国土交通委員会-2号 2010-04-20

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
今日は何点か御質問させていただきたいと思いますが、まず初めには、伝統構法につきましてお尋ねをしたいと思います。
私は、今この戦後の建築行政を転換していく一つの大きな好機を迎えていると思っております。そういう意味では、伝統構法をどう位置付けていくのかということがこの戦後の建築行政の転換にもつながっていくと思っているわけであります。
戦後、いわゆる伝統構法ということについては言わば建築基準法の違反的な扱いを受けておりましたが、2000年度に基準法が改正されまして、限界耐力計算という計算法によりまして建てられるようになったということであります。しかし、不幸なことに、あの姉歯事件をきっかけにいたしまして再び基準法が改正をされ、伝統構法の住宅も高層ビル並みのピアチェックを受けなければ建てられないということで、コスト面からも事実上建てにくくなっているというのが現状であろうと思います。
昨年の11月、当委員会におきまして大臣ほか皆様ともやり取りをさせていただきまして、この伝統構法の簡易設計法の開発につきまして、そのやり方を見直すというふうにお話をいただきました。しかし、それがどのように見直されていくのかということについて、いろいろ当然必要な時間を経て検討なさっておられまして、現場では私の方にも困惑というか苦情というか、見直すのはいいんだけど完全に止まったじゃないかというお話もいただいております。しかし、これはこの間、政府におかれまして検討なさっているということですので、その結論を待ちたいというふうに私は解してきたわけであります。
今日はいい機会でございますので、昨年私が取り上げさせていただき、またこのやり取りを通しまして見直すに至りましたこの伝統構法の開発法作りについて、今どういうふうになっているのか、お答えいただければと思います。

○国務大臣(前原誠司君) 西田委員にお答えします。
11月の19日だったと思います、前回議論させていただきましたのは。そのときも西田議員から伝統構法について建築基準法の見直しを含めて検討するようにということで御意見をいただきまして、私も検討させていただきますと、こういう答弁をいたしました。
実は、私が大臣に就任をしたときに三つの観点から運用改善をということを指示をしてまいりまして、それがいわゆる確認期間の短縮、そして提出書類の簡素化、そして厳罰化と、この三つでございまして、この二つについては運用改善の考え方はまとまって、パブリックコメントをちゃんとやっていく中で6月から運用改善をやらせていただくということになりました。ただ、厳罰化については、これ法律改正をしなくてはいけませんので含まれておりません。
委員から御意見をいただいたことも含めて、建築基準法の法改正を前提とした見直しに関する検討会を3月8日に立ち上げまして、第一回の検討会を開催をいたしました。この中には、委員の御指摘のあった伝統的構法に精通している委員にもお入りをいただいて、具体的には、御承知だと思いますけれども、立命館大学立命館グローバル・イノベーション研究機構の鈴木先生に入っていただきまして、鈴木先生にも御意見をいただいて法改正に向けての議論を進めていきたいというふうに思っておりまして、是非委員の御意見も鈴木先生を通じてこの検討会の中で反映をしていただければ有り難いと、このように考えております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
そういう形で検討がある意味で見直されて、委員も替えられて、バランスの取れた検証と前回馬淵副大臣がおっしゃっていたかと思いますが、そういう形にスタートをこれから切るということでございます。
そこで、しかしながら、政府としてこれまで前政権でも進めてきた過去の経緯もございます。本来は来年度で終える三年間ということで進めてきた、前になるんでしょうか、検討委員会での設計法のいろんなデータ等もございます。これがどのようにまとめられていくのかということ、また、今大臣がおっしゃいました新たな検討委員会の設計開発につきまして、いつまでこれを検討し、そして新しくいつからの運用となる一応見通しを持っておられるのか。先の見通しということもございますので、分かる範囲でお答えいただきたいと思います。

○大臣政務官(三日月大造君) 西田委員にお答えいたします。
この問題はずっと専門的に取り上げていただいておりまして、私も野党時代からずっと西田委員と議論をしてまいりました。
今大臣からの答弁にもありましたように、また、11月19日ですか、馬淵副大臣から答弁をいたしましたように、平成20年度から3か年で行っておりましたこの伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験の検討委員会ですね、これは来年度で最終年度を迎える予定をしておりましたが、これは委員からの指摘もあり、また馬淵副大臣の指示もあり、来年度から委員構成を見直しまして検討を行い直す所存となっております、その予定でございます。現在、委員の人選等を行っているところでありまして、平成22年度予算成立後、直ちに取り組めるよう今鋭意準備を進めさせていただいているところです。
なお、これまで行ってきた2か年のデータや蓄積があるじゃないかと。使えるところは使って、しかしながら中立的に、また古来日本に根付く伝統構法による木造住宅が安全かつ円滑に建築されるように早急に検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
その上で、前回踏み込んでお聞きしたのは石場建ての話でございまして、石場建てによる実物大の住宅を実際に揺らして実験をする、いわゆるE—ディフェンスがこの石場建てで実施されることになると考えてよろしいんでしょうか。

○大臣政務官(三日月大造君) 端的にお答えをいたしますれば、その石場建てによる実寸大の、実大の振動台実験その他も行っていく予定でございます。

○西田実仁君 それは、今まですべて柱脚を基礎に固定するケースであったことからすると大変に大きな前進であるし、またきちんと科学的なデータを集めてこれが活用できるようにしていただければというふうに思っておりますが。
新しい検討委員会での設計開発がやっぱり三年ぐらい掛かるんでしょうか。

