財政金融委員会・7号 2007-03-23
【質疑事項】
議題 特別会計法案
「分配の公正」から見た特別会計改革について
1.事業仕分けについて
2.特別会計も含めた中央政府全体での歳出総点検について
3.外為特会について
○委員長(家西悟君) ただいまより財政金融委員会を開会いたします。
○委員長(家西悟君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
特別会計に関する法律案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として財務省主計局次長松元崇君外九名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(家西悟君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
特別会計に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として独立行政法人都市再生機構理事長小野邦久君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(家西悟君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(家西悟君) 特別会計に関する法律案を議題といたします。
本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
質疑のある方は順次御発言願います。
○西田まこと君 公明党の西田実仁でございます。
今日、お昼どきにこうした質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。また、大臣、副大臣におかれましても、大変にありがとうございます。
特別会計に関してまず私の方から申し上げたいのは、特別会計の今回の整理合理化につきましては、予算の効率化とスリム化を目指して財政再建に貢献することを目標としている、このこと自体に反対する人は多分いないんだと思うんですね。しかしながら、実際には、この一般会計、特別会計を含めて、国債、特に特例国債の世話にはなっていないなどを理由にして個別のいろんな反対論が噴出する可能性もまたあるんではないかというふうに思っております。しかし、それは、そうしたことは誤りであるということを、お手元にお配りさせていただきましたけれども、逆さ読みのプライマリーバランスという、勝手に私が名前を付けておりますけれども、それを見ていただくと、そんな難しいことじゃないんですが、単純なことを組み替えただけなんですが、よくお分かりいただけるんじゃないかと思うんです。
〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕
プライマリーバランスの収支均衡というのは、国債費以外の歳出を租税及び印紙収入とその他収入で賄える状態を示している、これは定義がそうなっているわけであります。しかしながら、これ、前回の質疑の際にも御指摘させていただきましたけれども、いわゆるそうした状態というのは、よく昔言われた、ゾンビ企業なんて言われていましたけれども、それ並みの最悪な財務状況であるということもまた事実であり、健全な財政運営というのを考えるんであればプライマリーバランスの逆さ読みというのが正しいんではないかというふうに私は思っております。
通常の財政では、普通は、国債費は全額が租税及び印紙収入とその他の収入で最優先で支払われるべきだと思うんですね。家計において置き換えれば一番分かりやすいわけでありますが、家計においても、普通は住宅ローンとかいろんな個別のローン、収入があったらまずそれを返すというのが最優先されて、残ったものでどうやりくりするかと普通の一般の人たち、生活者というのは考えているわけでございます。
そういうふうに考えますと、租税等から国債費を差し引いて残った租税等、これが地方交付税やまた一般歳出の財源となると考えればいいわけでありまして、それでも不足する分は公債金を充てていくと。十九年度でいいますと二十五・四三兆円、二十五兆四千三百億円というふうになろうかと思います。
〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
