害で過失があるケースについても合理的な範囲内でなるべく補償がされる、割合を高めるということで工夫をさせていただいたところでございます。
さらに、高齢者や社会的弱者に対する配慮、また、特に盗難カードの場合、成り済ましの被害の防止策、あるいは本日も御議論になりましたけど、銀行での窓口の取引ですとかインターネットによる被害、こういったことについても今後の検討課題として位置付けると、こういったことについて検討を重ねさせていただいたところでございます。

○西田まこと君 この法第5条第2号のところでございますけれども、銀行から被害補償を受ける場合に3つの要件がいずれも該当しなければならないということで、一言で言えば、銀行にしっかり届け出て、そして十分な説明をしなければならないと。特に第2号のところにそのような規定がなされているわけでございますけれども、ここは実際に被害に遭って、もういろんな意味で気持ちも不安定な状態の中で、銀行に対して十分な説明といった場合に、この十分な説明がどのぐらい十分かということが被害者の方にとっては大変に懸念をされているところであります。すなわち、自分のプライバシーも含めてすべてをさらけ出すことが十分な説明なのかということに対して懸念を持っておられる方も随分いらっしゃいますので、この十分な説明の中身について、まずお聞きしたいと思います。
またさらに、銀行が十分な説明を行ったかどうかということを判断をすることになるわけですけれども、銀行からすればそれは十分じゃないと、もっとやってもらわなきゃいけないのに十分に説明されなかったということを盾にして被害補償を渋るというようなことがあってはならないわけでありますし、仮に銀行がそのような判断をした場合に、その被害者の方がどこに駆け込んでいくのか、その苦情をですね。今、銀行よろず窓口とかありますけれども、なかなか、これやはり銀行側の存在で、被害者、預金者にとっては十分な中立性というものが保たれてないんじゃないかと、こういう御懸念もあるわけでございまして、2つお聞きしたいと思います。
この第5条第2号の「十分な説明」の中身、そしてそれに納得できなかった場合に被害者の方が駆け込むべき場所、機能、これについてお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(石井啓一君) 十分な説明といいますのは、預金者が認識しております盗取に関する状況について一般的、客観的に十分な説明が行われるということでございまして、どの程度の説明が行われるかということはケース・バイ・ケースでありますけれども、誠実に説明をしていただいてできる限りの情報提供を行っている、その程度の説明が行われることが重要だというふうに考えています。すなわち、預金者の心身の状況や置かれた状況にかかわらず、一定の水準の説明を求めるということではなくて、あくまでもその被害者の方の置かれた状況に応じて十分な対応をされているか、説明をされているかということで判断されるものというふうに考えております。
プライバシーの問題で申し上げれば、これ、プライバシーについて一切答えなくてはいいということではございませんけれども、例えば盗取されるに至ったそのポイントのことに関したことについては、金融機関側も個人情報保護ということを十分説明した上で誠実にお答えしていただくということはございますけれども、ただ、とはいえ、プライバシーに関する状況、そのすべて話さなければいけないということではございませんので、これはおのずからその程度が決まってくるというふうに思っております。
こういった趣旨を踏まえて、金融機関におきましても適切な対応が行われるよう求めていきたいと思っておりますので、2番目の御質問でありますけれども、銀行が補償を渋るために何かその十分な説明のハードルを上げるというようなことは行われてはならないことだというふうに思いますが、それに似たような状況が万が一起こるようなことがあれば、金融庁の方でも今金融相談室というのも設けておるようで、金融に係るあらゆる事項に関する相談を受けるような体制が取られているようでございますから、そういったところに御相談をしていただくのがよろしいかと思います。

○西田まこと君 是非しっかりとした対応をお願いしたいと思います。
そして最後に、附則第3条、検討規定におきまして、この法律の施行後2年をめどとして検討が加えられるということでございますけれども、この2年後の見直しの中身でございますが、この中には盗難通帳あるいはインターネットバンク、先ほど御指摘がございましたが、こうしたことの被害補償も含まれているのかどうか。また、衆議院におきましては、通帳を用いた対面の取引、インターネットバンキングについて速やかに検討する旨の附帯決議がなされたと承知しておりますが、その考え方につきまして、最後、お聞かせいただきたいと思います。

○衆議院議員(佐藤茂樹君) 委員御指摘のとおり、附則第3条におきまして検討規定を設けさせていただいたところでございます。その趣旨は、附則第3条のこの検討規定に基づきまして預金者の一層の保護を図るという、そういう観点から、どのようなことについて検討を行うかについては、その時点におけるカード等を用いて行われる機械式預貯金払戻し等を取り巻く状況の変化及びこの法律の実施状況等から適切に判断されるべきものであると我々は考えておりますけれども、先ほど来御議論がありましたように、いわゆるこの盗難通帳と言われるような通帳を用いた対面の取引、さらにはインターネットバンキングに係るこの被害の救済というのは私どもも大変重要な問題と考えておりまして、当然ながらこの検討対象になり得るものと、そのように私どもは考えている次第でございます。
その附帯決議、その附則とともに、あえてその附帯決議の点でございますけれども、これらの問題の重要性にかんがみまして、これらの防止策及び預貯金者の保護の在り方を検討する旨をより明らかにするために、実は検討段階から私ども公明党の主張も反映させていただきまして、与党として附帯決議の案文を作成するに当たりまして、これらの問題について検討することなどを盛り込んだところであります。
本日、実は衆議院の財務金融委員会におきまして誤解を招くような発言もあったようでございますので、念のためこの附帯決議ができる経緯につきまして答弁をさせていただきます。