内閣委員会、財政金融委員会連合審査会・1号 2007-05-17
【質疑事項】
○株式会社日本政策金融公庫法案(内閣提出、衆議院送付)
○株式会社日本政策金融公庫法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
まず、私の方からは、今回、各種公庫が統合することによって日本政策金融公庫というのができるわけでございますけれども、危機対応のみならず、従来の借入顧客層が借入れできなくなるのではないかという声はやはり私のところにも随分地元の中小零細企業から届いてきております。
民間金融機関からそもそも借入れが困難な顧客が中小零細企業を中心にこれまで利用者として多かったと思いますけれども、今回のこの法案の中でそうした懸念をお持ちの中小零細企業に対する配慮というのがどういうふうに規定されているのか、ちょっとこれをお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺喜美君) 御指摘のような心配のない設計になっております。どうぞ御安心をいただきたいと思います。
新公庫法においては、第一に、引き続き中小企業者や国民一般に対する金融は政策金融としてしっかりと承継をいたしております。第二に、民間金融機関を活用した危機対応制度を盛り込んでおります。第三に、民間金融機関の無担保貸付け等を促進をし、民業補完を進める観点から、保証業務や証券化業務を追加、拡充するなどいたしております。こうした制度的に必要な措置を講じております。
新公庫の成立後、民業補完を旨としつつ、民間金融機関の動向、中小企業や地域経済の実情を十分把握し、政策金融として必要なところに資金が円滑に供給されるよう運営していくことが重要であると考えております。
○西田実仁君 是非とも、それよろしくお願いしたいと思います。
この日本政策金融公庫の発足につきましては、昨年の制度設計にも簡素かつ効率的な運営ということがうたわれているわけであります。そうはいっても、政府一〇〇%出資の政府機関としながら民間並みの効率を求めていくという大変難しい課題に今挑戦をしようとしている。
そこで、今後の日本政策金融公庫の、現状と、今後統合後の在り方ということについて、もちろんこれから議論するという面もたくさんあるというのは今まで随分大臣から御答弁いただきましたけれども、私の方で用意させていただきました資料でございます。これを基にして、幾つか懸念となるもの、また疑問と思われるものを具体的に、総論というよりも具体的にちょっとお聞きしたいと思っております。
お手元にお配りさせていただきました日本政策金融公庫の損益計算書、十七年度決算額に加えて十八年度予定額、十九年度予定額と、それぞれ、沖縄振興開発金融公庫の統合は先でありますので、国金、中小公庫、農林漁業金融公庫、国際協力銀行の国際金融部門、これを合算を単純にしておりまして、損益計算書、貸借対照表、そして一般会計、特別会計、財政投融資との関係表をこちらで作成をしたわけでございます。
まず、損益計算書の疑問点でございますけれども、この損益計算書は、中小公庫の保険業務などが混在していて大変に分かりにくいわけですけれども、ともかく当期利益は、十七年度黒字から、予定額としては十九年度になりますと二百七十一億ということで、まず事実としてこの当期利益が急減をするという見込みになっているという、そこの前途多難さというものがあると思います。
しかも、問題点として、貸借対照表を見ていただくと分かりますけれども、十九年度の貸付金残高は微減になっているわけでありますけれども、しかし損益計算書における貸付金利息は急増しているということでございまして、これは国際金融部門の急増が貢献しているということだろうと理解しております。それがそうだとすれば、この日本政策金融公庫全体のPLを見ますと、この国際金融部門がかなり収益支援をするという構造になっているんだろうと思います。もちろん区分勘定しておりますけれども、全体としてはそういうことが言えると思います。
一般会計、特別会計からの受入れというのが赤字で書いてございますけれども、一般会計からは五百四十八億、十九年度で、特別会計からは三千九百万、これは赤字の補てんということになるんだろうと思います。そして、貸付金の償却でございますけれども、貸付金償却は左側の経常費用のところにございますけれども、これは平成十九年度で見ますと、十七年度の決算、また十八年度の予定額に比べてかなり急減をしておりますけれども、これが果たして本当にそうなのかどうか、見込みですのでちょっとよく分からない面もございます。こうしたことからすると、かなり統合後の日本政策金融公庫の収益状況というのは厳しいものになるんだろうなという前途多難なものを感じます。
一方、貸借対照表を見ていただきますと、総資産が二十八兆七千億という見込みで平成十九年度予定額となってございますけれども、そのうち貸付金残高は二十六兆二千億、貸付け、言葉はどうか、貸付け偏重というような巨大な金融機関。じゃ、調達面はどうかと見ますと、政府部門からの借入れが十五兆七千億、総資産の半分以上を占めておりまして、その大宗は財政融資資金。債券発行では約七兆円を超えていると。資本金は三兆円と。