しかしながら、財政法におきまして建設国債の発行は認められております。十九年度でいえば五兆二千三百億円、これは財政法で認められておりますので、それを差し引いた額、すなわち一番下の行になりますけれども、二十兆二千億円、これが逆さ読みした場合のプライマリーバランスということになるんじゃないかと思うんですね。まず借金をきちっと返すと、残ったものの中から様々な歳出に充てていくというふうに、極めて常識的に考えますと、今、逆さ読みのプライマリーバランスは二十兆二千億円もあると。これはそんな難しいことを言うことでなく、特例国債の発行額が正にこの逆さ読みのプライマリーバランスということに当たるわけであります。
ここで注目すべきことは、国債費以外の歳出、十九年度でいいますと六十一兆九千百億円、下から五行目になりますけれども、六十一兆九千百億円のうち、租税等で賄われている一般会計の歳出は全体の六割弱、実額でいいますと三十六兆四千八百億円にすぎないということであります。十八年度を見ますと、国債費以外の歳出の五割前後しか租税等で必要財源が調達されていないと。こういうふうに見ますと、国債発行の担当官庁がどこであろうが、国の経費の半分近くは赤字国債で賄われているんだというふうな事実が浮かび上がってくるわけでありまして、財政再建に無罪の人間はいないというふうに申し上げなければならないと思います。
そういう意味では、今回の特別会計法において、資金的余裕があった場合には利益とか積立金を一般会計、歳入あるいは国債償還財源に繰り入れるというのはもう極めて当然、また正しい措置であるというふうに思います。
そこで、まずこうした特別会計、今後も継続的にこれからも改革をしていくわけでありますけれども、事業仕分という考え方についてお聞きしたいと思います。こうした国債償還をできるだけしていく、こうしたことを考えたときには、事業仕分ということがとても大事になってくるわけでありまして、昨年の行政改革推進法の審議の中でも、当時の担当大臣が、この事業仕分の具体的な作業は各改革を具体化する過程で行われるというような御答弁もございました。
しかしながら、現在までのところ、この特別会計改革においてそうした作業がどの程度行われてきたのか、よく不明なところがございます。また今後、不断に取り組むべきこの特別会計の改革に当たりましては、こうした事業仕分の作業が確実に実施されなければならない、また、その実施されている経過が広く国民に公開されなければならないと私どもは考えているわけでございますけれども、この事業仕分につきまして、また今後の取り組む決意等をお聞かせいただければと思います。
○副大臣(富田茂之君) 西田委員御指摘のとおり、行革推進法の制定に当たりましては、政府・与党におきまして、特別会計において経理される事務事業の必要性の有無や実施主体の在り方について、事務事業の内容及び性質に応じた分類整理等の仕分を踏まえた検討が行われたところであります。
具体的には、まず、事業の必要性の減じた特別会計は廃止する、次に、事業の必要性はあるが国が行う必要性が薄いものは民間化又は独立行政法人化する。一方、一般会計と区分経理する必要性の薄れた特別会計は一般会計化する、その上で、存続する特別会計につきましても事業類型が近似している場合には行政改革の効果を確実に出すことを前提に統合すると。こういった視点に立った徹底した見直しを行い、平成二十二年度までに、現行三十一ある会計を十七会計とすることとしました。本法案は、これを実施に移しているわけであります。
また、行革推進法におきましては、今後、特別会計改革を継続するに際し、引き続き事務及び事業の内容及び性質に応じた分類、整理等の仕分を踏まえた検討を行う旨の規定が盛り込まれております。
また、十九年度予算編成におきましても、各特別会計に属する個別の事務事業に関しましてちょっと若干例を挙げさせていただきますが、総合的雇用環境整備推進事業、これは労働保険特別会計で、十八年度では二十一億円出ておりました。次に環境対応型高効率エネルギーシステム導入補助事業、これは石油・エネルギー特別会計でありますが、十八年度で十億円。農産物等買入れ事業、これは食料安定供給特別会計で、十八年度で五億円出ておりましたが、これらにつきまして、その必要性にまでさかのぼった検討を行った上で廃止するなど、事業の仕分の趣旨にのっとった歳出改革に取り組んでいるところであります。
今後とも、行革推進法に規定する事業の仕分に係る考え方を踏まえつつ、特別会計改革を推進してまいりたいと考えております。
○西田まこと君 是非この事業仕分という手法をしっかりと特別会計の継続的な改革の中で確立をし、そして無駄な事業等はなくしていく、あるいは民間にできることは移していくということを今後も継続的に行い、またその過程そのものをしっかりと国民に広く公開をしていっていただきたいというふうに御要望申し上げたいと思います。