○大臣政務官(三日月大造君) 今この時点で掛かる年数を明示的にお答えすることはできないんですけれども、しかし、せっかく委員まで差し替えをして行う検討ですから、しっかりと抜本的な検討が行えるようにしたいと思いますし、今委員から先ほど御指摘があったように、だからといって、その間の確認審査が滞るということでもいけないと思っていますので、ある一定年次を区切って早急に実施をしてまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 今政務官がおっしゃっていただいたように、何年か分かりませんけれども、しかし、その間、確認申請が滞ってはならないということであります。
そこで、限界耐力計算の方法については、いわゆる東と西のマニュアルというのがあって、これがなかなか統一されていないと。これを統一することによって、簡単に言えば、西のマニュアルは建築確認申請が通りやすいというふうに俗に言われております。この新しい設計法が開発されるまでの間、石場建てなりの建築確認を滞らせることなく通すようにしていく。そのためには、私はやはり、いわゆる西のマニュアルというのを全国統一のマニュアル的な運用をすることによって石場建ての建築確認申請が通るようにすべきではないかと。
新しい設計法ができるまでの間の運用についてお考えがあれば、ちょっとお聞きしたいと思います。

○副大臣(馬淵澄夫君) 御指摘の部分、十分に承っております。
新たに委員を再構成してこの検討の会を再スタートさせるということでございます。委員御指摘の、この経過期間の間の措置というものについても十分に前向きな検討をさせていただきたいと思っております。

○西田実仁君 是非お願いしたいと思います。
これはもう伝統をいかに未来につないでいくのかという問題でございます。新たな設計法の開発とともに、やっぱりこれは人が担っているわけでありまして、古来からの構法を伝えてきた大工あるいは棟梁の皆さん、こうした技術をいかに次の世代に継承していくのかという問題で、人に絞って申し上げれば、3月8日の日に公示がなされましたけれども、伝統構法を生かした木造住宅の担い手候補者募集を行う補助事業者を募集されているということでございます。
この伝統構法は、もう御案内のとおりそれぞれの地域によって大きく異なる、また、その地域に根差した木材によっての構法ということもございます。したがって、それぞれの地域の人材をいかに育てていくのかと同時に、施主の方が安心して伝統構法の取引ができるようにしていくということのためには、全国一律のルール、規則、規制ということ、もうそれは最小限にして、あとは地域ごとにきちんとやっていくと。しかし、施主の皆さんに安心いただかなきゃいけないので、その施工者、大工、棟梁とか工務店ということになりますけれども、その認定とか活用制度を確立していく必要があると思っております。今はないわけです。
今回、こうした3月8日に出された公示はどういう意図なのかをお聞きしたいわけですが、この補助を受けられる民間事業者の方は伝統構法のいわゆる施工者として認定するという意図も含んでのものなのか、あるいは、これまで大工育成塾というのがあったと思いますが、これとどう違うのか、これについてお聞かせいただきたいと思います。

○大臣政務官(三日月大造君) 申し訳ございません。委員御指摘のその公示は、3月、これは15日に行った……

○西田実仁君 8日。

○大臣政務官(三日月大造君) 8日ですか。伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験を行う補助事業者の募集についての公示ということでお承りをしているんですが……

○西田実仁君 担い手の方ですね。

○大臣政務官(三日月大造君) 大変申し訳ございません。ちょっと今こちらにその担い手についての公示内容の資料がございませんので、別途、後刻個別に御説明をさせていただきたいと存じます。

○西田実仁君 15日のも承知しておりますけれども、その前に、私の認識ではそれを担う人たちを育てる工務店さんとか、あるいは大工、棟梁の皆さんに対して補助事業者として補助して、そういう継承者、後継者をつくっていくという事業だというふうに認識しておりますが、後ほど、じゃ教えていただきたいと思います。
私の意図は、この建築教育機関に対しての木造教育をもっと普及していくということが必要ではないかと。今すぐ担い手になっていただくことも必要ですけれども、正直、建築の専門を勉強されている方も日本の伝統的なこの木造教育ということについてきちんとした教育を受けていないという声がたくさん聞かれます。やはりその後継者を育てていくという意味では、その部分から、カリキュラムの編成を変えるなりして木造教育ということの普及についてもっと国としてもバックアップしていくべきではないかと、こういうのが私の考えでありますが、いかがでございましょうか。
大臣、じゃ、お願いします。

○国務大臣(前原誠司君) 委員の御指摘は非常に大事だと思います。特に、私は選挙区が京都でございまして、私の選挙区の中にも相当古い寺社仏閣等がたくさんありますし、世界遺産の清水寺の清水の舞台というのはくぎが一本も使われていない純粋な木造建築でございまして、そういうものを残していこうと思えば、おっしゃるような技術者を育てていく、継承していくというのは極めて重要でございますので、今おっしゃった観点をしっかりと受け止めて、後進の育成、充実を図っていきたいと、このように考えております。

○西田実仁君 それとやや関係しますけれども、この日本の世界に誇る宮大工の技術を世界に余すところなくアピールしていくと同時に、観光という点でも、東京の顔として、あるいは日本の顔として、江戸城の再建を進めておられる方々がいらっしゃいます。メディアでも随分いろいろと報道もされておりますが、世界中どの都市にも大体顔というのがあるわけで、東京の、特に江戸城については、天守閣をもう一度再現すると、設計図も残っているということでありますし、また石垣も残っていると。造ろうと思えば造れる、ただお金が掛かると。
木造であれば、まあいろんな計算があるようですけど、500億とか1000億というオーダーとも聞いております。そのお金を、戦前の大阪城の天守閣の再建のように浄財を民間から集めてというやり方もあるかもしれません。しかし、いずれにしても、国としてのリーダーシップ、観光ということも考えて、あるいは木造のそうした伝統的な構法の継承というソフトも含めて、この江戸城再建プロジェクトなるものを是非進めていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでございましょう。

