郵政特・第3号 2005-10-13
【質疑事項】
1.郵政改革の次の構造改革について
2.改革に伴う痛み・リスクを最小限にする方策の準備について
3.改革を継続する為の条件とは
4.財投対象機関等の不良債権が表面化するリスクの未然防止策について
5.民営郵貯・民営簡保の経営節度について
6.民営化委員会の会議等の公開基準について
○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。
午前中の山口議員に続きまして、関連した質問をさせていただきたいと思います。
今回のこの郵政民営化関連6法案の位置付けでございますけれども、私自身は、これを郵政公社を単に株式会社化することの法案であるというふうには思っておりません。むしろ、公益を維持しつつ、郵政公社を採算の取れる事業体に変えていく、そして、当然のことながらでございますけれども、公社をそうした民間事業体に変えていくプロセスの移行期間におきましては、様々なリスクというものも生じることが可能性としてはあるわけでございまして、その意味ではこの移行期間におけるリスクを最小化していく、そのための法案がこの郵政関連6法案であると私は思っておるわけでございます。
そういう意味では、この移行期間においてリスクを最小化するということは、この郵政改革のみならず、これからの構造改革全般にわたってとりわけ重要な視点ではないかということで、私は今日質問させていただきたいと思っております。
まず初めに、総理は、ずっとこの郵政改革というのは、午前中もお話ございましたけれども、構造改革の第一歩であると、改革の第一歩であり、同時並行的に財投、財政改革も含めて様々な多岐にわたる改革を進めていくんだという話を再三されているわけでございます。
多岐にわたるということで、いっぱいこれから日本が抱えて、解決していかなければならない構造問題というのがあるわけでございますけれども、とりわけ今の時点で総理がお考えになっておられるこの優先順位の高い改革、構造改革、どの改革が最も優先順位が、この郵政改革を第一歩として、次に来る改革として大事なのかとお考えになっておられるのかということをまずお聞きしたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 最大の眼目は経済活性化ですから、その経済活性化の手段として郵政民営化は不可欠であると。そして、民間にできることは民間に、地方にできることは地方にという方針を掲げてこの4年間政権を担当してきた者として、今後、更にこの郵政以外にも民間にゆだねられる分野はたくさんあるであろうと。今まで公共的な仕事は主に役所、公務員が担っておりましたけれども、公共的な仕事でも民間企業なり民間の皆さんができるんだったらばどんどんやってもらうような環境を整備していきたい。
そして、地方にできることは地方にという中で、その一つの手段として、補助金の削減と税源の移譲と交付税の見直しという三位一体の改革。これは、おおむね四兆円規模の補助金の削減と3兆円の税源移譲等、今実行段階に来ておりますので、年末にはその具体的な数字を示していかなきゃならないと思っております。
さらに、歳出、歳入、これを見直すということは、できるだけ国債に依存することなく財政状況を改善していく方策として財政の問題は極めて重要であります。
さらに、社会保障を展望しますと、年金、医療、介護、重要だからこそ与野党が国会に衆参一緒の協議会をつくったわけでありまして、こういう将来の社会保障を展望した改革も必要だと思います。
これからもろもろの改革、止めることなく進めていかなきゃなりませんが、地域の活性化におきましても、地域の構造特区、あるいは規制改革にしてもまだまだ今の状況から改革しなきゃならない分野がたくさんあると思います。
要は、余り政府があれこれ言わなくても、民間人なり民間企業なり地域が自主的に自発的に、自分たちの町は自分たちがつくるんだと、自分たちの企業は自分たちが発展させていくんだと、そして自らの創意工夫によって新しい将来の展望を開くという、個人、企業、地域、そういう方々が、やればできるという自信を持っていろいろな問題に取り組むことができる環境をつくることが政治として一番大きな役割だと思っております。そういう中での、三位一体改革にしても公務員改革にしても社会保障改革にしても、その手段であるということを認識しながら多くの問題に取り組んでいかなければならないと思っております。
○西田まこと君 ありがとうございます。