今後、統合後の在り方ということで今御質問させていただいておりますけれども、一般会計、また産業投資特別会計からの出資金が増えていくというのは余り考えにくいと。そして、先ほど当期利益のところで見ていただいたとおり、利益としても先細りが予想されるということで、逆に政府の一〇〇%出資のままですと自己資本の充実というのが大変に難しくなってくるんじゃないかというふうに思います。
加えて、貸借対照表の中では未収収益というのがございますけれども、未収収益が増加傾向にございますし、今後資産整理が行われるとすれば更に増えていくだろうと。貸倒引当金の水準が低いんじゃないか。そして、恐らく最終的には整理されてくるであろう財政融資資金への依存が高いんじゃないかと。そして、加えて申し上げれば、保証債務が増えてきていると。
こうしたいろんな、マイナス面ばっかり申し上げているようですけれども、要するに前途非常に多難な新たな政府系の金融機関、日本政策金融公庫がここで登場してくるというふうに私は思っております。
それでどうするかという問題はちょっとその後お聞きしますけれども、取りあえず現状として、今公表されている数字を私なりに合算して申し上げますとこういう姿が見えてくるんじゃないかと思われますけれども、大臣の御認識はいかがでございましょうか。
○国務大臣(渡辺喜美君) 大変的確な分析を行っていただいたものと思います。また、こうした分析に基づいてこれからどうしていくかということについてはまた後ほどということでございますので、承らせていただければと思います。
○西田実仁君 結局、政府系機関でありながら民間並みの効率を求める。四つを一つにして、支店の統合とか様々なバックヤードの効率化とか、そういうことはできると思うんですね。結局、やっぱり縮小均衡をいかに成功させるかと。そして、縮小均衡が成功した暁には、資金調達のもっと多様化とか、もっとルートを開いていくとか、政府一〇〇%出資だけではなくてというようなことも考えていかなければならないんではないか。不良債権の整理ということもあろうと思います。
そうした今後の統合後の在り方という一つのイメージとして現状を私は申し上げましたが、イメージとして、大臣、もちろんこれからいろいろ議論していくということございますけれども、方向性としてはどんなことを今お考えになっていらっしゃるのか。統合後の在り方ということについて、可能な限りお答えいただければと思います。
○国務大臣(渡辺喜美君) 統合後は、やはり統合のシナジー効果を発揮をしていただく必要があろうかと思います。
まず、支店の重なっているところはこれは当然統廃合をしていただくことになるでしょう。管理部門など共通の業務をやっているところはできるだけ早いうちに統合をしていただくと。また、店舗が一つになればワンストップサービスが可能になります。それぞれのノウハウを持ち寄りながら、ビジネスマッチングやコンサルティング業務が更にバージョンアップできるようになれば、これはお客様の利便性の向上に大いに役立つものと思います。
また、ガバナンスの面からは、先ほど来申し上げておりますように、民間的ガバナンス、政府のガバナンス、国会のガバナンス、これを利かせていただくわけでございますから、正に民間的手法の導入によって、新経営陣の方々には、是非与えられた任務、これも先ほど来申し上げておりますように、一見相反するミッションを帯びているわけでございますが、それを同時に達成をしていただくという技が求められると思います。
したがって、新公庫によって今までの政策金融が全くできなくなるとかいうことはもちろんございませんし、赤字、累積欠損がますます膨らんでいくというのもこれも避けなければなりません。まさしく一つの公庫に統合されたその相乗効果が発揮される在り方が必要であるかと考えます。
○西田実仁君 そういうことなんだろうと思いますけれども、先ほど私が具体的な数字で申し上げたのは、そういう政策金融機関として果たすべき役割がもちろんあるということを私も冒頭で申し上げたわけなんです。それを持続可能にしていくためにも、じゃ、どういう収益構造を持っていったらそれが持続可能になるのかと、しかも国民の負担を過大にはできないという大変難しいことにチャレンジしようとしているわけであります。
そこで、資金の調達、また運用の方で、先ほどBSの話もさせていただいたわけでございまして、基本的にやはり縮小均衡に持っていって、民間銀行ができないようなところで専門化していくというか、そのときに、それを持続可能にしていくためには、その資金調達の多様化ということも考えなきゃいけないのかもしれない、そういうことを私なりに漠たるイメージとして持っておるわけであります。
この点につきましてはどんな、要するに収益構造に基づいてのお話でございます。
○副大臣(林芳正君) お答えいたします。
