財政金融委員会・12号 2007-05-29

【質疑事項】
○理事補欠選任の件
○株式会社日本政策投資銀行法案(内閣提出、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○財政及び金融等に関する調査
(「ふるさと納税」に関する件)
(法人企業の利益分配に関する件)
(独立行政法人に対する国の出資金に関する件)
(改正保険業法の適用除外に関する件)

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
今日は一般調査ということでございまして、最初にまず、生命保険の名義借り、また架空契約ということにつきましてお聞きしたいと思います。
これは、契約者が入った覚えのない架空契約あるいは名義借り契約といったいわゆる不正契約が見付かっていると、こういう報道がございました。かく言う私も、随分前ですけれども同じような被害に遭ったことがございまして、もう十数年前でございますけれども、いつの間にか契約したことになっていて、判も押されて名前も書かれていたということがございました。
こういうことがどの程度実態として行われているのか、また、当局としての対応をどうお考えになっていらっしゃるのか、まずそこを山本大臣にお聞きしたいと思います。

○国務大臣(山本有二君) 西田委員御指摘のような報道がございました。
個別会社に関する事柄は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、いわゆる名義借りとして考えられる具体例を申し上げますと、募集人が営業目標を達成するため、自ら保険料を負担することを条件にして知人等に保険加入を依頼する場合等が挙げられております。
こうした不適切な保険契約の発生防止のために、保険会社に対しまして、金融庁は保険会社向けの総合的な監督指針を定めております。一つは架空契約等を防ぐための保険契約者の本人確認、そして契約の継続状況の常時把握といった対応を求めております。
各保険会社におきましても、契約後の契約者意思の確認や、短期で解約に至った案件の解約理由確認等、不適切な契約の防止に努めておられると承知しておるわけでございますが、金融庁としましては、引き続き、保険会社に対し、不適切な契約の防止のための体制整備、日々の保険募集活動の適切な管理を求めてまいりたいと考えております。

○西田実仁君 正に、こういう不正はなぜ起きるのか、その不正の温床はどこにあるのかという根本までさかのぼって対応しなければならないと私は思います。
その不正の温床は、会社にもちろんよりますけれども、契約の取付けにかかわる営業体制そのものにやっぱりあるのではないか。そういうことを認識して自主的に営業改革をしているケースも会社によってはあると思います。
もう一度、今、総合的な監督指針のお話もいただきましたけれども、こうした営業体制ということまで踏み込んだ当局としての指導体制、また、そういう自主的に営業改革をしている事例がもしございましたら、それも含めてお話しいただければと思います。

○国務大臣(山本有二君) 現在、生保の保険金の支払漏れにつきまして、本年二月に全社、三十八社に対して報告を求めて、四月に各社より調査の進捗状況等の報告がなされております。
また、遅くも十九年十一月ごろまでに、こうした保険業法違反等に対する調査も併せましていただけるように考えるところでございまして、そうした調査の中から、先ほど西田委員御指摘の過度な営業ノルマに対する管理等々が健全に行われているかどうか、さらに、営業マンのノルマのみならず経営現場におきます健全性について担保される方法が取られているかどうか等々を見極めていきたいというように考えているところでございます。

○西田実仁君 是非、信頼関係ということにかかわる大事な問題でございますので、徹底した調査とともに適切な指導もお願いしたいというふうに思います。
続きまして、前回質問させていただいたことに対しての、若干ちょっと分からない点もございましたので、財務省さんにお聞きしたいと思います。四条公債に関することでございます。
前回、連合審査の際に、平成十五年、十六年度に多くの特殊法人が独法化した際に、政府の出資金で累積欠損金を償却するという措置がとられたということについてお聞きしました。それが、政府出資金が四条公債の発行によって充てられているということからして、果たしてどうなのかという趣旨の質問をさせていただいたわけでございます。
その際に、四条公債の累積発行額、償還額又は残存額ということについて御質問した際お答えいただきました数字は、昭和四十一年度から平成十九年度までの四条公債累積発行額は二百八十六兆円であったと。そして、その償還額は十九年度末までの見込みで四十五兆円、そして引き算すれば残存額は二百四十一兆円と、こういう数字をお示しいただいたわけでございます。
しかしながら、この残存額における公共事業、また出資金、貸付金、それぞれどれぐらい内訳があるのかという質問に対しましては、総合減債制度を取っておる関係から、これはそうした個別の資産の残存額と四条公債の残存額というこの見合いはしていないんだと、全体として総合減債制度ですのでそうした内訳はない、こういう御答弁でございました。これはまあそうなんだろうなというふうに思うわけでございます。
しかし、財政法の四条を見ると、これは言うまでもなく四条公債発行時点では、公共事業費は幾らか、出資金は幾らか、又は貸付金は幾らかということは明確になっているわけなんですね。毎年発行される予算書にもそのように書いてあるということからしますと、発行時点でのこの内訳というのは分かるんだろうと思うんです。
ですから、発行時点ベースでの累積額がそれぞれどういう内訳になっているのかということについて御答弁いただければと思います。

