187-参-財政金融委員会-006号 2014年11月13日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
順番を変えていただき、御理解いただきまして、誠にありがとうございます。最後でございますので端的にお聞きしたいと思います。
今、黒田総裁からも様々お話がありましたけれども、消費税引上げ後の需要面での弱さということについて、今後のリスクを考えてという御発言がございました。そこで、まず数値の確認でありますので事務方に確認をさせていただければと思いますが、消費税収入のこの四月から九月までの半年間の実績、また進捗割合についてお聞きしたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) 四月—九月までの今年の収納実績の累計は三・四兆円ということになっております。これが決算ベースで幾らになるかにつきましては、現時点におきましては、予算額は十五・三兆円でありますので約二割ぐらいのものが収納したという段階にすぎず、今後の経済見通しなど様々な要素を踏まえる必要があろうとは存じますが、現時点において見通しを申し上げることはちょっと困難でありますが、今の実績として、十五・三兆円に対して約二二・〇%の三・四兆円ということであります。

○西田実仁君 ありがとうございます。
今年度の消費税収入予算というのは、今おっしゃった十五兆三千三百九十億円。前年度と比べますと、消費税率を上げていますから当然ですが、四兆五千九十七億円増えるという予算を組んでおられます。この四月から九月の実績は前年同期比で二四%増ということがホームページにももう公表されてありますけれども、このペースで今年度の増収が、じゃどうなるのか。もちろん、下半期にどういう経済情勢になるのかに当然よるわけでありますけれども、この半年の二四%増のペースをそのまま維持するというふうに仮定すると、今年度の増収は二兆六千二百八十三億円ほどになるというのが単純計算でございまして、つまり何を言いたいかというと、消費税を引き上げても、当初の予算というか、増収これだけするだろうと思われていたものの、今の数字でいきますと、予算比で五八%ぐらいという、六割に満たないということになってしまうわけでございます。
これ、消費税を引き上げても消費がなかなか低迷をしていて税収が得られないという大変残念な状況に今の時点ではなっている、これを何とかどう盛り返していくのかということがまさに今政策として問われているんだろうというふうに思っているわけでございます。
そこで、消費低迷ということで期待した税収が得られないということにならないように、じゃどうするかといろいろ考えなきゃいけないことが多いわけでありますけれども、じゃどう消費が低迷しているのかというのを九月の家計調査で私自身見てまいりました。
これは二人以上の世帯でありますけれども、この消費支出は、前年同月比で、名目ですけれども、一・九%減少してございます。九月ですね、家計調査です。その内訳が大事でありまして、全体としては消費支出は前年同月比で減っているんですけれども、増えている支出項目があります。それは、食料品二・一%、また交通・通信費が八・八%と。食料とか、電話とかだと思いますけれども通信費、これは、消費支出は九月の家計調査では増えているんですが、一方、極端に減っているものがあるんですね。減っているものが多いから全体として二%弱前年同月比で消費支出が減っているわけですから。じゃ何が減っているのかといいますと、教育費が二八・七%減っています。住居費も一〇・四%減っている。家具・家事用品は八・二%、保健医療費も七・八%と。
私がここでこの家計調査を見て、いわゆる消費低迷と簡単に言いますけれども、その中身を見ますと、結局、消費税引上げは当然負担になります。その反対側には社会保障があるということなんですけれども、しかし負担であることは間違いない。その負担増から、生活必需品への支出というのは減らすことができませんから、食料とかあるいは交通・通信という今や必需品、これは減らしていない、増やしている。しかし一方で、それを優先した結果かもしれませんが、それ以外の支出を減らさざるを得ない。ですから、全体として九月の家計調査、二人以上世帯では前年比二%減っているということでございます。
こうした消費税収が見込みよりも少ないかもしれないという、現時点ではですね、これをどう盛り返していくのか。また、消費低迷の中身、今私が御説明させていただいたのが正しいとすれば、今後の方向として、やはり私自身は、今行っている簡素な給付措置というのがございますけれども、これは住民税が非課税の世帯、家計調査の五分位でいくと一分位の一番低いところだと思いますけれども、やはりこの中所得ぐらいまでは、こうした負担増に対する家計支援という意味でも、この給付措置なりを拡充していくというようなことも考えていかないと、消費低迷というものから脱して当初予定していた消費税収というものに上がらなくなってしまうのかなと、そういう家計支援ということが必要ではないかと、こういうことを私なりに、この半年間の消費税収の動きや、あるいは消費低迷の家計調査の中身等を見て考えているわけでありますけれども、大臣はどんな御所見でしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) おっしゃるように、家計調査で見ますと、この九月でいきますと、家計調査で八月マイナス〇・三、七月〇・二だったのが、一応九月になってからは一・五と上がってきておりますし、いろんなもので少しずつ上がっている部分もあるんだと存じますが、いずれにしても、今言われましたように、低所得者層のところにいわゆるダメージというか傷が大きいという点を指摘しておられるんだと思っておりますので、私どもとしては、全体的に経済の回復基調が続いておりますけれども、その部分に関しましては、今後対策として今から、十八日には経済対策等々の指示が出されると思いますので、私どもいろいろ考えていかないかぬところだと思っておりますが、七—九のQEを見た上できちんと対応を立てたいと思っておりますが。
今言われましたように、例えば中小零細の輸送をやっておりますトラック、ここは間違いなく、ガソリンの値段、値段というか、ガソリンとか軽油なんかいろいろありますけれども、値段についての補填をするとかというようなことが一つの方策だと思っております。
全体でやると、大きなところは全然違いますし、家計調査の部分、いろいろ七—九のQEなんかを見ながら考えないかぬと思いますが、少なくとも、低所得者層とか中小企業とかいうところに関して的を絞ってやらないと、全体でやるという話は、全体でいくと数字は決して悪くないということになりますので、そういった配慮が必要であろうと思っております。