新公庫の担う業務は政策金融として国が責任を持った自主的業務であると、今大臣からも御答弁があったとおりでございまして、そういう意味では、縮小均衡に入っていくことということは、逆に補完しなくていい部分が増えて民間の金融機関がたくさん貸してくれるようになるという前提でございますから、全体としては望ましい方向であろうと、こういうふうに思いますけれども、逆にそうならなかった場合に補完の役割が増えるということもあるわけでございまして、そういった意味で業務の円滑な遂行に支障が生じないように、今正に委員が御指摘になったように、資金調達についても財政融資資金の借入れや政府保証債の発行が可能となるようにこの法案において所要の規定を措置しております。
具体的な資金調達に当たっては、今委員が正にいろいろ分析をしていただいたように、いろんな視点が必要になると思いますが、正にアセット・ライアビリティー・マネジメント、いわゆる資産負債の総合管理という観点が必要になってくると思います。今までも必要であったわけでございますが、大きくなりますと、それぞれの部門が別々にやっていたわけでございますけれども、せっかく一つになったわけでございますから、全体として一元化した資金調達を効果的、効率的にやっていく必要があると、こういうふうに思っておるわけでございまして、市場が相手の部分もございますが、財投機関債や政府保証債、今申し上げました財政融資資金というような借入れ等を適切に効率的に組み合わせていくということが非常に大事になってくると思います。
また、大臣からも御答弁があったところでございますが、資金計画を含む予算それから決算についてはこの国会の場で御審議いただくと、こういうふうになっておるところでございます。
○西田実仁君 ありがとうございました。
国会のガバナンスということも再三大臣から、また今副大臣からもお話がございましたので、話題はちょっと次に移らせていただきまして、先ほど議論にもなりましたけれども、特殊法人等の累積欠損金の償却ということにつきまして財務大臣にお聞きしたいと思います。
ありていに言えば、特殊法人から機構になっていくときに、個別の機構法においていわゆるネットで、その資産と負債をネットにしてそれを出資金にするというふうに個別法に書いてあるわけなんですね。個別法の附則に書いてあるというところでございます。ですから、法令にのっとって適切に処理をされているという御答弁になろうかと思います。
私もこの点について、先ほど来の御議論とはちょっと違う観点、特に四条公債を出資金に充てることの是非ということについて議論をさせていただければと思っております。
平成十五年度、また十六年度に多くの特殊法人が独法化をしました。その際、特殊法人等が抱えていた累積欠損金が政府出資金で償却する措置がとられている。これは先ほど、今申し上げた個別の機構法においてそういうふうに法令にのっとってなっているわけですね。その多くの特殊法人は、一般会計から出資を受けていると。
ちなみに、この日本政策金融公庫に統合される中小公庫についても、出資金というのが四条公債で充てられているわけでございますが、ここで言う特殊法人、一般会計から出資を受けて、その財源がほとんど四条公債の発行で充てられている。研究開発費につきましても、十三年度までは四条公債の発行によっていましたけれども、十四年度以降はその対象にしなくなったというのは、この間、本会議で御答弁いただきました。
出資金の財源として四条公債の発行がなぜ認められるのかというのは、財政法第四条のただし書のところに、国会の議決を経て認められるとなっているわけでありますけれども、その解釈ですけれども、財政法四条の解釈。これはやはりその出資金額に見合う資産が存在していると。当たり前のことですけれども、四条公債を充てるわけですから、当然のことながらその見合いの資産があるということが前提になっているし、それが定着した解釈であろうと思います。であるから、その資産があるから、長期にわたってあるので後世代にもその便益が及ぶ、また世代間の不公平がなくなると、こういう解釈の下で出資金に四条公債を充てることが許されてきたということだろうと思うんです。
ところが、今話題になっておりました特殊法人から独法に移行する際には、この累積欠損金を政府出資金の償却によって、ジャーナリスティックに言えば損切りをしたということになるんだと思うんですね、表面的には。そうすると、この財政法第四条で前提として認めてきた見合いの資産がもうないということを言わば公式に認めるということになるんじゃないかと、これは問題になるんじゃないかということですね。
