183-参-憲法審査会-003号 2013年05月22日
○西田実仁君 お二人の先生には、大変にお忙しい時間、ありがとうございました。公明党の西田実仁でございます。
憲法について考える基本的な立場ということを申し上げますと、国民主権の徹底であるというふうに私は思っております。したがって、改憲ということでいえば、国民の皆様が何を望んでいるのかということが最重要になるんではないかというふうに思うわけであります。
今、様々なニーズはあろうかと思いますけれども、官僚支配の行政からいかに脱却するかというのは大きなテーマとして掲げられていると思います。仮に選挙を通じてねじれ自体が解消できても、例えば東日本大震災の復興予算の流用問題などがあるように、こういうことでは国民の支持は得られませんし、政治全体への信頼というのも低下するんではないかと思います。
ただ、いわゆる官僚支配の行政から脱却といっても、単なる官僚バッシングでは仕方ないわけでありまして、そんなことを国民も望んでいないというふうに思います。真に公共の利益を実現するためには統治機構の本質的な問題を論じなければならない、真正面から議論すべきであるという立場であります。特に、立法府と行政府の関係の問題に議論を深めていく必要があると思っております。
さきに産経新聞の憲法改正要綱におきましては、参議院に行政監視院を置くということが記されておりました。また、同要綱では、国会同意人事の先議権を参議院に付与するということも規定されておりました。行政の組織あるいは人事に対する統制を参議院に行わせるという趣旨であり、いわゆる官僚支配の行政からいかに脱却するかということに貢献する一つの考え方ではないかというふうにも思うわけでございます。
そこで、お二人の参考人にお聞きしたいわけでありますけれども、この国民主権の徹底という観点からは国会の行政監視機能をいかに高めるかということが一番問われていると思いますが、その視点での衆参それぞれの役割はどうあるべきか。権限を強める弱めるという、そういう切り口もあるかもしれませんけれども、私が申し上げたいのは、その役割分担というところで、特に参議院では組織あるいは人事といった行政監視機能をより強めて、そして衆議院の方はむしろ予算あるいは決算も含めた財政的な資金的な監視を強めるという役割分担という整理を自分の中ではしておりますけれども、お二人に是非お聞きしたいと思います。
○会長(小坂憲次君) それでは、大山参考人から最初よろしいですか。
○参考人(大山礼子君) 行政監視機能というのもなかなかこれ、非常に重要なのですけれども、なかなか難しいところがあろうかと思います。
誰が担い手になるかということでございますけれども、野党による行政監視、これが、例えば少数者調査権というようなものがございますけれども、これも非常に一方で重要なんですけれども、もう一つ、与党は行政に対して、こういうことをしなさいという、命じている法律を作った責任者でございますので、与党の立場からどのように行政を監視していくかということも一方で非常に重要な視点かと思います。
どういうふうに分担していくかという、なかなか、これはもっと細かく詰めていかなければなりませんけれども、衆議院も、衆議院の多数派が法律を作っていく責任者であるならば、その立場からの行政監視ということもあり得るんではないかというふうに思っております。
○会長(小坂憲次君) それでは、只野参考人、お願いいたします。
○参考人(只野雅人君) なかなか一言でお答えするのが難しいところがございますけれども、議会一般の機能としまして立法と政府に対する統制があると、これは広く言われているところでございます。
恐らく、先ほどの御発言というのは、参議院の方は内閣とはやや距離があるであろうと、したがいまして統制により適しているであろうと、こういう御趣旨が前提にあるのかなという感じがいたしました。確かにそういう面ございますけれども、他方で、やはり、先ほど申しましたように、参議院が強いというようなことを前提にしますと、その部分はある程度相対化されてくるのかもしれません。
ですから、一般論としましては、行政監視なり統制というような問題は、やはり両院共通の問題としてはまず考えてみると、その中でそれぞれの役割分担を考えていくと、こういうことになるのかなという感じがしております。
参議院独自なものとしてどういうものが適しているのかと、これなかなか難しいところがございますけれども、やはり、一つ手掛かりになるのは任期の長さということではないかなと思っております。少し長期的なスパンで仕事ができるということでございますので、そういった視点から、それにふさわしいような統制の在り方を考えていただくというのが一つあり得る視点かなというふうに思います。
取りあえず、以上でございます。
○会長(小坂憲次君) 西田実仁君、よろしいですか。
○西田実仁君 はい。