○国務大臣(前原誠司君) 江戸城再建プロジェクトがあるというのは知りませんでした。名古屋城は昔のその建て方の図面が残っているということで、河村市長がそれに基づいてやりたいとおっしゃっているのは知っておりましたけれども、委員からの質問の御提示があって調べますと、江戸城再建を目指す会というのがあって、その会長は何と太田道灌公の18代目の子孫であるということでありまして、平成16年12月に立ち上げられて、NPO法人の法人格を取得されたのが平成18年の3月と伺っております。
現在のところこのNPOでは、都民や国民全般からの浄財でもって行うということで計画をされているようでございまして、委員御指摘のように、まあこれどこに建てるかといったら皇居の中になるのかもしれませんが、そういうことも含めて、国としていろんな意味でバックアップをしていかなくてはいけないことも出てくるかと思います。そういう意味では、もしできれば東京の新たな観光資源となるのは間違いがないと思いますので、このNPO法人がどのような活動をこれから展開をされて、国に対してどのような御要望をされてくるのかという推移を見ながら対応していきたいと、このように考えております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
二つ目のテーマは、車体整備事業者の関係であります。
これも昨年11月19日の当委員会におきまして質問をさせていただき、それが一つのきっかけとなって全国の車体整備事業者並びに損保会社に対しましてヒアリング等の調査を行っていただいているということで、今日は田村政務官にも御足労いただきまして、ありがとうございます。
ただ、まだこれ、11月19日の委員会を受けて年末年始という大変忙しい事業者の方々にとっては時期にアンケートのお願いをしているということもありますし、年度末ということもあってかなり大量の回答があったということでございます。今まだ集計中ということで、私自身も結果はまとまった形ではまだ見ておりません。本来、見て質問すべきかもしれませんが、しかし今の段階でお聞きしたいことについて、またお答えできる範囲でお答えいただければというように思いますが、まず、金融庁にお聞きしたいと思います。
今回、ヒアリングを行ったということでございますけれども、どんな内容をお聞きになったのか、損保会社に対しましては、お聞きしたいと思います。

○大臣政務官(田村謙治君) 今委員がおっしゃっていただきましたように、昨年11月19日にこの国土交通委員会におきまして御質問をいただいて、それを受けまして国土交通省とともに金融庁でも実態の調査をいたしました。
金融庁としましては、主要な損保会社、これは主要5社でありますけれども、に対しまして車体整備業者との取引の実態、特にどのように料金算定を行っているかといったことについてヒアリングを行いました。また、あわせまして、作業指数を算定している自研センターに対しまして、国土交通省と合同ではありますけれども、作業指数をどのように算定しているかと、そして作業指数は妥当なのかといったようなことをヒアリングをいたしました。

○西田実仁君 平成6年、公取委から通達、警告が出ておりまして、損保協会に対しまして二つの徹底がなされています。一つは、対応単価につきましては個別に決定すること、そしてもう一つは、この指数方式及び指数使用を強制しないという二つの徹底がなされました。この指数方式につきましては、公取委から出された警告を受けて協会の方では指数方式の合理性に基づいた説得によることとし、本方式を利用しない修理業者に対しまして不利益措置はとらないと協会として取決めをなさったということでございます。
こうした指数方式並びに対応単価もそうですけれども、今のお話によりますと、この公取委からの警告が実態として守られているかどうかということについてもヒアリングなさったということでよろしいんでしょうか。

○大臣政務官(田村謙治君) そのヒアリングの項目としましては、直接的にそのことを、今委員がおっしゃったことを直接的に聞いている質問という項目は入っておりません。

○西田実仁君 実態をお調べになったということですから、当然そうしたことも対象に話としてはあるんだろうと思いますが、結果を待ちたいと思います。
その上で、そもそもこの損保会社が物損あるいは人身の示談代行を行うことにつきましては、弁護士法の特例として認められているわけであります。そして、そういう意味では中立を旨に行わなければならないとなっております。
昭和57年7月の26日に日本弁護士連合会と日本損害保険協会におきましては協定書が交わされています。この協定書では、今申し上げたように、本来弁護士法で禁止されている違反行為ではあるけれども、特例として損保会社並びにその損保の子会社であるいわゆるアジャスターと言われるところが物損、人身の示談代行を行うということでありますので、そうした弁護士法の特例を使う以上、両者で、つまり日弁連と損保協会におきまして協議する機関をつくる必要があると。そして、定期的に継続して問題が起きていないかどうかを協議しなければならないと定めております。
この協議会、いつ直近では開かれたんでしょうか。