この改革というのは当然すべてバラ色というわけにはならないこともあるわけでありまして、改革には当然のことながら痛みあるいはリスクというものが伴うことは覚悟しなければ各改革も進められない。しかしながら、この痛みを最小限化していくというような事前に準備をしながら改革もしていくという、こういうことも大事になってくると思いますけれども、この改革に伴う痛みを最小限化していくということにつきまして、総理のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 現状維持ということは、その現在の状況に慣れた方にとっては一番いいわけですね。郵政公社一つ取っても、今のままがいいと、民営化したら仕事の対応も違う、あるいは扱う商品も違う、サービスも違う、これに合わせるというのは痛みですよ、苦痛ですね。しかし、新しい時代に対応するためには、今のままでやっていてもつかどうかということから、郵政民営化一つ取っても、恐らく郵政公社の皆さんにとってはある面痛みが伴うものだと思っております。
同時に、あらゆる分野におきましても、全部が賛成するものはないと思いますね。新しい時代に、規制が緩和されて新しい人が入ってくる、自分たちのやっていた仕事が、ほかの企業が入ってくる。自分の仕事が奪われるという危機感を持って対応するというのは、ある面においては痛みを覚悟して努力をしなきゃいかぬと。地域においても、いろいろな新しい分野の人が入ってこないと地域は活性化しないというような状況だと、今までだれも入ってこなくてまあ何とかやれた人にとってみれば、また激しい競争をしなきゃならないのかと、新しい商売を始めなきゃならないのかと。今までどおりでいかないとなったら、これは苦痛ですね。どこの分野にも私はあると思います。新しいことを手掛けようとすると慣れないことをしなきゃならないということは、そういうのは嫌だという人にとっては痛みであります。
しかし、時代は変わってまいります。また、科学の技術、パソコンにしてもあるいは機械を使うにしても、今まで慣れてない人にとっては習うのが苦痛かもしれないし、習うのが喜びと感ずる人もいるわけです。医療一つ取っても、触診、今まで使ったこともない機械を見ても、これが病気なのか、本当に悪い部分なのかいい部分なのか分からない先生もいるという。それを新しい機械を使って分かるようにするためには研修が必要だと、時代の進歩に合わせるように自分の技術も向上させていかなきゃならない。
しかし、そういう時代に合わせるような挑戦意欲というものを持ってもらわないと、なかなか現状維持ではやっていけないと。科学の進歩、技術の進歩。そして、今や日本は日本だけでやっていける状況じゃありません。習慣の違う、慣習の違う、また人種の違う人と同じ仕事をしなきゃならない。慣れない仕事もあるでしょう、慣れない付き合いもあるでしょう。そういうやっぱり時代に合わせたような変化を取り扱うといいますか、変化に対応していくためには、人によってそれが喜びであるという人と苦痛であるという人、両方いますから、今後、そういう面について両方をよく配慮しながら、改革にはどの分野においてもある程度痛みがあるということを知りつつ、前向きに取り組んでいく必要があると思います。
○西田まこと君 総理は、郵政民営化につきまして、改革の入口であるということもまた再三強調されてこられました。入口、構造改革の入口が郵政民営化ということであれば、当然その構造改革の出口というのもあるわけですけれども、この出口が何かはともかくとして、この構造改革そのものをこれからも、そういう意味では入口ですから出口に行くまで継続をして、改革を継続していかなければ最後ゴールには到達できないわけであります。
この構造改革を最後ゴールまでやり遂げるための条件というものは何だと総理はお考えでしょうか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 一番大事なのは、やっぱり個人個人の意欲を引き出すような社会をつくることだと思いますね。創意工夫を発揮しやすい、自分の努力が報われる、そういう社会をつくるのが一番大事だと思います。
どの国においても、どの社会においても、まず一番基本は自分でできることは自分でやろうと、こういう自助努力を持たない社会というのは、私は発展しないと思います。人は、自助努力を持った、ああ、この人だったら投資していいなと、この企業だったらお金を貸してもいいな、将来性を見るからです。努力する力を見るわけです。ああ、幾らお金を貸しても援助してもやる気がない、そういうところに一体だれが援助の手を差し伸べるか。国でもそうですね。自分たちの国は自分たちでつくり上げようとする意欲のない国によその国が援助なんかするでしょうか。やっぱり今の援助の方法は、その国が自立しやすいような援助を考えていくと。