○西田実仁君 是非お願いしたいと思います。
賃金の上昇等についても、財務省の法人企業統計を見て一人当たりの人件費というものに着目いたしますと、資本金規模別では相当違いがあるということが分かります。もちろん、いろんなアンケート調査等も経産省でもやって、大企業のみならず中小企業の賃上げも行っているところが多いというのは承知をしてございますけれども、法人企業統計によりますと、この四月から六月の法人企業統計における一人当たりの人件費を見てまいりますと、全体はともかくとして、資本金の大きな、例えば十億以上のところの一人当たりの人件費というのは、この四—六ですけれども、前年同期比でプラスの〇・五なんですね。一億から十億というのは、この法人企業統計によるとプラスの一・四%です。ところが、中小になりますと、五千万から一億未満のところはマイナスの一・〇、一千万から五千万というクラスですとマイナスの二・〇。中小規模になればというか、資本金の規模別ですけれども、やはり中小企業になればなるほどなかなか賃金を上昇させるというのは難しいという実態が分かる。先ほど大臣も言われたようなこともあると思います。
この二六改正で組み込みました所得拡大促進税制というのがあるんですけれども、これがどの程度利用されているのか。なかなかまだ実態が分かりませんが、是非この周知を、せっかくいい税制をまた変えて、工夫してちょっと使いやすくもしたわけでありますので、その周知を更に徹底をいただきたい、特に中小企業に対してというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(麻生太郎君) 御指摘のありましたように、所得拡大促進税制につきましては、これはいわゆる賃上げを行ってくれた企業に対する支援として改正をさせていただいて、さらに二十六年度の改正によって、より多くの企業に使ってもらおうというように適用幅を拡大させていただき、適用の要件を拡大したということをやらせていただいております。
この制度の利用状況につきましては、平成二十六年度三月末決算のところから使用開始になったところでもありますので、現時点で適用実態は、御指摘のありましたとおり、まだ出てきてはおりません。
したがいまして、今後、適用状況というのがどうなっているか、よく取りまとめをさせていただきました上で、来年の通常国会におきまして租特の透明化法に基づく報告等々を行う予定にいたしておりますが、制度の周知につきましては、これは説明会をまだいろいろさせていただいているんですが、商工会議所辺りに声を掛けても全然出てこないとか、いろいろ商工会議所に直接聞いても、えっ、そんなのがあるのかとか言って、あれ前に言ったじゃないですかという話はもう幾らでも聞かされましたので、経産省辺りも産業局長を通じていろいろやっているみたいですけれども、なかなかしっかり周知徹底するところまでは行っておらぬというのが正直なところだと思っておりますので、更にこの周知をしていかねばならぬと思っております。