次に、一般会計と特別会計の話でよく出てくる話でありますけれども、一般会計の形骸化などということが言われるその象徴する数字として、表二「異様にすぎる特別会計の規模」という、よく取り上げられている数字でございます。一般会計と特別会計の歳出規模の比較ですけれども、この各会計間の複雑な取引のゆえに一般会計、特別会計を合計した全体像をつかむというのは大変に難しくなっているわけであります。
表二は、一般に利用されている財政統計を写したものでございます。重複差引き後の一般・特別会計歳出合計額は再差引き純計額となりまして、十九年度では二百八兆九千七百億円というふうになります。この純計額二百八兆円に占める特別会計の占める割合は、実に八三%にも達しているということがこの表を見てすぐに分かることであります。
これまでの特別会計の整理合理化等の効果によって特別会計間取引額は十九年度には六十兆円と、前年度当初予算の百十四兆円に比較すれば半減をしている。しかしながら、特別会計内の勘定間取引というのは、会計の統合などによって、十八年度の十二兆余りに比べれば二十六兆と、それ比較しますと倍増しているわけであります。全体的に見ますと、こうした特別会計の整理合理化によって特別会計歳出の二重計算などが整理され、全体としては更なる整理合理化も進んで、分かりやすい一般・特別会計の関係が今樹立されつつある過程であると私も思っているわけでございます。
そこで、しかしながら、今後更にこうした特別会計も含めた中央政府全体での歳出を総点検していくということのためには、特別会計も含めて費途別歳出に当たっては内訳がまず見られないということ、また目的別歳出については今この特別会計分はまだ作成をしていないということでございまして、今後こうした一般会計プラス特別会計の中央政府全体の歳出がどうなっているのかということをきちっと点検していくためには、そうしたことも整備を是非加速していただきたいというふうに思いますし、また、そうしたことがないと、何か一般会計で額が多いものだけどんどん削られていく対象になりがちと。社会保障なんというのはその被害者になることが多いんじゃないかというふうに思っておりまして、もっと全体像の中でどうなのかということを見極めるためにも、こうした目的別歳出、具体的に言えばこうした目的別歳出についても特別会計分もしっかり作成していくということが必要ではないかと思われますが、いかがでございましょうか。
○副大臣(富田茂之君) 御指摘のように、特別会計も含めた国全体の財政状況の把握に資するように、特別会計歳入歳出予算の総計及び純計について所管や主要な経費の別に区分した書類を参考資料として作成することは行革推進法第十九条第二項にも規定されており、私どもとしても必要なことと考えております。現在、平成二十年度予算からの実施に向けて、一般会計と特別会計を通じた主要経費概念の体系化等についての検討を行っているところであります。
いずれにしましても、どの歳出分野にも聖域を設けることなく改革に取り組んでいくことは当然であり、今後とも一般会計、特別会計にかかわらず、歳出全体の不断の見直しに努めてまいりたいと考えております。
○西田まこと君 是非、大変な作業だと思いますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。
続いて、外国為替資金特別会計につきましてお伺いをさせていただきたいと思います。
その問題意識は冒頭申し上げましたとおり、この厳しい財政の中で資金的な余裕が仮にあれば、国債償還財源に繰り入れたり、あるいは一般会計に繰り入れたりするということは今後更に行っていかなきゃいけないという中で、この外為特会について二、三確認をさせていただきたいと思います。もちろん、この外為特会につきましてはいろんな思惑とか投機ということもございますので、慎重に私も聞かなければならないというふうには承知をしておりますけれども、二、三不明なところがございますのでお聞きさせていただきたいと思います。
二〇〇七年二月末における日本の外貨準備高というのは九千五十億ドルを超えておりまして、円換算をしますと百兆円に上っているわけでございます。この外貨準備を保有しているのは政府であり、日本政府はこの外貨の管理運営を外国為替資金特別会計、外為特会にゆだねているわけでございます。