○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
四条公債の発行でございますが、最近四年間、平成十四年から平成十七年度末までの累計の新規発行額について見ますと、約三十二兆円ということでございます。
この内訳ということでございますが、その点につきましては、前回もお答えいたしましたとおり、国債管理の観点からの区分ごとの整理は行っていないということでございますが、仮に十四年度から十七年度までの四年間の累積の発行額、約三十二兆円を区分ごとの公債発行対象経費、これは御指摘ございますように対象経費幾らというのがございますので、この四年間の累計額で案分いたしますと、公共事業に相当する部分が全体の九一%、出資金に相当する部分が全体の八%、貸付金に相当する部分が全体の一%でございますので、公共事業に相当する発行額は約二十九兆円、出資金に相当する発行額は約二兆円、貸付金に相当する発行額は約四兆円と推計することができるということでございます。

○西田実仁君 そうすると、償却、償還額も前回累積でお示しいただきましたけれども、今の比率で大体償却しているということも基本的には考えればよろしいんでしょうか。

○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
ただいまの御答弁で、貸付金に相当する発行額約四兆円と申しましたが、約〇・四兆円の間違いでございます。その点、まず訂正させていただきます。
その上で、この差額のところが減価償却部分かという点でございますが、減価償却分、当然その分については入っておろうかということでございますが、減価償却につきましては、国の資産の管理という観点から、これは国の資産に関します財務書類の方で減価償却については行わせていただいておる。ただ、この部分が正確にどういった額になっておるかということは、公債発行対象経費でございましても、補助金という形で地方の方に参っておる部分もございます。そういった点に御留意いただければと存じます。

○西田実仁君 前回御答弁いただいたときに、ちょっと一つ分からないのは、大臣の方からこのいわゆる特殊法人から機構を独法化したときの出資金による償却ということですけれども、大臣の御答弁では、出資金見合いの支出が有形無形の資産として残り、将来国民がその利益を享受し得るということから公債発行対象経費としているわけでございます、ただ、現実には、ということで、例えば福祉の施設等の法人については、独立行政法人にするときにその辺をきちっと整理して引き継ぎませんと、実態に合わないものが残ってくるということでありましたので、国会の議決もいただきながらその整理をさせていただいたと、こういうことでございますという御答弁をいただきました。おっしゃるとおり、国会で議決をして個別法によってその旨が記されているということだと思います。
この御答弁を素直に読むと、出資金に見合う資産は、独法に移行の際、償却して残っていないということを御答弁されたんだろうというふうに思うんですね。一方で、松元次長は、私の質問に対して最後に、四条公債の残高と個別資産の対応関係は分からないが、全体として四条公債の残高に見合った資産価値を有しているものと考えていると答弁をなさっておられます。
これは、今財務大臣がおっしゃった御答弁と次長がおっしゃった御答弁とはやや矛盾があるんじゃないかと思うんですけれども、大臣、いかがでございましょうか。