民間であればすなわち減資ですけれども、減資を行う場合には株主総会で大体特別決議等が必要とされているわけでありまして、やはりここは財政法四条という法律に基づいて発行された公債によって充てる出資金、それが個別法によってネットで出資金として機構法になって認められたという意味で、法令にはのっとっているというものの、ここは民間で言う減資のときに特別決議が必要なように、財政をつかさどる大臣の何らかのコメントというのがやっぱり必要ではなかったのかというふうに思うわけですけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) 財政法四条におきましては、国の歳出は原則として租税等をもって賄うべきであるという、いわゆる非募債主義があるわけでございますが、そのことを原則としつつ、公共事業費とかあるいは出資金、貸付金等の財源としては、国会の議決を経た範囲内で例外的に公債の発行あるいは借入金を許容しているということになっているわけでございます。これは、これらの経費がいずれも消費的支出ではなく国の資産を形成するものであり、その資産から受益も長期にわたるものであるために、公債発行等により財源を賄い、その元利の償還を通じて後世代にも相当の負担を求めることを許している趣旨というふうに解釈されるわけでございまして、先ほどお話のございましたようないわゆる研究開発費につきましては、平成十四年度からは出資金ではなしに補助金という形に実態に合わせて直したと、こういうことでございます。
この政府系金融機関に対する出資金については、形式的には利益配当請求権あるいは残余財産の分配請求権等の出資による権利が確保されているわけでございます。そういう意味で資本的支出であります。また、実態的にもこの出資金が政府系金融機関の投融資の原資あるいは有形固定資産の取得に充てられた場合には、出資金見合いの支出が有形無形の資産として残り、将来国民がその利益を享受し得るということから公債発行経費としているわけでございます。
ただ、現実に、例えば福祉の施設等の法人については、独立行政法人にするときにその辺りをきちっと整理をして引き継ぎませんと、実態に合わないものが残ってくるということでありましたので、国会の議決もいただきながらその整理をさせていただいたと、こういうことでございます。
○西田実仁君 国民に還元されるという意味で、研究開発費の場合ですけど、今までは出資金だったのを補助金等にしたと。ただ、私が問題にしているのは、出資金か補助金等かということを問題にしているのではなくて、その見合いの資産があるべき四条公債を充てているか充てていないかということを問題にしているわけであります。
国民に還元されているという技術とかノウハウがあるということは否定するものではないと思いますけれども、じゃ金額に換算するとどうなのかというのは、数字上見る限りは、例えば特許権等として国有財産に記載されているのは二十九億円ぐらいしかないわけですね。非常に分かりにくいということを私は指摘をさせていただいているわけなんです。
この一般会計からの出資金の話をしていましたけれども、決してこれは一般会計の問題だけではなくて、特別会計、例えば労働保険からの出資金も、平成十四年度と十九年度を比べますと二兆円ぐらいが償却をされているわけでございまして、その元の財源は保険金なわけですね。確かに、なぜそうなっているのかという理由は、もうお聞きしましたので分かりました。しかし、問題は、やっぱり保険料を支払った保険加入者に対してそういうことを説明するということが、分かりやすく説明するということが必要だったのではないかと思いますけれども、厚労省の方、いかがでございましょうか。
○政府参考人(草野隆彦君) お答えします。
お話がございましたように、独立行政法人雇用・能力開発機構の政府出資金につきましては、特殊法人でありました平成十四年度の決算額と平成十九年度の見込額を比較しますと、約一兆三千七百五十七億円減少してございます。
これはまず第一に、独立行政法人への移行に伴う保有資産の減価償却、資産の時価評価などにより約一兆三千五百四十八億円。それから、独立行政法人移行後におけます勤労者福祉施設の譲渡などによります資産の売却、除却、除売却損でございますね、これが二百九億円でございます。これは、こうした取扱いは独立行政法人会計基準及び独立行政法人能力開発機構法等に基づくものでございますが、この減少額につきましては国の財務諸表などにおいて明記いたしまして、これは財務省、厚労省、それから機構、それぞれのホームページにより公表して透明性の確保に努めているところでございまして、今後ともこうした措置を努力していきたいというふうに考えております。
○西田実仁君 保険金を出している保険加入者からすると、それが五年ぐらいたったらいつの間にか、さっき一兆三千億と言われましたけれども、それは一つの機構だけの話で、二つの機構を合わせて特別会計では二兆円ぐらいになりますけれども、それが毀損しているということ、何かいつの間にかそうなっていたというふうに思われがちなので、ここはしっかりと、そういうことはなぜそうなるのかということを分かりやすく説明することは必要ではないかという私の指摘でございます。
もう一つ、この出資金については、中小公庫にも出資金が出ていますのであえて申し上げますと、見合いの資産が存在しなきゃいけないということを私申し上げましたけれども、それだけではなくて、いわゆる利益配当請求権あるいは残余財産分配請求権というのが出資金にはあるという、そういう前提になっているわけですね。