お金というのは、使えばすぐなくなっちゃいます。お金を使って、自分たちでお金を稼ぐ方法をどうやって考えてもらうのかという援助じゃないと生きてこない。それは、自分たち、お金もらうだけで、お金をつくる努力なんかしませんよと。自分たちで生活の手段を考える、考えてくれというのも大事でしょうけれども、まず一番大事は、自分たちの社会は、自分たちの国は、自分たちの生活は自分たちでまず努力するんだという意欲を持つような、そういう社会にしていかないとどの国にも発展しないと思います。そこで、どうしても自分で助けることではできない、お互いの助けを必要とする、あるいは一分野では無理で公的な支援を必要とする、だから、自助と共助と公助。これは基本だと思いますけれども、まず、自らを自分の力で立ち上げようと、努力しようとする意欲のない国に対して、社会に対して、企業に対して、個人に対して幾ら支援してもそれはなかなか発展しないんじゃないでしょうか。
ですから、創意工夫。民間経済の発展というのは、民間は、国が、役所が、公務員があれやれ、これやれと言わなくて自分たちで考える、自分たちで国民に売れる商品を考える、自分たちで国民に必要としているサービスを考える。そこで収益を上げて税収を納めてくれるから市場経済、自由主義経済が発展してきた。何でも国が押し付けて、やれと、あれやれ、これやれ、これ以外やっちゃいかぬ、そういう国は発展しないというのは歴史が証明している。
そういう、個人でも企業でも地域でも、自分たちの町は自分たちでおこそうという、そういうやる意欲、自信、勇気を持てるような社会にすることが私は国家の発展にとって、国民生活を豊かにする上において一番重要じゃないかなと思っております。足らざるところは社会全体で支援の手を差し伸べようと、これが基本ではないかなと思っております。
○西田まこと君 改革を進めていくときに必ず伴うリスクや痛みをやっぱり最小限化していくという仕組みを入れながら改革をしていくということが私は大事だと思っております。
今回のこの郵政民営化につきましては、いろんな移行期間の間に、これから始まる、法案が通った後に始まるわけですけれども、いろんなリスクも当然勘案しながらこの法案ができているわけであります。
その中で、今日は私は2つだけ考え得るリスクとして御質問をさせていただきたいと思います。
1つは、この郵貯、簡保の資金が12年度までは預託制度を使って財投から特殊法人等の財投対象機関にお金が流れていたわけでありますけれども、政府保証が付いた郵貯、簡保のお金が財投を通じて融資をされていた、その融資先の対象機関が不良債権化した場合に、それが表面化するリスクがあるのかないのかということが1つ。
そしてもう1つは、やはり民営郵貯、民営簡保がまだ資金運用のノウハウがこれからという、そういう段階で、巨額な資金そして全国のネットワークという大きな強みを持つ中で、地域金融機関を始めとした民業に圧迫にならないかどうか。この2つのリスクにつきまして、残り時間、御質問をさせていただきたいと思います。
まず、1つ目の郵貯、簡保を資金源とした融資先の焦げ付きの問題、いわゆる財投対象機関の不良債権のリスクということにつきまして、谷垣大臣に御質問させていただきたいと思います。
これはもう言うまでもなく、平成12年度に財投改革がございまして、預託金制度なくなっているわけでございますけれども、またその預託金は2007年度までに戻ってくるということで、今2005年度ですからまだ2年あるわけであります。その期間に万が一、これから財投機関、整理縮小していくという中で、そのプロセスの中で財投対象機関が不良債権化した、あるいは何らかの形で清算をしなければならなくなったというときには、郵貯や簡保の契約者あるいは預金者の利子が減るということではないわけですね、政府保証ですから。そこは元利合計政府が保証する、すなわち国が保証する、すなわち国民の税金でそれはきちっと支払われるわけであります。となると、仮に財投対象機関が整理縮小を通じて清算される、そして不良債権化が表面化するという場合には、国がその分債務を抱えていくということになるわけであります。
ですから、これからの改革、小さな政府、小さな官を目指していくという中で、当然のことながら財投対象機関の整理縮小ということをしていかなければならないわけでありますけれども、その改革のプロセスの中で、こうした財投対象機関の清算に伴って不良債権が表面化して、それが国が抱える債務として表面化する、これはもうできる限り最小化しなければならない。また、仮にそうなった場合にどういう清算の方法をするのか。できる限り国民に対する負担を小さくして、そしてこの財投対象機関の整理もしていかなきゃいけない。大変に難しい作業ではございますけれども、これは是非とも必要であると思いますが、大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、西田委員おっしゃいましたように、かつては郵貯で集めていただいたお金、全額財投に預託をしていただくということがございましたので、たくさん集まってきますので、ついつい財投の方が肥大化をしているんじゃないかと、こういう御批判がありまして、平成12年度まではそういう制度でしたけれども、13年度からは御指摘のように改めたわけでございます。そういう中で、その財投も真に必要なものだけに絞っていこうということで、最盛期の現在4割ぐらいの規模に縮小をしてまいりました。