○政府参考人(松元崇君) この四条公債におきまして発行対象経費にいたしたことと独立行政法人にいたします際に各個別法に基づきまして資産といたしまして償却をいたしたことの関係でございますが、この四条公債に対象といたしておりますのは、国全体として資産性が認められるかということでございます。したがいまして、研究開発、それぞれの研究開発法人が行っておりますそういった研究開発、なかなか民間では行い得ないものである、その成果は将来にわたり国民に有形無形の資産として残り我が国の経済社会の発展に寄与する、そういった意味で後年度の負担にしてもそこは許される四条公債発行対象ではないかということで、従来四条公債の発行対象経費としておったということでございますが、個別の法人ということで見てまいりますと、そこは個別の法人の資産として残っているわけではない、むしろ損金として処理されておった、そういった欠損金が累積されてきていたというのが実情でございました。
そういったことから、独立行政法人に改められます際に、そういったことはこの民間企業会計と同じ考え方でとらえた場合、ですから国民経済全体ということではなくて民間企業会計と同じ考え方でとらえた場合、これは独立行政法人の会計基準、これは総務省の方でお作りいただいておりますが、この独立行政法人の会計基準はできるだけそういった民間企業会計と合わせたような形でという御議論ございました。それに合わせていくということになりますと、分かりにくいのではないかといった御指摘がございました。そういった御指摘も受けまして、それぞれの個別法に置かれました資産、債務の承継規定に基づきましてそういった対応がなされたということでございます。

○西田実仁君 よく分かりにくいのは、次長がおっしゃっている公共事業費、出資金、貸付金の区分ごとの経理は行っていないと、個別の資産の残存価値という考え方は取っていないというふうに再三おっしゃっておられますよね。そういう御答弁がある一方で、全体としては四条公債に見合った資産価値を有しているというふうに言われているわけですね。区分ごとの経理をしていなくて、なぜ全体として資産価値を有していると言えるのか、そこがよく分からないんです。

○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
繰り返しになりまして恐縮でございますが、区分ごとの経理と全体として資産価値を有しているということにつきましては、これは研究開発につきましても個別の法人の資産としてはそこは存在しないと、減価していくという形になりますが、その正に民間の研究所では行い得ないような国の将来にわたってその効果が現れてくるような経済社会の発展に寄与するような形で社会全体に寄与している、そういった形で国民全体の資産としては残っているという考え方に基づいてこの四条公債の発行対象にしたということでございます。
四条公債の発行対象といたしましては、この出資金のほかにも貸付金あるいは公共事業といったものがございますが、これらにつきましては、全体としてこの四条公債見合い資産の平均的な効用発揮期間を六十年という形で設定させていただいております。
〔委員長退席、理事峰崎直樹君着席〕
これはそれぞれの、個別に言いますれば、この公共事業にしましても、いろんなものにつきまして償却期間というのは議論はあろうかと思いますが、この六十年ということを設定いたしました時点におきまして、全体の平均的なところを取ってそういった形にしておる、そういった形で六十年という償還期間が設定されておりますので、そういった六十年を通じて全体として償還を図っていく、これを総合減債制度ということで私ども呼んでおりますが、この総合減債制度を採用しているということから個別に区分は行っておらないということでございます。

○西田実仁君 前回もちょっとお聞きしましたけれども、総合減債制度そのものは理解しますが、全体として国民の資産に後世に残しているというお答えなんですが、それが目に見えにくいというか非常に分かりにくいというところだと思うんですね。
四条公債が充てられるのは公共事業のほかに貸付金、出資金があるわけですけれども、出資金については、これはかなり古い御答弁ですけれども、昭和四十二年の参議院における予算委員会で当時の水田大臣が御答弁されておられますけれども、この出資金また貸付金というものはもう恒久財産であって永久に効果を発揮するというふうに答弁されているわけですね。ですから、出資金については償却をするという考え方はそもそも取っていないというのが旧大蔵省としてのお立場ではないかと思うんですが、いかがでございましょうか。

○政府参考人(松元崇君) お答えいたします。
出資金につきまして大蔵省としての考え方ということでございましたが、総合減債制度という観点から、国債管理の観点から申しますと、これは公債発行対象経費として六十年で償還されていくということでございまして、それにつきましては公共事業あるいは貸付金、そういったことと区別はしておらないということでございます。
他方、国の資産管理という観点、国債管理ということとまた別に国民の財産としての国の資産管理、これをどうしていくかということにつきましては、これは近時、企業会計の考え方を活用して、正に国民に分かりやすく示していく必要があるということで、国の資産や負債等の財務状況を開示するということから、これを平成十四年からだったと存じますが、国の財務書類ということでこの決算を作成、公表してきているところでございます。
この国の財務書類の考え方におきましては、民間企業会計の考え方にできるだけ倣うということから、出資金につきましてもその純資産が毀損している場合につきましては、これは約三割毀損しているといったような場合につきましては強制評価減という考え方、これが企業会計にございますが、強制評価減という考え方を取るということにいたしておりまして、この国の資産管理につきましては、現在はそういった考え方をしておるということでございます。

