185-参-財政金融委員会-003号 2013年11月14日
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
今日は、特会の改革ということで、私といたしましては、この中でも特に外為特会のことのみに絞って御質問させていただきたいというふうに思います。
今から六年前、この委員会で、当時は尾身さんが大臣をされておられましたときにも同じ質問をさせていただきました。それは、借金をして政府短期証券、FBを発行して得たもので米国債等を買い入れているわけでありますけれども、積立金をやはりこれをなくしてFBの償還にすべきではないかという当時議論をさせていただきました。しかし、当時は、やはり積立金は必要であるということで、その質問では何ら変化はなかったわけでありますが、その後、自公政権、そして民主党政権とこの特会改革が続けられてまいりまして、今回、この積立金を廃止をして、そしてFBの償還に充てていくということが改めて今回の法改正で決まるということで、そのことに絞ってお話をさせていただきたいと思います。
積立金、今どのぐらいあるかといいますと、お手元にお配りさせていただきました貸借対照表においても、これは一九九一年度からのものをずっと時系列で並べさせていただいております。今この外為特会の資金規模、九一年度は二十三兆円ほどだったものが、今、今年度の予算ベースでは二百十一兆まで来ているというところであります。その中で、積立金というのは、九一年度には七兆円だったものが二十一兆まで来ているということでございますけれども、この積立金二十一兆をなくして財投預託をやめるということでございますけれども、ではこの現行の預託金がどういう扱いになるのかということについてお聞きをしたいと思います。
この貸借対照表の下の方を見て、貸方の方を見ていただきますと、積立金二十一兆のうち財政融資資金預託金が十一兆あるわけでありますが、約定期間が七年未満のものと七年以上のものとそれぞれございます。この満期前の預託金は回収されるのかどうか。すなわち、期限前返済を迫ることが可能なのかどうか。それとも、財投預託金が順次満期を迎えるにつれて、それに対応する政府短期証券の残高が減るということなのか。だとすれば、今後何年掛けてどれくらいのFBが減ることになるのかということについてお聞きしたいと思います。
○副大臣(愛知治郎君) 今回の法改正によりまして、積立金として財投預託されている約、これは二十四年度末における額でありますけれども、十四・七兆円の円貨ですが、これらは順次FBの償還に充てていくこととしております。
この財投預託されている円貨は、財政融資資金の資金繰り及び国債市場に与える影響に配慮し、預託期限の到来を待って段階的に縮減することを想定しておりまして、具体的には毎年三兆円程度を減額をして、五年程度、平成三十年度でゼロにすることを予定しているところであります。
○西田実仁君 じゃ、確認でございますけれども、期限前返済を迫るようなことにはならないということでしょうか。
○副大臣(愛知治郎君) そのとおりであります。
○西田実仁君 この今回の改正は、積立金を廃止してFB償還に充てるということですけれども、剰余金の扱いについてはどう変わるんでしょうか。これは、前政権下で発せられましたけれども、当分の間、毎年度の剰余金の三割以上を外為特会に留保する、積立金の保有外貨資産に対する割合が三割に達していないからというのが平成二十二年の十二月に報道発表されたものでございますが、この方針は変わらないのでしょうか。
○副大臣(愛知治郎君) お答えを申し上げます。
外国為替資金特別会計の御指摘の剰余金の処理に当たっては、今回の法改正後になりましても、一般会計の財政事情を勘案しつつ、外国為替相場の変動等に備え、同特別会計の健全性も確保していくという考え方に変わりはございません。
したがって、法改正後も外国為替資金特別会計剰余金の一般会計への繰入れルールを踏まえ、御指摘のとおりに毎年度の剰余金の三〇%以上を同特別会計に留保いたしまして、内部留保額の保有外貨資産に対する割合を中長期的な必要水準、これは保有外貨資産の約三〇%になりますけれども、に向け高めていくことを基本としつつ、同特別会計の財務状況や一般会計の財政状況も勘案して一般会計繰入額を決定していくことになると考えております。
○西田実仁君 私自身は、これなぜその方針を変えないのかということに大変疑問に思っております。
今の御説明にありますような、外為特会の金利変動リスクあるいは為替変動リスクを吸収して通貨当局の信認を確保するためにはこの三割の内部留保は必要というのが、六年前に質問したときも同じような答弁でございました。