○大臣政務官(田村謙治君) 申し訳ございません、その点についてはちょっと承知しておりませんので、確認してまた個別に対応させていただきます。

○西田実仁君 私が知る範囲で、正式ではありませんので、確認していただきたいんですが、平成7年以降開かれていないという情報がございます。つまり、もう14年ぐらい開かれていない。ということは、この損保協会と弁護士連合会の協定書にある、定期的に継続して協議をするということは少なくとも守られていないと。この車体業者と損保会社との間で一部に生じている様々なトラブルということについてもここの協定書にかかわってくることでもございまして、これは取決めどおりきちんと協議をしていく必要があるんではないか。事実関係が分かりましたら、また教えていただきたいというふうに思います。
そこで、作業指数の算出の透明化ということについてお聞きしたいと思います。これは国交省にお聞きしたいと思います。あるいは金融庁でも結構ですが。
これもアンケート結果を見なければ何とも言えませんけれども、少なくともアンケート用紙は私ももちろん入手しておりまして、その質問項目には、その作業指数についてですけれども、どのような情報を開示してほしいかという設問があります。つまり、作業指数はブラックボックスになっている、どういうふうに作業指数、すなわち作業する時間が決まっているのかということが分かりにくいと、そういうことでありますので、じゃ、実態、車体整備の事業者の方々はどのような情報を開示してほしいのかと聞いておられます。また、作業指数の作業時間と実作業の時間とを比較して、どの程度差がありますかという設問もなされております。かなり具体的です。是非、集計していただいた上でその対応を、これだけ具体的にお聞きしているわけですから、考えていただきたいと。
つまり、自研センターは確かに株式会社です。しかし、これだけのアンケートを取って、作業指数についてどこをどう情報を開示してほしいかということまで聞いていて、はい、それでおしまいということにはならないんだろうというように思うんです。自研センターと例えば業界団体との作業指数をめぐる、単価ではなくて、作業指数をめぐる定期協議の開催などを検討する必要があるんではないか。
ちなみにヨーロッパのオランダなどでは、確かにソレイラという民間企業が作業指数を決定しています。しかし、そこには自動車メーカーや保険会社、車体整備組合や工数算出の専門家も加わって、よりその工数の決定プロセスが透明化されているというふうに思います。車の安全、安心ということを守るには、この作業指数というのが一つの重要な物差しになっていることは事実であります。
したがって、この集計結果を受けて、今申し上げました作業指数算出の透明化ということについてこれまでとは違う対応を是非とも検討をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。じゃ、国交省。

○大臣政務官(三日月大造君) ありがとうございます。
これ、11月19日のこの国土交通委員会におきまして西田委員から指摘をいただきまして、国土交通省としては、個別の協定による契約事項に関与する立場にはない、しかしながら安全上これ問題があれば看過できないといった観点から金融庁と協力をして調査を行ってまいりました。
間もなくその結果についてもお知らせできると思いますが、是非、委員御指摘のその作業指数、これ具体的に言うと単位作業時間、これが修理作業の実態に即していないのではないかという観点から果たしてどうなのかということを、是非この結果に基づいてしっかりと精査、分析をして、その後の作業指数なりその後の行政に生かしてまいりたいというふうに考えております。

○大臣政務官(田村謙治君) 金融庁としましても、国交省さんと共同しながら、引き続きその調査結果をできるだけ早急に分析をするとともに、自研センター、先生はもう大変各国の状況も詳しく調べていらっしゃるということ、前回の御質問のときも、そして今もお伺いをいたしました。
金融庁としましても、今のところ把握しているのは、例えばイギリス、ドイツ、スペインといったような国では損保会社が設立をしていて、日本の自研センターもそれをモデルにしているとまでは聞いておりますけれども、今委員がおっしゃったようなより中立的な仕組みというものがあるのかどうかといったようなことまではまだ私も把握をしておりませんので、しっかりそういったところも参考にしながら、日本の在り方どうすべきかと考えるとともに、この指数についても、委員から御指摘ありました透明性も十分であるのかどうか。確かに、まだ調査結果、まとまり次第委員にもお示しできればと思っておりますけれども、やはり車体整備業者の方からは不満もあるという声は聞いております。
ただ一方で、自研センターの方ではそれなりにある程度の透明化の努力は果たしていると、概要をホームページに出してですね。そこに見解の相違があるわけでありまして、そこは両者の意見をしっかり聞きながら国交省とともに検討してまいりたいと思っております。

○西田実仁君 是非、見解の相違があった場合に、見解の相違があったということが確認されて終わりでは何の意味もないわけでありまして、見解の相違があった場合にそれをどういうふうにして調整をしていくのかという、そしてその作業指数の透明化を図る仕組みをどうつくっていくのかということを前向きに検討いただきたいというふうに思います。
私が聞いているのは、結局、安全上の問題ということなんであります。この調査票でも一番最初に聞かれている設問、これは私も随分事業者の方から苦情を言われました。一番最初に聞いている割には、こんなこと答えられるわけないじゃないかというふうにおしかりをいただいたわけであります。最初の質問というのは、この今話題になっている自研センターが策定する作業指数の作業時間内で修理した結果、不適切な修理作業になってしまったと、それで事故とか故障が発生したと。発生していますか、していませんかというふうに質問はなっているんです。こんなのおかしいですよね。事業者が自分で直している人たちに対して、あなたは故障が起きるような修理をしていますか、していませんかと聞いているんですよ。そんなのはしていないに決まっているじゃないですか。全くナンセンスな質問であります。しかしながら、それでも踏ん張って答えている方が私のところにも随分とお声をいただいております。
修理業者の方は、その多くは、たとえ修理料金が少なくても、また指数、この時間が合っていなくても、実態と合っていなくても、安心、安全な修理作業を行うので、当然のことながらこれは二番のしていないというふうに答えるんですね。二番に答えながらも文章に書いている、あるいは一番というふうにあえて答えて文章にお答えになっている方もいらっしゃると聞いております。つまり、事業者の方の思いは、作業時間の指数が合わなくても、お客様の車をお預かりしているんだからそれをサービスで修理すると、保険会社が認めないからといって直さない車をお客様に渡せないと、その車が修理後、事故をもし起こしたら自分の責任になるからだと、こういう倫理観で修理をしているわけであります。
ですから、ここは数字上の処理の仕方にもよると思いますけれども、一番最初に聞いている質問が故障が発生していますかと。していないというのがたくさんあるからといって何も問題がないんだというふうには是非解釈をいただかない方がいいと思います。実際には、皆していないと答えざるを得ない、あるいは当然答える。しかし、その裏には、実際にサービスの修理をすることによって安全が保たれているという声がたくさんあると。また、そういうことを、多分一人や二人じゃないと思います。集めた数は3000社以上、アンケート数あると聞いておりますので、その中にはそうしたことをわざわざ記述していただいている方も多くいらっしゃると思うんですね。
今まで顕在化していなかった問題が今回のアンケートによって顕在化していると、そこを重視して、この安全上の問題についてきちんと損保会社とそうした自動車修理の皆さんとよく同じ舞台で安全のためにどうするのかということを検討いただきたいというふうに思いますけれども、いかがですか。