○西田実仁君 ということは、そういう国の資産管理ということで考え方を変えたということ、この水田大臣の答弁は恒久資産であるということで、そういう意味では償却はしないという考え方だと思いますので、変えられたんだろうというふうに理解いたします。
それで、残り時間ないので、外為特会のことについてちょっとお聞きしたいと思いますけれども、これにつきましても、特に積立金がなぜ必要なのかということを前回、三月にお聞きさせていただきました。その際には、積立金は、将来、国内金利が高くなり海外金利との逆転が起きる、歳入不足に外為特会が陥るかもしれないと、あるいは、保有する外貨資産について円高に伴い発生する評価損見合いの役割をしているというのが次長がお答えいただいたことでございましたし、また篠原局長からは、同じような趣旨で、外為特会の金利変動あるいは為替変動のリスクを吸収して通貨当局の信認を確保するという観点から積み立てているという御答弁でございました。それは正にそのとおりで、円相場と米国国債価格の変動率が大きいことを勘案すると、利益を計上して将来のリスクに備えた価格変動準備金的な資金は必要であろうというふうに思うわけでございます。
お手元に資料として配らせていただいたものを見ていただきますと、二枚つづりになっておりまして、表一の方は外為特会における貸借対照表を九一年から二〇〇七年までのものを並べたものでございまして、表二の方は同じく外為特会の損益計算書でございます。
損益計算書の方から見ていただきますと、今言われているところの積立金というのは、じゃどのぐらいあるのかということになりますと、一番下でございます。最近年度の剰余金処分というところを見ていただきますと、一番右側、積立金積立額というのが、これが本来的な意味での積立金であろうというふうに思うんですね。幅としては二千億から二兆二千億円という幅になってございます。その左の項目を見ていただくと、一般会計歳入への繰入れというのが一兆から二兆円弱ぐらいございまして、合わせたものが当然剰余金というふうになっているわけでございます。
しからば、この剰余金はどこから出てくるのかというと、その上の段、本年度利益というところから発生しているわけであります。その本年度利益は歳入と歳出の差であるということは言うまでもございません。
〔理事峰崎直樹君退席、委員長着席〕
ここで、まず、技術的なお話で恐縮ですけれども、その前の貸借対照表に移っていただきますと、外国為替の評価損益というのが借方の上のところにございます。これが評価損として、繰損も出ておりますけれども、貸借対照表にはそうした評価損益というものが別項目として貸借対照表に計上されてございます。しかし、この評価損益は期間処理はされていないと。
本年度利益には、先ほど申し上げましたとおり、この貸借対照表上に出ている評価損益は別項目として置いておいて、それで歳入歳出の差額を本年度利益として、言わば利ざやだということだと思いますけれども、計上されている。こうした処分はなぜなさっておられるんでしょうか。

○政府参考人(篠原尚之君) お答え申し上げます。
ただいま委員からお話ございましたように、外為特会の保有外貨資産につきましては、為替の変動による評価損益を貸借対照表の上では外国為替等評価損益ということで計上しておりますが、損益計算書には反映しておりません。これは、外国為替資金特別会計の場合は、他の国の会計と同様でございますが、現金主義を採用しておりますために、言わば現金の過不足を生じない未実現の損益を損益として計上していないということであるからでございます。
一方、御承知のように、民間の企業会計の慣行を参考といたしました財務書類をここ数年公表してきております。この財務書類の中では、外国為替相場の変動による評価損益を貸借対照表だけではなくて、各会計の業務費用及び財源を明らかにしました資産・負債差額の増減の計算書という名前で為替換算差額の項目で公表しているところでございます。

○西田実仁君 ちょっと時間がないのでどんどんお聞かせいただきたいと思いますが、先ほど、冒頭、申し上げ、冒頭というかこの質問の項目で最初申し上げましたとおり、いわゆる本年度利益の処分状況を見ていただきますと、一般会計歳入への繰入れが一兆から二兆円なのに対して、本来的な意味での価格変動準備金たる積立金積立額は二千億円から二兆円強という幅になっているわけでございまして、本年度利益の半分は一般会計への繰入れになっているわけです。一般会計への繰入れが優先し、いわゆる価格変動準備金はその残額が積み立てられているというふうにも見えるわけですけれども、この点いかがでございましょうか。