しかしながら、この財政再建という話の中で時々荒唐無稽な議論もございまして、百兆円も外貨準備があるんであれば、これを借金の返済に回したらどうだというような荒唐無稽な議論が時々見られるわけでございまして、まず最初に、こうした、まあ仮に財政再建に行き詰まったときに、この百兆円にも上る外貨準備に頼ることができるというような意見について、どのように反論なされるのかお聞きしたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) 外国為替資金特別会計は、外貨準備を保有し、為替相場の急激な変動の際に為替介入を行うために設けられている特別会計でございます。その資産は主に円売りドル買い介入に伴って取得した外貨となっておりまして、円を調達するために発行した政府短期証券を主な負債としております。この外為特会の政府短期証券の残高は、十七年度決算において約九十六兆円でございます。
この資産は、先ほど申しましたように、我が国通貨の安定を図る観点から、必要な場合に為替介入を実施する、そして円を対価とした外貨の売買を行う目的で保有しているものでございまして、したがいまして、国債償還に充てる目的で外貨を売却することは想定をしておりません。将来、必要に応じて、仮にドル売り円買いの為替介入を行った場合でも、それにより取得した円貨は、御指摘のとおり、外為特会の負債である政府短期証券の償還に充てる必要がございまして、直接国債償還に充てるということは適当でないと考えております。
○西田まこと君 正に、百兆円外貨準備高があるといっても、それはある意味でこの裏側には見合いで負債があると。為券を発行して調達しているということもあって、それを返していくということが基本であるということだと思うんですね。まあ、じゃ外為特会なるものはどういうふうな収支になっているのかといいますと、今はやりの言葉で言いますと、外為会計はいわゆるキャリートレードによって収益を上げるしかない状態になっているということは言えるんだろうと思います。
お手元に表三、表四でお示しをさせていただきました外為会計のPL又はBSを見ていただきますと一目瞭然でございまして、まずこの外為会計の本年度利益というのを見ていただきますと、十七年度決算額で二兆九千億、十八年度予定額で二兆九千億、十九年度予定額で二兆四千億と、これ三年を見ますと、この外為会計では年間三兆円近い利益を計上してきていると思われます。
運用収入は何によって得られているかというと、ほとんどすべて外貨準備として保有しているドル建て債券だと思われますけれども、金利上昇速度は長期債についてはなだらかで、円の対ドル相場も円安基調だったため評価損も出ないで相対的に高い米国の利回りを享受できたということによってこの運用収入は安定的に三兆、三兆六千、三兆七千と見込んでおられるようですけれども、運用収入が上がってきているということでございます。
しかし、ここで注目しなければならないのは借入金利子のところでございまして、支出面での借入金利子は、十七年度決算では七十六億円だったところが、十八年度から十九年度にかけましてこの借入金利子が急増をするという見込みが立てられております。すなわち、十八年度予定額では四千六百億円、十九年度予定額では一兆一千六百四億円と、十九年度にはついに一兆円の大台を超えて、十八年度と比較しても約七千億円の金利負担増となっております。
したがって、この外為会計においての損益計算書を見ますと、運用収入は、先ほど申し上げましたとおり、十九年度も三兆七千八百七十二億円と強含みを予定しているにもかかわらず、十九年度の本年度利益のところにありますとおり、二兆四千億と前年よりも五千億減少する予想、予定となっているわけでありまして、これは、いわゆるキャリートレードのメリットを少しずつ失いつつあるということを物語っているんだろうというふうに思うわけでございますけれども、この支出面での借入金利子が、見込み予定といたしましても一兆円を超えていくというような見込みになっているのはどういう背景があるんでしょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 外為特会の負債であります政府の短期証券は、円売り・ドル買い介入の際必要となる円を調達するために発行したものでございまして、その利払い費が外為特会の歳出の方に計上されております。
この利払い費については、そもそも、金利が景気動向や市場における需給関係等様々な要因で変動することから的確に見通しを立てることは困難でございますが、日本銀行のゼロ金利政策解除以降、金利上昇局面にあるということを踏まえまして、十九年度予算における政府短期証券の金利について、十八年度の予算において用いられた金利よりも高い金利を用いて積算をしているわけでございます。そのことから、政府短期証券に係る利払い費が十八年度に比べて増加したものでございます。