○大臣政務官(三日月大造君) いや、本当に重要な御指摘をいただきまして、私も、事故、故障は発生していないと聞かれれば、当然、自分の修理作業に起因するような事故、故障は発生していないとどうしても答えてしまう、そういう聞き方になってしまっていると思いますし、これ伺えば、実名入りでこの回答を求めていれば、なおさらのこと、そういう結果になってしまうおそれがあると思っています。
いずれにいたしましても、安全上看過できない無理というものが、この短過ぎる、小さ過ぎる作業指数によって発生しているのかしていないのか、そのおそれがあるのかないのかということを、この結果を踏まえてしっかりと検証させていただきたいというふうに思います。

○大臣政務官(田村謙治君) 金融庁としましても、損保会社が適切な保険金支払をしているかどうかということを監督する立場でございますので、そこは国交省さんとしっかり連携をしながら、委員の御指摘をしっかりと踏まえて検討を進めてまいりたいと思っております。

○西田実仁君 この車体整備、自動車修理に関して、最後一問、させていただきたいと思います。
このアンケートとは離れまして、多くの車体整備の方はディーラーさんからの下請の作業をしておられます。この元請である自動車ディーラーから下請を請ける際に、慣例として下請代金を値引きされている。これ自体、何か問題だとは思いません。問題はその値引き率、業界ではレス率というふうに言うようですけれども。これがこれまで25とか30%ぐらいであれば、そもそも仕事をもらっているわけですから、まあそんなに苦情も多くないと思うんですが、やはり最近は不況のせいでしょうか、もう4、50%値引きされているというケースが多々あるというふうに聞いております。損保会社とディーラーの間で協定した金額から40%から50%値引きをされて下請に出されている。実際作業するのはその下請の車体整備の事業者の方々であります。
これは、業者とディーラーの間の取引は下請法の修理委託に当たるというふうに思います。したがって、下請代金減額の禁止、法4条1項3号、あるいは買いたたきの禁止、同項5号が規定されているわけであります。
今日は経済産業省の副大臣にもお見えいただきまして、ありがとうございます。この下請法に規定していますことは、中小企業庁長官はこうした問題が起きた場合にはきちっと報告又は検査をしなければならない、こう規定しております。私が聞いているのがすごく、ごくごく例外的なことなのかもしれません。しかし、決して一人や二人から聞いている話ではないことも申し上げたいと思います。このディーラーと下請である車体整備の間の値引き率、これが近年非常に大きくなっていると。それが、その値段ではできないよということになって安全上問題が起きるのではないかということを一番私は危惧しているわけですけれども、下請法の法に定めるこうした中小企業庁長官としての検査並びに報告ということについて、どのように現状認識をされておられますでしょうか。

○副大臣(増子輝彦君) お答え申し上げます。
先生から御質問ございましたとおり、下請関係にある自動車ディーラーと自動車修理工場との間の修理委託取引については下請代金法の対象となります。同法により買いたたきや下請代金の支払遅延などは禁止されているところであります。今委員から御質問のとおり、異常なる値引き、これはまさに買いたたきということになろうかと思います。私どもとしてもこの実態をしっかりと把握をしなければいけないという認識に立ってございます。
そういう中で、景気の落ち込みに伴う影響が極めて大きなこの問題に影を差しているんだろうと思います。立場の弱い下請中小企業に滞ることのないよう、経済産業省としても中小企業庁としてもこの下請代金法の運用の強化に努めているところでございます。
具体的に申し上げますと、下請代金法に基づく書面調査数を昨年度の20万件から23万件に増加をいたして、この買いたたきを始めとする違反の実態把握を強化しているところでございます。二番目に、下請代金検査官、検査官おりますけれども、来年度は18名増員をいたしまして84名とするところでございます。さらに、三番目として、昨年末に問題行為を繰り返した親事業者に対して経済産業省といたしまして特別事情聴取を、315社でございますが、実施させていただきました。そして、改善報告を求めるなどの対策を講じているところでございます。
こういう実態の中から、中小企業の取引に関する相談に更に親身に対応すべく、全国48か所に設置した下請かけこみ寺の無料相談弁護士を400名に実は増員をさせていただいたところでございます。
今後とも、下請代金法を厳格に運用する中で、下請関係にある自動車ディーラーと修理工場の取引も含め下請取引の適正化を推進してまいりたいと思っております。
委員おっしゃるとおり、値引き率の問題、さらにこの景気低迷ということも含めながら、様々なこれから問題が生ずる可能性がございますので、我が省としてもこの取締りあるいは指導にしっかりと努めてまいりたいと思っております。