○政府参考人(篠原尚之君) お答え申し上げます。
ただいま先生からお話ございましたように、外国為替資金特別会計は、言わば為替相場の急激な変動の際に必要な為替介入を行うというために設けられている会計でございます。したがいまして、外為特会の健全な運用の確保の観点というのが非常に重要でございます。
それとともに、やはり一般会計の厳しい財政状況を勘案いたしまして、行革推進法でも、相当と認められる金額を一般会計に繰り入れなさいという規定がございます。
こうした二つの観点を勘案いたしまして、外為特会の決算上の剰余金の一部を一般会計に繰り入れるということにしているところでございます。

○西田実仁君 それはそうだとして、貸借対照表を見ていただきますと、ではこの積立金が本当に価格変動準備金たり得るのか、今の御説明、たり得るのかというところで貸借対照表を見ていただきますと、積立金というのは下に、貸方のところにございまして、この積立金の細目を見ますと、積立金は全額が財政融資資金預託金になっているわけでございます。しかも、ほとんどが約定期間七年以上になっているわけなんですね。
そういう意味では、価格変動に備えるという意味で非常時に取り崩せる性格の代物ではない、そういう意味では価格変動の準備に備えられないのではないかと、準備にならないのではないかというふうにも見えるわけですけれども、この点はいかがでございましょうか。

○政府参考人(篠原尚之君) 外為特会の積立金でございますけれども、その積立ての重要な目的というのは、保有する外貨資産につきまして円高に伴い生ずる評価損の見合いという役割を持っているわけでございます。そういった見合いの資産を持つことによって特別会計の健全性を保つ、それがひいては非常時、為替が急激に変動したときに通貨当局として適切な行動が取れるという市場の信頼にとって重要なことであるというふうに考えているわけでございます。
評価損自体は、これは為替の変動に基づいて発生するものではございますけれども、直ちに現金の必要が生じるというものではございません。したがいまして、片や積立金を積み立てるということによって特別会計としての信頼性を確保する必要があるというふうに考えているところでございます。

○西田実仁君 直ちに必要でないから預託金七年以上のものが多くても構わないという御答弁ですね。

○政府参考人(篠原尚之君) 積立金は約定七年未満のもの、約定七年以上のものがあるわけでございますけれども、確かに急にあしたお金が必要になるという形の性格の資金ではないということは事実でございます。

○西田実仁君 それで、そういう七年以上のものが過半を占めている、大半を占めているということだと思います。
最後ですけれども、これはもう既に国会で承認をしていることなので、国会のガバナンスということでやや反省も込めて申し上げれば、この貸方の外国為替資金証券、いわゆる為券の発行額の限度額が今年度は四十兆円増になっているわけでございます。過去最大の市場介入がどのぐらいだったかというと多分三十兆円ぐらいだというふうに思いますので、それを上回るような巨額の為券発行ということが、外準はすべてが借金であるということと見合いでしょうから、これが果たして真の外貨準備運用になるのかどうかというような疑念もやや持っておりまして、最後、大臣にそのことを、なぜ四十兆円もの巨額の為券発行になったのかということをお聞かせいただいて、終わりたいと思います。

○国務大臣(尾身幸次君) 我が国の為替介入は、市場に過度の変動や無秩序な動きがあり、経済活動に大きな悪影響があると判断された場合に実施してきているところでございます。
このような観点から、今後の為替市場のいかなる動向に対しても引き続き十分な余裕を持って機動的に対応できるよう、円資金調達面においてもあらかじめ万全の体制を整えておくことが為替市場の安定的な推移に資するものであるというふうに期待されております。そのことから、外為特会の借入金の限度額を十六年度予算におきまして百四十兆円に引き上げたところでございます。
なお、借入金限度額は、あくまで今後の為替相場におけるいかなる動きに対しても機動的に対応できるような借入金の上限を定めるものでございまして、こうした限度額まで必ず借入れを行うということを予定しているものではないと考えております。

○西田実仁君 終わります。