そういう過程の中で、民業補完性とかあるいは償還確実性についても見直してきて、委員のおっしゃる不良債権化するリスクを未然に防いでいこうというのは、一つはそういうところにあるわけでございます。
しかし、平成17年度、実際にじゃそういうものが、リスクが顕在化、顕在化といいますか、そのリスクをもうあらかじめ、何というんでしょうか、退治してしまおうというようなことも行っておりまして、平成17年度の財投計画の編成に当たりましては、財政審の財投分科会で、今おっしゃったようないわゆる財投不良債権論があるということも踏まえまして、民間準拠の財務諸表も参考にしながら、すべての財投事業について総点検を行いまして、そのようなリスクがあった住宅金融公庫あるいは都市再生機構、ここにつきましては事業の抜本的見直し等を行うことで将来の財務上の懸念を解消して財投事業全体としての健全性を確かなものにしたわけでございます。
こういうことをするためには、委員の御指摘のように、国民負担を極力軽減していくということが当然前提になければならないと考えておりまして、もちろんそういった財投機関の自助努力ということが前提になるわけですが、その上で業務からの撤退を含む抜本的な事業の見直しであるとか、それから撤退事業の経理の明確化、それから業務運営効率化や人員の削減、あるいは一般管理費の削減といった自助努力を担保するための経営改善計画を作ると、こういったことを実施することによりまして財政融資資金に対する償還確実性を高めることができるといった、最終的な国民負担を軽減していく財政融資資金の得べかりし利益の放棄が真に必要かつやむを得ないこと等々を条件を満たした上で透明性のある形で処理をしていこうと、こういうのが基本方針でございますが、そういう基本方針の下で、先ほどの平成17年度におきましてもその住宅金融公庫、都市再生機構についてそのような措置を行ったと、こういうことでございます。
○西田まこと君 今大臣からお話ございまして、自助努力ということを前提にこの住宅公庫また都市再生機構につきましては早期繰上償還というものを許可して、しかも本来であれば、この午前中、竹中大臣からもお話ございましたが、税金の投入はありませんけれども、本来、その国が得るべき2兆円に上る逸失利益、利益を失ってしまったという、そういうことが実際にはこの損切りをする、まあ早めにリスクが表面化する前に損切りをすることによって、結果として出てきたのがこの本来2兆円国に入るべきものが入らなかったということが事実としてあるわけでございます。
そうした措置の前提は自助努力というお話を今大臣がされたわけでありますけれども、しかしながらこの住宅公庫、都市再生機構の役職者の方の退職金を見ますと、この今の措置は昨年の12月に決定をされたわけでありますが、今年の3月31日付けで役職者の方で辞められておられる方がいらっしゃるわけですが、この資料を取り寄せて算式を見ますと、役職者の方、その前と、そうした2兆円、本来国に入るべきお金が入らなかったにもかかわらず、その今年の3月31日付けでお辞めになった方はそれまでと全く同じ退職金をもらっている。しかも、この退職金の算定基準には業績勘案率というのを掛けることになっているわけでありますけれども、業績勘案率は0から2までの間で委員会が決定をして退職金をはじいていくという形の計算式になっているわけでありますが、これが全く同じ1になっておりまして、自助努力が果たしてどこまであるのかということを大変に私は疑問に思うところもあるわけでございますけれども。
こうしたこの、谷垣大臣にお聞きしますけれども、損失が仮に発生した場合、今の場合で言えば、2兆円というのは損失が、具体的に税金が出ていったわけじゃありませんけれども、逸失利益として、失った利益として2兆円という額があるわけです。こうした損失がもし発生した場合、今後のいろんな財投対象機関の整理縮小の中で発生した場合の責任というものについてはどう考えたらよろしいんでしょうか。谷垣大臣、お願いいたします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今委員がおっしゃいましたように、現実に税を投入したというわけではございませんけれども、得べかりし利益というものが確かに失われている、そういうことを引換えに業務の健全性を確保したということでございますけれども、先ほど申し上げたような自助努力を前提とし、やっぱり自助努力というものがあくまで前提になければならないというふうに私どもは考えております。そうして、先ほども申した幾つか、4つほど条件を挙げましたけれども、そういう条件はやっぱり厳格に適用していくということが必要ではないかというふうに考えているところでございます。
