185-参-災害対策特別委員会-005号 2013年11月20日
○西田実仁君 ありがとうございます。公明党の西田実仁でございます。
今日は、お三方に大変お忙しい中、貴重な御意見をいただきました。ありがとうございます。
私は、まず、お三方共通して御質問申し上げたいと思います。先ほど田中参考人からも少しお話がございましたが、災害対策基本法ということについてお聞きしたいと思います。
これは、さきの東日本大震災でも、災害対策基本法の百九条、いわゆる緊急措置というものはとられませんでした。この災害緊急事態、緊急の必要がある場合において国会が閉会中又は衆議院が解散中、かつ臨時会の召集、あるいは参議院の緊急集会等を求めてその措置をまついとまがないときは、内閣は政令を制定することができるということで、一号から三号までの様々な市場規制、私権制限というべきものを想定しております。しかし、東日本大震災では、これは措置として発令をされませんでした。国会をやっていましたということが理由です。
しかし、今議題になっておりますこの首都直下あるいは南海トラフということになりますと、これは大変な、東日本大震災はまさにそういう災害でありますが、首都直下や南海トラフは、もうそれに勝るとも劣らないというぐらいの大変な影響がある災害に万が一の場合はなってしまうわけであります。
私の問題意識としては、この災害対策基本法の百九条は改正をして、そして、こうした国会がたとえやっていたとしても、政府が緊急の事態でありますから政令を制定をして、そして市場の規制あるいは私権制限というのを行い、しかし、この百九条はうまくできていて、四項の方には、その後いわゆる議会が拒否をできる議会拒否制度というべきものがございまして、内閣が定めた政令について議会として拒否もできるという立て付けになっているわけでございますので、そうした改正をして、いざというときに、まさに法律を作っているいとまがない状態でありますからこそ、政府が、内閣が政令を制定して、必要な物資を供給制限するとか、あるいは価格統制をするとか、そうしたことを行わなきゃならないんではないかという私自身の問題意識を持っておりますが、お三方それぞれ同じ、私の問題意識、あるいはこの災害対策基本法の百九条の改正ということについての御意見を伺いたいと思います。
○委員長(竹谷とし子君) それでは、菅原参考人からお願いしたいと思います。
○参考人(菅原秀夫君) やはり大変難しいというか、大事なあれだと思うんですね。
例えば、三・一一のとき、こういうことがあったんですよ。首都高としては、緊急輸送路、緊急通行路になっていますので、災害が起きたときには脇の方に寄るということになっているんですね。ところがなかなか、やっぱり阪神・淡路のあれがあったんでしょうか、慌ててみんな降りちゃって、揺れが収まったときにはもう滞留車両がないと、こういう状態だったんですね。例えばこういう事象一つ見ても、やっぱりそのときにきちんとした対応をどう取るかというのが大事だと思うんですよ。
答えになっているかどうか分かりませんけれども、ちょっと今のままですとやっぱりてんでんばらばらの動きになっちゃいますので、それはちょっと心配だなというふうに思っています。
○委員長(竹谷とし子君) それでは次に、田中参考人、お願いします。
○参考人(田中淳君) 緊急事態宣言の下で価格統制とモラトリアムと物資徴発だったでしょうか、制定をされていると思います。現実的には、モラトリアムは国際的なことを考えるとできるのかという問題も出てくると思うんですけれども、付け加える必要があるのかどうかということで、災対法に明記するのかどうかはやや疑問もあるんですけれども、先ほど申し上げた道路啓開に伴う放置車両等の私権をどうするのかと。これはやはり三・一一でも若干問題になったところでございました。
それから、地籍管理、その後に地籍で所有権を確認して、それからいろいろと計画を立てていかなきゃいけないんですが、地籍が進んでいないと。特に伝統的な、非常に昔からあります西日本は複雑、京都が一番複雑だと言われていますけれども、そういったようなやはり幾つか予見される私権問題というのは出てきていると思います。
それについて災対法でやるかと言われると、これは先生方の方の御議論ではないかと思いますが、もう少し個別法でやってもいいような気もいたしますけれども、そういう部分というのがやはりかなり詰めた議論、指摘されている部分もございますので、取り組んでいただければというふうに思っております。
○委員長(竹谷とし子君) 続いて、中野参考人、お願いいたします。
○参考人(中野弘道君) 百九条が緊急措置のことを述べてあると思いますが、各我々の市町村としては、情報が非常に分断されて判断がしにくいところなので、法律的なやつは先生方に、災害対策基本法を改正するのか、また個別法でやっていくのかというのは先生方にお任せすることにしましても、基本的にはその緊急事態の中での対応をしっかりできる体制をやっていただきたいと。それは特に、情報の伝達を含めて、地方自治体まで細かくたくさん来る体制をつくっていただきたいということを希望するところでございます。
○西田実仁君 ありがとうございます。
今日は、首都高の社長さん、また田中先生からも被災車両の排除についてお話がございましたので、道路のことでお聞きしたいと思います。
首都高は、今おっしゃっていたように緊急輸送道路として大変重要な役割を持っておりますが、この道路の啓開はどういうふうにしてやっていくのかということ。そして、三・一一のときもそうでしたけれども、今度は三・一一の東北ではなくて、首都直下地震ということを想定してお聞きしたいわけでありますけれども、その道路の啓開とともに緊急輸送道路、今既にそこを走っている車は外に出るわけですよね、ランプの外に。そうすると、一般道が物すごく込むというのが三・一一もありました。しかし今度、首都直下ということになると、そんな比ではないということになると思うんです。