十九年度予算においては、短期証券の利払い費の積算に当たりまして〇・七五%を基準として計算を行っておりまして、十八年度の同じ基準〇・二五に比べて引き上げているわけでございますが、これは、予算編成時点までの直近一年間に上昇した政府短期証券の金利の上昇幅を加えることによってそういう結果になっているということでございます。
○西田まこと君 外為会計におきましては、そういう収支のところを見ますと随分変化が出てきているわけでございますが、もう一つ、次の表四の貸借対照表を見ていただきますとお分かりになると思いますけれども、平成十七年度には、本年度利益を、外国為替資金特別会計法第十三条の規定によって一兆六千二百二十億円を十八年度の一般会計の歳入に繰り入れ、残額一兆三千四百三十三億円を積立金として積み立てております。また、十八年度に生ずる本年度利益二兆九千八百三十一億円につきましては、特別会計に関する法律の規定により一兆三千五百四十一億円を積立金として積み立て、残額一兆六千二百九十億円を十九年度の一般会計の歳入に繰り入れるというふうな形になっております。
先ほど、冒頭、外貨準備が百兆円に上っていても、それが自由にじゃ百兆円がそのまま何か使えるのかというと、決してそういうことではないという御説明をいただきました。
じゃ、実際にどのぐらい自由に、自由にというか使えるのかと考えると、この積立金と本年度利益と称するものの半分ぐらい、平成十九年度で見ると十八兆円強ということに、過去の経緯で行きますと本年度利益の半分と積立金を合わせたものが自由になる、まあ自由になるというか外為特会として自由にできるお金なのではないかなというふうにも思うわけであります。
ここでまずお聞きしたいのは、この外貨準備百兆円を維持するためには見合いで百兆円の為券を発行しなきゃいけないと、つまり借金をしなければならないというのが基本的な仕組みになっていることを先ほど教えていただきました。
そうしますと、であるがゆえに、その百兆円あってもそれは自由に使えるわけではないと。その自由には使えない外貨準備を維持するために、ある意味で財政再建とは逆の行動、つまり国債残高の膨脹ということ、見合いであるわけですから、に走って、しかも自らも巨額の債務の金利負担、先ほどの借入金利子の上昇という話をいただきました。そうした債務の金利負担で外貨準備そのものの利回りも落ちているという、こういう状況をどのように見られるのか。つまり、外貨準備がどんどん介入等によって増えていく、その外貨準備を維持するということのために財政再建とは反対の行動である借金の膨脹というのを生んでいるという、そしてその膨脹による借入金利子が増えていくことによって外為特会そのものの収益力が落ちてきているということ、これについてどのような見解をお持ちか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) この外為の準備金につきましては、この為替相場の急激な変動の際に為替介入を行うというために設けられたものであるというのが根幹でございまして、それに伴いまして、このいろんなことを考えているわけでございまして、したがいまして、この短期証券を発行するということによって資金を獲得をしているわけでございますが、その辺も含めまして、今のような結論になっているわけでございます。
○西田まこと君 先ほど十七年度、十八年度の本年度利益の使い方、処分の仕方について、最初ちょっと触れさせていただきましたが、十七年度は外国為替資金特別会計法に基づいて利益が上がった分は積立金と一般会計に繰り入れていると。十八年度は根拠法は異なりますが、特別会計に関する法律に基づいて、同じようにやはり同じぐらいの率で積立金と一般会計の繰入れをしていると。根拠法は異なるんですけれども、この本年度利益の処分に関する処分結果に余り違いはないんですけれども、これは何かそういう意図しておられるのか、また根拠法が違っても本年度利益の処分の仕方をあえて同じような形を取る何か理由があるのか、これについてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
外国為替特別会計におきまして、積立金を積み立てることにつきましては、将来、国内金利が高くなり海外金利が安くなるという国内金利の逆転によりまして、外為特会が歳入不足に陥るおそれに備えるほか、外為特会の保有する外貨資産について円高に伴い発生する評価損の見合いの役割を果たしているということで認識いたしております。