しかし、日本は外貨準備高は一兆三千億ドルも持っているという、もう世界一、二を争うわけでございまして、通貨当局の信認を確保するためになぜこの特会の中に三割もの、あるいはそれ以上の内部留保金を蓄えておかなければならないのか。外貨準備がこれだけあるのに、どうしてその通貨当局の信認が崩れるようなことになってしまうのか。そもそも誰からの信頼性を懸念しているのか。あるいは、アメリカはもちろんですが、イギリスその他で、先進国でこういう内規を持っているところがあるのかどうか。これについてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) この特別会計につきましては、これは法改正後も、外国為替相場のいわゆる変動というものを勘案し考えながらこの健全性を確保していくというのは、これは絶対必要なことなんだと思いますが、内部留保としてこういったものの資金を直接に、外国為替に直接組み入れて、いわゆる内部留保として保持することとしておりますが、その内部留保に必要な金額ということが御質問のところだと思いますが、外国為替相場や市場金利の変動というものは、これは保有しております外貨資産に発生する評価損をおおむね下回らない程度に水準を置いております、基本的には。
また、過去の為替や金利の長期間のデータに基づいて算出しておりまして、保有外貨資産の百分の三十というものを基本として置いておるところであります。中期的にはこの水準まで積み上げることが正しいと思いますが、今一七%ぐらいだと存じます。
アメリカやイギリスではどうかという御質問があっておりましたけれども、これは同様に総資産に占める割合で見ますと、アメリカの場合は四三%、イギリスの場合で四七%ということになっておりますので、そういった意味では各国とも同様な試算をしておりまして、私どもの三〇%というのが特に多いというような感じを持っているわけではございません。
○西田実仁君 アメリカ、イギリスなども、外為特会という名前ではありませんけれども、その目的がやはり日本とは随分違うんだろうというふうには思っております。つまり、突発的な資本逃避等に対外流動性を維持するためということでの今言われたような内部留保ということになりまして、日本の場合はむしろ為替介入ということを目的としてこの特会というものが主に成り立っているということでありますので、私自身はこの内部留保をこれだけ維持しなければ通貨当局の信認が得られないという理屈はどうかなというふうにやや疑問に思っております。
その上でお聞きしたいと思いますけれども、この外為特会の保有する外貨資産については、円高に伴い発生する評価損の見合いの役割があるんだということで、従来の積立金、今後の剰余金について言われているわけでございますけれども、これを逆に言いますと、円高の進行等になかなか手も足も出ないと、それでありますので、円高に伴い発生する評価損、これにいつも備えていなければならないというふうに言えなくもないんじゃないかと。
むしろ、この円相場の安定を図るには、私は、麻生総理だったときの二〇〇八年の段階で、IMFの資金基盤の強化に向けた資金貢献として、累積一千億ドルまで外為特会から融資をするというふうに決められたような、通貨外交というんでしょうか、先進国、新興国を問わず日本の円相場の安定ということに理解を得ていく、そういう努力をむしろすることによって信認を得ていくという、また相場の安定を図っていくという方が健全ではないかというふうに思われるわけでありますけれども、大臣、今どう御認識でしょうか。
○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありましたとおりに、為替に、いわゆる為替を含みます国際金融政策というものに関しましては、これは日本の政策を外国から理解され、なかんずくG20等々、また新興国から理解を得ていくというのは基本的に大事なことで、これは常日ごろから、そういった国際会議の場に限らず、その他ASEAN諸国との財務大臣会合等々においても、この点はきちんと丁寧に説明しておくということは、もう私どもは大事なところだと思っております。
その議論の結果として、過日、G20において、為替レートの無秩序な動きが経済及び金融の安定に対し悪影響を与えるということや、日本の財政金融政策は、これは円の独歩安といって、この二月初めごろEUにもたたかれたものだったんですけれども、これは、日本の財政金融政策というものは何も円安政策ではないんであって、デフレ不況からの脱却を目的とした金融緩和した結果的に副次的に生まれたのが円安なんであって、円安はそのいわゆる二次産品みたいなものなんだというような話やら何やらして、共通認識として理解をされているところでもありますので、こういったような話をこれまでもいろいろな形でしております。以後、少なくとも四月以降、円の独歩安などというような話を言われるということは間違いなくなくなってきておりますので、そういった努力はこれまでも、また今後ともしていかねばならぬものと思っております。
○西田実仁君 ありがとうございます。
損益計算書を見ていただきますと、本年度利益というのが一番歳出の右側にございます。本年度利益の予算は六千二百九十五億円ということになっております。これまでの決算の数字がそれまで上に書いてございまして、二〇〇九年、二〇一〇年、一一年、一二年と見ても、大体三兆円近くずっと本年度利益は出ているわけであります。しかしながら、今年度はそうした水準からしますと相当激減をした予算を組んでおります。