○西田まこと君 時間に限りがございますので、2つ目のリスク、いわゆる民業圧迫ということにつきまして竹中大臣にお聞きしたいと思います。
この郵貯、簡保が民営化されまして巨大な金融機関が誕生するわけでありますけれども、そうしますと巨額の資金と先ほど申し上げた全国ネットワークという大変な強みを持った言わば、まあ表現が適切かは分かりませんが、マンモスのような存在の金融機関が誕生するわけであります。
このマンモスが自然界のルールを守ってきちっと活躍してもらう分にはもちろん構わないんですが、万が一にも自然界のルールを無視したり、あるいは本来、食料事情、収益力に見合って小型化すべきところがその強みの、2つの強みをもって地域金融機関を食い荒らすようなことがあっては、これはあってはならないということで、この郵政民営化関連法案というのはできているわけでございます。
事前に分割する、あるいは縮小するというのは、言うほど簡単なことではなくて、地域別なのか業種別なのか商品別なのか、あるいは政府系金融機関の事業を継承するのか、いろんな選択肢があるわけで、事前に答えがあるものではないと私は思っておるわけで、それでこの法案には賛成しておるわけではございますけれども。
であるならば、なおさらのこと大事なことは、一つは、この新たに誕生する民営郵貯、民営簡保の内部における経営の節度ということが大変重要になるというふうに私は思っております。量的な拡大をいたずらに求めるのではなくて、質的な向上を求めていく、追求していく。そういう意味での内部の経営節度、具体的には監査役制度、これを単に事後的な経理的な監査だけではなくて、フィージビリティースタディーを含めたそういう監査、事業監査も含めた内部ガバナンス、これをしっかりしていく。また、新しい経営陣も民間出身の人で固めていく。こうした内部の経営節度というものが大変重要になってくるんではないかと思っております。
もう一つは、民営化委員会がやはり大変重要になってくるわけでありまして、この民営化委員会の特に外部から監視をしていくということにおきましては、具体的にこれはやはり全面的な情報公開ということを是非ともしていただきたい。これは政府税調でも例えばインターネットでの審議中継をしたり、あるいは個人名、発言者名を記した詳細な議事録を公開をしたり、こうした有権者の皆様が本当によく見ていけるような、そういう外部監視ということも必要ではないかと思っております。
竹中大臣には、まず最初に、この内部の経営節度ということで具体的にこの監査役制度の活用、また新しい経営陣の構成、これにつきましてお聞きして、その後お時間があれば今申し上げた民営化委員会につきましての情報公開についてお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(竹中平蔵君) 民営化によって経営の自由度を発揮していただきたい、本当に思い切ってやっていただきたいわけでございますけれども、やはり自由の裏側には必ずやはり節度というものが伴っていかなければいけない。経営者の節度が求められるということに加えまして、節度をきちっと守っていただくような仕組みを作っておくということが同時に必要だと思っております。
まず第一のその内部の体制でございますが、これは経営の体制でございますので、新しいその経営陣が決まってくるような段階でしっかりとまず経営者にお考えいただく必要があろうかと思っております。しっかりとした監査役を置かなければいけないということもそのとおりだと思いますし、場合によっては委員会等設置会社のようなものが良いのかどうなのか、そういったことも含めて是非前向きにいろんなことを検討していただきたいと思っております。
そして、何よりもまあ節度という観点からいきますと、これ例えば銀行法、保険業法の適用を受けますので、非常に厳しい一般的な検査・監督を受けるということを、これは信用リスクをしっかり管理しているのか等々含めまして、無理なビジネスしていないかというようなことについて厳しい検査・監督の対象になってまいりますので、そういった観点もまた節度をしっかりと保っていただくためには非常に重要な役割を果たすと思っております。
民営化委員会でございますが、これが大変重要な役割を果たすという御指摘もそのとおりだと思っております。民営化委員会についてもしっかりとした独立性、専門性のある方を是非選任したいと思っておりますけれども、その情報の公開についてお尋ねがございましたので、意見を述べたときはそれを公開するということを法律上、公表するということを法律上義務付けております。さらには、これは民営化委員会の中で御検討いただくことではございますけれども、やはり何らかのガイドラインを作るということも重要になってくると思いますし、そのような方向でしっかりと関与をしていきたいと思っております。
○西田まこと君 終わります。どうもありがとうございました。