○西田実仁君 ありがとうございます。是非、このディーラーと下請たる車体整備の間の値引き率、問題として上がってきておりますので、実態を掌握していただいて適切な対応をお願いしたいと思います。
委員長のお許しが出ましたら、結構でございます、経済産業副大臣。

○委員長(椎名一保君) 御苦労さまでした。

○西田実仁君 ありがとうございました。
次に、残りの時間、八ツ場ダムの中止の方針に伴う影響につきましてお聞きしたいと思います。
私は、地元は埼玉県でございまして、特に栗橋町で今堤防強化事業が行われております。私が初当選をさせていただいて以来、この栗橋町、当初はスーパー堤防ということで進めておりました。しかし、先ほど議論もございましたとおり、予算の制約等もありまして、堤防強化事業という形に変わりました。
御案内のとおり、昭和22年、カスリン台風で決壊をした栗橋町、もう町の中に行きますと電柱にここまで水が来たというのが赤線が引いてございまして、みんなそれを大変に恐れている。水が流れてくるのではなくてもう水が走ってきた、当時のことを知っている御高齢の方から私もたくさんいろんな話をお聞きしております。
既に現在、この栗橋町で堤防強化事業が進められておりまして、住民の移転も始まっております。来年度には約60件40世帯が契約、支払をするというふうにも聞いております。また、できれば来年度中に契約をしていきたいという方も40件30世帯いるということも聞いております。
まず、お聞きします。この今進めている堤防強化事業によって移転をしなければならない方々が約230世帯いますけれども、来年度、今申し上げましたとおり、100世帯近くが移転を希望をしているということであります。これについては予算はもうきちんと確保されているんでしょうね、一応確認します。

○国務大臣(前原誠司君) 今委員から御指摘ございましたように、江戸川から利根川の上流部の特に右岸、堤防が一たび決壊しますと、そのはんらん水は埼玉県東部だけではなくて東京都まで達しまして、首都圏の中心部に壊滅的な被害を及ぼすという可能性がありますし、先ほどカスリン台風の事例を委員がひもとかれたこともまだ多くの方々には記憶に残っております。
このため、その区間の堤防の強化は急務であると認識をしておりますし、特に委員が今御指摘をされた栗橋を含む埼玉県の羽生市から茨城県の五霞町の利根川右岸の堤防強化につきましては、平成25年度完成を目途に重点的に用地買収等を取り組んでいるところでありまして、これについてはしっかり継続をしていきたいというふうに思っております。
羽生市から五霞町の23.5キロ、25年度完成目途でしっかりと続けていきたいと、このように考えております。

○西田実仁君 そうすると、今申し上げた見込みとして100世帯ぐらい来年度契約をしたいというふうに言っている、またその可能性があるということなんですが、それだけの予算は十分に確保されていると言ってよろしいんでしょうか。
〔委員長退席、理事吉田博美君着席〕

○国務大臣(前原誠司君) 平成21年度、利根川上流区間、これは268.6キロ、両岸でございますが、事業費が約101億のうち利根川の第一期区間、さっき申し上げた23.5キロの堤防強化には半分を超す56億円を重点的に投入をしているところでございまして、先ほど委員御指摘のような形で、特にこの右岸の堤防強化というのは焦眉の急でございますので、しっかりと着実に進めていきたいと考えております。

○西田実仁君 今御指摘いただいたように、栗橋町は元々あそこが関所になっておりまして、関東の三大関所の一つです。ほかの羽生とか五霞町とか今御指摘いただいたところの地域と決定的に違うのは、栗橋町は川沿いに商店街があるということなんです。普通は畑とか田んぼであります。つまり、商店街がそこにすごく発展をしておりますので引っ越す方々も大変に多いという、ほかの地域と違う難しさがあります。したがって、この堤防強化事業は国でやりますけれども、国の事業としてのみならず、まちづくりということと一体でやらなければならないという難しさが特にあるということであります。
〔理事吉田博美君退席、委員長着席〕
そこで、まず、この八ツ場ダムを仮に中止というふうになった場合に一番懸念、心配をしておりますことは、この栗橋町の堤防強化事業に何か変化が生じるのかどうかということであります。
これは、洪水をいかにして防ぐかという考え方にもよるんですけれども、私の理解では、洪水を防ぐ場合にはダムだけではもちろんなく、遊水地とか河道の掘削とか堤防も含めたチームとしての治水ということではないかというふうに思うんです。そうしますと、ダムが計画が一つ消えると、それだけ下流の堤防への負荷が増えることになりはしないのか。
つまり、私の関心事で申し上げますと、栗橋町で今堤防強化事業を行っているけれども、八ツ場ダムを中止にした場合には更に強化をしなければならなくなるのではないか。となると、スーパー堤防のように、更に引っ越す人が増えるのではないか、あるいは、今引っ越した人がまた引っ越さなきゃいけないのではないか。これまでこの栗橋に住んでいる方はもう三度、実は四度と引っ越している方がいらっしゃいます。そのたびに国の事業に協力をして泣く泣くあえて引っ越していただいているということもありますので、私はそのことを一番懸念をしております。
いろんなお考えがダムについてはおありになると思うんですけれども、少なくとも今、この栗橋で泣く泣く、高齢者の方も多い、また若い世代でローンが二重になる方も多い、こういう地域の方々、仮に八ツ場ダムを中止するということに最終的に決まった場合でも再度引っ越すというようなことにはならないと、大臣、是非明言いただきたいのです。