どういうシミュレーションをされているのか。被災車両の排除、そして首都高から降りていった車が一般道に込み合ったときにどういうふうに整理していくのか。あるいは、その被災車両そのもの、一般道のですね、その被災車両をどこにプールしていくのか、管理していくのか。あるいは、道路啓開するのがレッカー車とか、そういう積載車とか必要になると思いますけれども、そういう手当てを、例えばレッカーの事業者の方々と何らかの協定を結んで、その数は足りているのかどうか。
こういう具体的な計画をどうお持ちになっているのかを是非お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(菅原秀夫君) まず、先ほどもちょっと申し上げたんですけれども、今どうなっているかというと、まずホームページ等で、大きな地震があったときには緊急交通路あるいは緊急輸送路になっていますので、その通行を妨げないように右に寄るとか左に寄るとか、まず寄っていただくと。そして、揺れが収まったときにパトロールカーというか、黄色いランドクルーザー、首都高によく走っていると思いますけれども、それが安全を確認しながら降ろすと、こうなっています。
それで、もし大きな地震で車を置かれて、そのまま、何というか、降りられる方もいるんですね。そういうときには、今おっしゃったように、首都高もレッカー車を持っています。それと、建設業者等と連携を取りまして、協定を結んで、レッカーも手当てできるようになっているんですよ。それが排除すると、こういうことになっています。
ただ、三・一一のときにはちょっとその辺が、先ほどの繰り返しになりますけれども、阪神・淡路のあれがあったんでしょうか、やっぱり慌ててみんな降りちゃって、ちょっとそういう整理が十分じゃなかったんですね。ですから、その辺はもうちょっとこれから研究しなきゃいけないと思います。でないと、この間、三・一一もかなり降りちゃって渋滞が起きたというあれもありますので、その点は今内閣府の中央防災会議でいろいろ検討しているようですから、その辺も踏まえて、ちょっと首都高としてもいろいろ策を考えなきゃいけない、こう思っています。
○西田実仁君 今の点ですけれども、今国土強靱化推進室で四十五のリスクというものを具体的に挙げている一つに、今の道路啓開の問題があるわけですね。そこに専門的な人材が十分に育っていないという、そういうリスクが認識をされております。
今のお話ですと、被災車両の排除等についてはかなり綿密なシミュレーションがされているんでしょうか。協定が十分足りているのかどうかということに、ちょっとよく聞こえなかったので、もう一度御説明いただきたいことと、それから私が質問した中では、その被災した車両をどう管理をしていく、どこに管理をしていくのかと、そういう敷地なりがどこかに確保しているのか、あるいはそういう契約になっているのか、そういうところまでちょっとお聞かせいただきたいのですが。
○参考人(菅原秀夫君) その点は、まず降りた車のプールするところというんですか、それは必ずしもまだ十分じゃないんですよ、はっきり申し上げて。やっぱり首都高は高架下にかなりスペースもあります。そういうところも含めて、どういうふうに、その降ろした、その排除した、排除という表現は良くないかもしれませんけれども、降ろした車をプールするのか、そういうことも考えていかなきゃいけないと思います。
○西田実仁君 そこは、ですから計画を持って、もちろん御社だけでできることではないと思いますので、様々な行政機関とも連携して想定をしておかないと、あの三・一一のときも相当大変な混雑で混乱をしました。自転車がその分活躍したというのはあると思いますけれども。
もう一つ田中先生にお聞きをしたいと思います。
先ほどお話がございました、その被災した車両の私権制限の話でございます。これはやはり三・一一のときも随分そういう話をお聞きしました。ここは、先ほどの災対法というよりも個別法なりあるいは民法なりなのかもしれませんが、何か形を持ってその私権制限をしていくようなことを、何らかの法的措置をとるべきだというお考えなんでしょうか。もう少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(田中淳君) 少なくとも、その点についてはきちんとした議論をしておく、それが法律がよいのか、個別法がいいのか、統括法がいいのか、それとも政令のレベルでよいのか、分からないところもございます。その辺の御判断はもう御専門の先生方にお任せしたいと思いますが、やはりそこの議論をしておかないといけないというふうに思っています。
今、やはり先生が御指摘のとおり、被害想定とセットで計画が練られているわけですけれども、本当に具体的なオペレーションまで踏み込んでいるのかというところを次に問われると思いますので、その中で確実に浮かび上がってくる問題だと思いますので、やっぱり何らかの検討、決めが必要になってくるというふうに思っております。
あともう一つは、ちょっと関連して申し上げますと、やはり重力に逆らう対策は、住民、国民周知が大変難しい。だから、例えば津波避難で車を使わないというのは、全体合理的には正しいんですけれども、やっぱり住民感情としては合わないんですね。遠くまで行けますし、寒くないですし、要援護者も運べると。そういう面では、本当に首都高とか幹線道路で左側に止めて鍵を差しっ放しにして逃げてくださいというのがよいのか、これは絵空事になる可能性があるんではないかという気がいたしますので、本当にそのオペレーションをやるべきだという先生の御指摘は極めて大事なポイントだというふうに思っております。
○西田実仁君 終わります。