この点について違いはないということでございますが、今回の特別会計法におきましては、積立金につきまして、一般的な規定といたしましてそれぞれ積立金についてどういったものが必要であるか、あるいはその翌年度におきまして必要な資金がどういった資金が必要であるかといったようなことを勘案いたしまして、その上で一般会計に繰り入れるという一般規定を設けたということでございます。
ですから、そういった形で、一般的な形としての規定は整備されたということでございますが、外為特会としての積立金の必要性ということについては従来と変わらないというふうに認識いたしております。
○西田まこと君 もう時間もないので私の方で申し上げますが、この積立金の目的というのは、今おっしゃったようにこれまでと変わらないと。将来の歳入不足に備えるということが一つ、そしてもう一つは外貨資産の評価損の見合いという、多分この二つをいろんな書類読むと書いてございますので、積立金はそういうために積んでおられるというふうに思います。
この外為特会における積立金は年々増えておりまして、お手元の表四見ていただいても分かるように、十七年度は十四兆、十八年度は十五兆、十九年度は十六兆と積立金が増えてきて、予定としても増やしている。これはなぜこれだけ年々、この三年だけじゃなくて十年ぐらい見てもどんどん増えているわけですけれども、なぜ増えているんでしょうか。
○政府参考人(篠原尚之君) お答え申し上げます。
先ほどもお答え別途申し上げたところでございますけれども、積立金は外為特会の金利変動あるいは為替変動のリスクを吸収して通貨当局の信認を確保するという観点から積み立てているものでございます。
私どもといたしましては、この積立金につきましては保有外貨資産の三〇%を限度に中長期的な観点から積み立てていくということが望ましいと考えております。その根拠といたしましては、過去の為替あるいは金利のデータから統計学的に試算をいたしますと、為替や金利が変動しても積立金が評価損をおおむね下回らない水準というふうになりますには、保有外貨資産の三〇%の金額が必要とされているということによるものでございます。
なお、日本銀行における外貨資産に係る損失引当金の限度額についても、これは法令上、外貨資産の金額の三〇%となっているところでございます。
○西田まこと君 この積立金がどんどん増えているというのは、そういう意味では、急速な円高が発生して巨額の評価損が発生し得るということを当局として認識しているということになるんじゃないでしょうか。
○政府参考人(篠原尚之君) 為替が今後どうなるかということについて具体的に述べることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、やはり外為特別会計の財務の健全性という観点から、仮に将来円高になり、評価損が大きく膨らんでいった場合、一方でその裏側にございます政府短期証券というのはそのまま残っているわけでございますので、そういった観点からやはり健全性に留意していく必要があると、こんなふうに考えている次第でございます。
○西田まこと君 健全性に注意しながら評価損を生まないにはどういうふうにして運営していくのかということが大事だと思いますし、経済そのもののかじ取り、ここも大変に重要になってくると思いますけれども、この積立金を適正に積立てをしていくということ、そして通貨外交をきちっと運営していくということ、これによって可能性としては、先ほど冒頭申し上げましたとおり、為券の償還資金にこの積立金、余り巨額に積み立てるのではなくて適正に積んだ上で、余裕があれば当然この為券の償還財源として使っていくべきではないか。
私が申し上げたいのは、冒頭申し上げましたとおり、この外為特会だけではなくて、あらゆる特会におきましても、資金的余裕が利益とか積立金という形で出た場合には、広い意味での国債の償還に焦点を絞った見直しということが必要ではないかというふうに思っておりまして、特にこの外為特会における積立金、今適正だというお話でございましたけれども、常識的に考えますと、百兆円も超えるこの為券の償還財源に、資金に充てていくということももっと考えられていいんではないかと思いますが、最後は大臣にお聞きして終わりたいと思います。
○国務大臣(尾身幸次君) この外為特会は、先ほどのお話のとおり、為替相場の変動に対応するための積立金であるということでございますので、その性格をしっかりと踏まえた上で適切に対応していきたいと考えております。
○西田まこと君 終わります。