○国務大臣(前原誠司君) 昭和22年のカスリン台風からかなりの年月がたちまして、それ以降、利根川上流には幾つかのダムができましたし、堤防強化あるいは掘削、そういった河川整備が行われてきたところでございます。
今回の八ツ場ダムの中止というものの方針は今打ち出しておりますが、予断のない再検証の中でどういう利水、治水を行うのかということの見直しを行っているところでございまして、そういう意味では、こういった評価軸が定まって、そして利根川水系全体のどういう治水をしていくかということの中で決めていくということでございまして、今のところ、この地区においてはこういう事業を行うということについては明確にお答えできないことは誠に申し訳ないと思っております。
しかしながら、今まで行ってきた堤防強化策、そして、行うと言っていたにもかかわらず進捗状況はかなり低いものがございまして、やはりその破堤というものをしないために、今までやると言ってきてできていなかったところをこれは再検証中であろうがしっかりやっていくということが大事でございますので、今御指摘のあったこの栗橋を含む羽生から五霞町のこの23.5キロメートルはしっかりやらせていただきたいというふうに思っておりますし、当面整備を要する区間というのは、それから先、江戸川のいわゆる三郷の方まで行くところ、これも右岸は特に優先してやらなくてはいけないというふうに思っております。こういったところをしっかりやっていくということの中で、八ツ場ダムが仮に中止になったときにどういう整備計画を行うかということの中で堤防強化についてもお示しができるのではないかと思っております。
今のところ、誠に申し訳ありませんが、確たることを申し上げるわけにはなかなかいかないということでございます。

○西田実仁君 しかし、これ住民の皆さんは本当に国に翻弄されてしまうんです。もう今申し上げましたとおり、かなり高齢の世帯が多い。それを泣く泣くもう引っ越してもらう。若い世代も実際多いんです。ローン残債があるけれども、更に新しいところでローンを組まなきゃいけない。しかし、それも、国に協力しなきゃならない、こういうことでやっていただいているわけです。
ですから、そのいろんな制約を考えて、それぞれの地域でどう治水をしていくのかということを考えなきゃいけないのはよく分かります。しかし、既にこうして移転まで伴って堤防強化事業に協力してくださっている住民の方々が再度引っ越しをするなど、あるいは何らかの経済的な負担が増すというようなことはないという制約も入れて再検討していただけませんでしょうか。

○国務大臣(前原誠司君) 委員の御趣旨はよく分かりました。
スーパー堤防になりますと、堤防の高さをHとしますと、大体幅が30Hという、30倍の幅を取ります。そして、堤防の高さ、徐々に下げていきますけれども、それぐらいの巨大な堤防ができるわけでございますけれども、その上にまちづくりを併せてやっていくということになります。
昨日も予算委員会である議員とのやり取りがスーパー堤防についてはございましたけれども、これはあくまでも民主主義国家でございますし、地方自治の観点からいたしますと、地元の賛同なくして、これはまちづくりと一体になりますので、スーパー堤防については、したがって地元の御理解なくやるということにはなりません。したがって、この再検証が終わって仮に八ツ場ダムはやらないと、その代わり違う治水代替策をやるということになったときに、仮にですよ、その仮の仮になるわけですけれども、例えばスーパー堤防だということになったときにしても、それは地元との御相談の中で地元がお受けいただければそうすると。お受けいただけなければ今進めている堤防強化というものをしっかりとやって、破堤、越水がないような状況をつくっていくということでございますので、いずれにしても、地元の自治体との話合いをしっかりやりながら進めていくということになろうかと思います。

○西田実仁君 当然のことながらこの安全ということが守られなければならない、そういう治水が必要であると。しかし一方で、今申し上げた生活の問題もあると。ここをよく地元の理解を得ながらというお話でございますので、そこをお願いしたいと思います。
それから、利水の話に移りたいと思います。
もう既に御案内のとおり、先ほども質疑がございましたけれども、この八ツ場ダムによって開発をされます水の約6割は既に暫定水利権として取水をしております。つまり、既に需要は発生しているわけですね。過大な需要だとかそういうことじゃなくて、既に需要が発生していると、まずこういう事実です。
特に埼玉県は、この八ツ場ダムの完成を前提とする暫定水利権、毎秒7.453立方メートルが含まれておりまして、県営水道の水利権全体の29%、約3割ですね、この水量で県民約160万人分の水道水を充てていると。この八ツ場ダムが、これも仮の話ですけれども、その治水の問題は、今申し上げましたとおり、正直チーム治水ということですから、ダムだけじゃないと私も思っています。ダム以外のところで、逆にダムを一つやめるんであれば、ほかのところに負担掛かってでも治水をする可能性はあると思います、その経済的な問題は別としましても。
しかし、この利水については、とにかく水源措置がない中で今埼玉が利用している暫定水利権、八ツ場ダムが仮に中止されて水源措置がなくなった場合に、これは安定水利権になるということはあり得ないんじゃないかと思うんですね。
実際、平成13年度の渇水を見ても、安定水利権の取水制限は10%でした。しかし、暫定の方は20%制限がございました。利根川の水利用の実態とか河川の流量を見ても、利水に余裕はそんなにあるとも思われません。私は、この八ツ場ダムが仮に中止された場合に、埼玉の水がどのように安全に安心して飲めるのかということに大変心配をしておりまして、大臣にお聞きしますが、八ツ場ダムが仮に中止された場合には、この水源措置がない中で今暫定水利権として埼玉が取水している部分、安定水利権になるというふうな仕組みは考えられるんでしょうか。