そうすると、利益をそもそも追求をしない機関に出資金を出すことが果たして、つまり四条公債を発行して出資金を出すことが、この利益配当請求権を持つ出資金を充てることが本当にいいのかどうか。むしろ、お金を出しちゃいけないということではないんですけれども、四条公債を充てるんではなくて、もっと見えやすく税金で充てていくとか、そういうようなことも考えていいんじゃないかというふうに思いますけれども、尾身大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(尾身幸次君) もちろんそういう考え方もあろうかと思いますが、これは金利を取って貸し付けているわけでございますから、そういう意味でパブリックセクターからの資金供与でありますけれども、そういう意味で利益が出た場合には、この利益そのものは出資者というか、つまりこの場合は国でありますが、そういうものに帰属するという考え方でその権利は留保してあると、こういうふうな考え方からこういう体制を取っているわけでございまして、現実の運用としては今後もそういう体制を取ることが必要かと考えております。
○西田実仁君 いずれにしましても、先ほどのお話の続きでございますけれども、この四条公債は財政法第四条のただし書に規定されて発行されて、なぜこういうものが有効なのかということは一般解釈として定着しているものがあるわけですね。ですから、そのことをやっぱり分かりやすく説明しなきゃいけないし、当然国会で議決を受けてやっていることということでいえば、国会の方も怠慢のそしりを受けないためにきちっと明らかにしなきゃいけない面があると思っております。
もう時間もありませんので、最後ちょっと具体的な話で恐縮ですけれども、分かる範囲でお答えいただければと思います。
四条公債がこれまでどれだけ発行してきて、そのうち償還した四条公債がどのぐらいあるのか、残高がどのぐらいか。そのうち公共事業、出資金、貸付金、それぞれどの程度充当されたのか。私が問題にしております四条公債を財源にした公共事業で今公共物どの程度残っているのか。また、出資金によって造成された資産は現在どの程度残っているのか。同じく、貸付金にどの程度残高があるのか。そうした財源と、それによってこれだけ国民に資産が残っている、こういうことを関係を明確にしていくと、後世の方に借金として残しても、ああ、そうか、こういうことが残っているんだなと。いつの間にかなくなってしまうということが一番いけないわけでありまして、その対応関係、ちょっと残された時間は少ないんですけれども、可能であればお答えいただければと思います。
○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
四条公債のこれまでの累積の発行額、償還額、残高等といった点でございますが、四条公債につきまして、昭和四十一年度から平成十九年度末までの累積の新規発行額は約二百八十六兆円となっております。また、十九年度末までの借換えを除きました純償還額は約四十五兆円となっておりまして、その結果、十九年度末の残高は約二百四十一兆円と見込まれております。
その残高の内訳でございますが、現在の減債制度は、公債の償還年限を、それを財源とする個々の見合いの資産の耐用年数と対応させて考えるということはいたしておりませんで、四条公債の見合い資産全体の平均的効用発揮期間を目安に六十年間を通じて償還を図っていく総合減債制度を採用しているところでございます。
したがいまして、公共事業や貸付金、出資金といった区分にかかわらず、一括して公債発行対象経費の範囲内で四条公債を発行いたしまして償還を行っておりますので、区分ごとの整理は行われていないということでございます。
次に、四条公債によって建設された公共物の残存価値という御質問でございましたが、ただいま御説明いたしましたように、我が国におきまして総合減債制度を採用しておりますので、公共事業や貸付金といった区分にかかわらず、一括して公債発行対象経費の範囲内で四条公債を発行し、償還を行っておりますので、四条公債残高に見合った個別の資産の残存価値という考え方は取っておりません。
ちなみに、財政法の趣旨は、公債発行対象経費が国の資産を形成するものであり、その資産からの受益も長期にわたりますことから、公債発行といった形でその財源を賄い、その元利償還を通じて後世代にも相応の負担を求めることを許容しているものでございます。
政府といたしましては、この原則にのっとりました六十年償還ルールに基づき償還を行ってきているところでありますが、全体として四条公債の残高に見合った資産価値を有しているものと考えております。
○西田実仁君 もう終わります。
いずれにしても、後世に負担を課すわけですから、その資産が何ら明確な説明がなくなくなってしまうということがないように、我々国会としてもしっかりと見守っていきたいというふうに思っています。
ありがとうございました。