その理由としては、左側に借入金利子というものを見ていただければ明らかでございまして、二〇一二年度には一千八十五億円の借入金利子を、今年度予算では一兆二千二百九十二億、約十倍の借入金利子を組んでいるわけでございます。そして、その右側の方に予備費もございまして、予備費も三千億円も組んでいるという。この借入金利子及び予備費が、これだけ予算として膨らませたのはなぜなのか。日本銀行による異次元の金融緩和というのを行っている中で、金利急騰シナリオを描く理由がどこにあるのかということについてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 外国為替の資金の特別会計の借入金の利子についてのお尋ねなんですが、これは平成二十五年度の予算におきましては一兆二千億円を計上しております。御存じのように、おっしゃるとおりであります。一方、二十四年度の決算額は約一千億ということになっておって、決算額に比して予算額が大きくなっているではないかということだと思いますが。
これは、FB、政府短期証券のいわゆる利子というものを予算段階で積算をしてまいります際に、政府短期証券の発行限度額というのは百九十五兆というまでいわゆるFB、政府短期証券を発行すると仮に仮定をして、かつ金利につきましても、過去実際に上昇した例というものを、どの程度、同じ程度の上昇があった場合でも対応ができるようにということを極めて保守的に見積もって金利を定めたものであります。
例えば、平成十八年から十九年度にかけて、一年間で三か月物のFBの金利が〇・一からいきなり〇・六とか五とか上がったということもありますので、そういった意味では、常にそういったものを踏まえて計算をしておかねばならぬというのがこういったものになってくる背景というように御理解いただければと存じます。
済みません、もう一点ございました。特別会計の予備費についての御質問もあっておりました。
これは、平成二十五年度におきまして三千億円を計上しておるではないかというのは、これは為替相場の安定という特別会計の目的というものを考えて、想定金利よりも更に金利が急上昇ということに対応する不測の事態というものを考えておかねばなりませんので、今極めて金利というものとかまた為替というものはどのように動くかってなかなか予測不能なところがありますので、私どもとしては、こういったものに機動的、機能的、適切に対応ができるようにきちんとした額を準備しておく必要があるというところから、この予備費に三千億を計上しておるという背景であります。
○西田実仁君 最後の質問でございますが、この外貨準備の分散投資についてお聞きしたいと思います。
外貨準備の運用に関しましては、二〇〇九年度を境にいたしまして在日外国金融機関への預金が急減しております。本邦金融機関への預金も急減しております。運用資産としては、結果的に外貨建て証券、米国債がほとんどを占めているというのが現状でございます。
しかし、なかなか分散投資といっても、中国のような外貨準備の一部を政府が利用してソブリンファンドを組むことはなかなか難しいし、ユーロ建て資産を外貨準備として持つこともなかなか難色を示されている、金を外貨準備に取り込んだりすることもなかなかうまくいかないということになりますと、こういう分散投資にはおのずと限界があるということであるならば、満期の来た米国債の現金償還を受け、その代金でこの膨らんだ政府短期証券の債務を縮小するというふうなことも考えていかなければならないと思いますが、なかなかこれは果たしてそんな簡単にできるものでもないんだろうと思いますが。
いずれにいたしましても、これだけ膨らんだこの政府短期証券をどうバランスシートを圧縮していくのかという点で、今回の改革は一歩前進ということは評価できると思いますが、更にこれをやっていかなければならないという意味で、今私が申し上げました分散投資の可能性と限界、そしてその上でのBSを圧縮していくための方策について大臣のお考えを最後にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(麻生太郎君) 今お尋ねのありました外貨準備というもののいわゆる運用方針について、これはちょっと市場にこういう話がそのまま出ますと無用な影響を及ぼすことがあり得ますのでこれはお答えを差し控えさせていただきますが、いわゆる外国為替資金特別会計が保有いたしております外貨資産の運用につきましては、これは基本としては、安全性及び流動性に最大限留意した運用を行い、この制約の範囲内で可能な限り収益性を追求するというのが基本方針として、これは今後とも適切に運用してまいらなければならぬものだと考えております。
また、この改正によっていわゆる財投の預託金として積み立てる制度を廃止することになりますんで、預託されております円資金をFB、ファイナンシャルビル、政府短期証券の方に償還を充てるということにいたしておりますので、この特別会計のいわゆるバランスシートの縮減を図られていくものと考えておりますので、これは急にやるといろいろまた問題が起きますのでゆっくりきちっと確実にやっていくという方向で進めてまいりたいと考えております。
○西田実仁君 終わります。