○国務大臣(前原誠司君) 西田委員から暫定水利権についてのお尋ねがございました。
先ほど委員が御指摘をされたように、埼玉県全体ではダムなどによる安定水利権が68%、それから河川の自流による安定水利権が4%、そのほかが27%が暫定水利権でありますけれども、八ツ場ダム暫定水利権が26%ということになっているわけであります。
この暫定水利権というのは、もう委員御承知のとおりでございますが、水需要が増大し緊急に取水することが社会的に強く要請されている場合にはダムの完成を待たずにやむを得ずして許可しているということでありまして、そのため、河川の流量が不足する場合には取水できないなどの条件も付していると、いわゆる豊水条項と言われるものでありますけれども、そういうものを付しているわけであります。
利根川水系の暫定水利権についても同様の条件を付しておりますけれども、今までの首都圏の急激な人口増、経済活動の活発化などによる水需要の急増に対応せざるを得なかったということから、関係者の理解と協力の下で八ツ場ダム完成までの一時的な措置として、既存の利根川上流ダム群から貯留水を年間200日以上に及んで河川に放流することによって取水停止という事態を回避してきたということでございます。
このため、仮に八ツ場ダムを中止することになった場合、八ツ場ダム完成までの一時的な措置である暫定水利権分の取水を継続していくかどうかということは、この暫定水利権に協力をしてくださった方との協議ということになるわけでございまして、既存の利水者に対し十分協議をし理解を得るということが必要になりますので、現段階においては予断のない再検証というものを行っておりまして、また有識者会議においては治水、利水併せて評価軸を今考えてもらっているところでございますので、どのような暫定水利権に代わる水の供給源を見出していくのか、暫定水利権を安定水利権に変えるのかどうなのか、その場合にはいろんな方々の御協力も必要になりますし、そうでなければ他の水源をどう見出していくのかと、いろんなことを考えていかなくてはいけないと思っております。
ちなみに、委員も御承知のとおり、四国の細川内、それから新潟の清津川、こういったところでは暫定水利権を安定水利権に変えたという事例はございます。

○西田実仁君 まさにそこの協議になるわけですね。それは利根川の水利用の実態あるいはその流量の確保ということからどれだけ余裕があるのかということによって、協議が調うかどうかということになろうかと思います。それは大変に難しいんではないかというふうに我々埼玉県では特に強く思っているものですから、大変に心配をしていると。しかも、今回の八ツ場ダム見直しの検証有識者会議ですか、これも治水は専門家がたくさん入っていますけれども、ちょっと利水の人が少ないんじゃないかという心配もございます。是非、この代替案なるものを出していただかなければ協議、検討がなかなかできないという状況でありますので、急いでお願いしたいと思います。
最後の時間を使いまして、ちょっと細かい話ですけれども、建設業におきます監理技術者制度の運用マニュアルというのがございます。これにつきましてお聞きしたいと思います。
この監理技術者制度は建設業法に基づきまして運用マニュアルができておりまして、公共工事におきまして、発注者から直接請け負う建設業者の専任の監理技術者等については入札の日以前に3か月以上の雇用関係にあることが必要とされておるようであります。
しかしこれ、今、物すごい不景気です。また、公共工事もずっと減ってきていると。また、極端に今も削減されているという状況の中でなかなか先の見通しが立たない。3か月以上の雇用関係がないと入札できないというのではなかなか中小の建設業界は大変であると、こういう声、いっぱいいただいております。
制度の趣旨として、なぜ3か月なのかということなんですけれども、その運用マニュアルを読みますと、監理技術者と所属する建設業者が双方の持つ技術力を熟知し、建設業者が組織として有する技術力を技術者が十分かつ円滑に活用して工事の管理等の業務を行うことができるためと、こう書いてあるように私は理解しています。3か月は本当に必要なのか、むしろ3か月なくてもこれは柔軟に運用されて、仮に何か問題があったら厳罰を加えていくというふうにすべきではないか、この運用のマニュアルなるものですから、これがしかし現場ではかなり大きく中小の建設業者のおもしとなっている、こういう現状がございます。なぜ3か月なのかということとともに、この運用を柔軟化してむしろ厳罰化していくという方向にすべきではないかという私の考えにつきましてお答えいただければと思います。

○大臣政務官(三日月大造君) 今委員御指摘のとおり、建設工事の適正な施工を確保するために、技術者個人の持っていらっしゃる技術力と、かつ建設業者が組織として有する技術力が相まって現場で工事として発現されることが重要であると考えておりまして、この観点から、公共工事の元請の専任技術者については、今まさにマニュアルを御紹介いただいたように、必要最小限の具体的な基準として入札の申込みがあった日以前に3か月以上の雇用関係があるということを求めております。
なぜ3か月かということについては、これは特に絶対3か月じゃないといけないということの科学的、客観的な理由があるわけではなくて、おおむね、今御紹介いただいたように、双方の持つ技術力を熟知したりとか、あと資格者証ですとか健康保険被保険者証等に記載されたものの確認できるということが必要であるということから定められているものだと承知をしております。
この制度は、不良不適格業者を排除しながら、発注者を保護する観点から重要というふうに思っておりますが、まさに今厳しい経営環境の中、全体として建設業者に過大な負担とならないようにしっかりと我々としても注意をして見守ってまいりたいというふうに考えております。

○西田実仁君 是非、実態をよく見ていただきまして、これはもう運用マニュアル、原則はそうだとしても柔軟になされることも必要ではないかというふうに思いますので、御検討をお願いしたいと思います。
以上で終わります。