○西田実仁君 是非、我々もいろいろと訴えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後でありますが、今日は文化庁の次長さんにもお見えいただいておりますので、質問したいと思います。
経済全体の話をしますと、いかに需要不足を解消していくのかという施策が必要になると思いますけれども、特に潜在需要が大きい文化活動を支援する施策ということが必要ではないかというふうに私は常々思っております。特に、日本は文化活動に関する統計が非常に不十分だというふうに思っております。実態がどうなっているのか把握しにくい。食料品であれば消費支出に占める食料品支出という、エンゲル係数というのがあるんですけれども、じゃ、この文化活動に対する支出、これも文化係数のような指標を例えばつくって、それが本当に国際的に見てどうなのかとかいうことも実態を調べていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
物に対する需要が飽和していく中で、そうした文化芸術活動に対する需要というのがこれからどんどん増えていくことは間違いないわけでありましょうから、それに対する施策ということがもっとなされていいんじゃないか。文化庁の予算、一千三十六億円で、GDP比で〇・〇二%と、もう非常に限られておりますし、オペラのコンサートチケットも高いですし、自治体の財政再建で施設がどんどんどんどん再構築されてしまっている。なかなか休みを増やして需要を増やすというのは難しいわけですから、日常のウイークデーの中で例えば陶芸をやるとかいうときにもそういう支援をもっとしていくとか、何かこの文化活動を活発にするような施策を本気でやっていかないとならないのではないかという思いでおります。
潜在需要が大きい文化活動を支援する施策、また、エンゲル係数に相当するような文化係数みたいなものをつくってその実態を把握していくようなことも含めて、文化庁の次長にお答えいただきたいと思います。

○政府参考人(有松育子君) 文化庁といたしましては、委員御指摘のとおり、文化活動に関する統計も含めまして、適切な企画立案に必要な統計を活用していくことが非常に重要だと思っております。
これまでのところ、文化活動につきましては、様々な世論調査から国民の文化芸術活動の状況や文化に対する意識、あるいは文化芸術振興のために国にどういうことを求めているかといったようなことについてのデータを活用して、企画立案に当たっているところでございます。
ただいま先生から御指摘のありました消費の観点から、個人の消費の支出についてその活動を把握していく、その傾向を見ていくということの御指摘については、大変貴重で重要な御指摘をいただいたというふうに考えております。
家計調査の中でも、例えば映画や演劇等の入場料ですとか、美術館、博物館等の文化施設の入場料といったような芸術文化活動に関する項目が既にございます。どの範囲をどのように文化活動についての係数として見ていくかというようなことについては大きな検討課題であるというふうに考えておりますけれども、先生も御指摘いただきましたように、人々が求めるものは、これから心の豊かさを求めると、そして、日常生活の中で芸術を鑑賞したり文化活動を行ったりすることを大切だと思っている人がおよそ国民の九割というような状況でございますので、今後、そうした要望に応え、適正な統計を活用しながら国民の様々な文化活動を支援することができるように、文化芸術立国の実現ということを今文化庁は掲げておりますけれども、その実現に向けて施策の充実を図ってまいりたいというふうに思います。

○西田実仁君 ありがとうございます。
最後に大臣に、今の文化活動を支援していく施策、これから予算等も、来年度だけじゃなくて今後ずっとだと思いますが、大臣に、この文化予算の充実につきましてお考えをお聞きして、終わりたいと思います。

○国務大臣(麻生太郎君) これは、西田先生、文化の範囲が、スポーツは入りますかとか、いろいろ範囲が物すごく難しいところなんで、それをやると、おまえ、それはスポーツだけじゃないかとか、おまえ、それは漫画だけじゃないかとか、おまえ、何とかだけじゃないかと言われますので、物すごくこれは幅が広いので、どの辺までが文化と言うかは、ちょっとなかなかこれは難しいところなんですけれども。
いずれにしても、分かりやすいので、例えば日本語の普及のために、日本という国は日本語の普及にどれくらい金掛けているんだといって、フランス語に比べて、人口からいけばかれこれ三倍近いんですけれども、どれくらいと言われるとフランスのウン分の一になりますので、それは文化予算かと言われれば、これ、語学を広めるための予算でこれは文化ですかとかいろんな、大分やられたことがありますので、この種の話はなかなか難しいんですけれども。
私どもとしては、これは質の向上というのは今文化庁の方も話をしておりましたけれども、こういったものをやっていかないかぬということなんだと思っております。
先ほど十一月の十八日にはと申し上げましたけれども、十七日にQEが出ますので、それを見ながら十八日以降そういったものをやっていく中に、この文化なんというものは、間違いなく今まで、金の余裕のある人はそれを使うものがない。
よく聞かされる話ですけど、麻生さん、私ら地方にいて、いい着物買うても着ていくところないがなと大阪で言われて、それを着るために東京に行きまんがなと言われて、東京に着に来るわけですよね。それで、どうしてと言ったら、いや、大阪で何とかかんとかとか皆言うんですよ。さすがに京都の人は言わない。大阪の人とか名古屋の人というのは何回も聞かされましたよ、私は。だから、そんなことを俺に言ったって無理よと言うんですけれども。例えば、新しい結婚記念指輪を買うたんやけど、これ着けていくところがないからPTAとか、それはPTAにダイヤモンドの指輪着けてもしゃあないでしょうがと、もうそういう話を普通の会話の中から私よく聞くんですが。
こういったものを着ていこうとかいう場所というのが、ヨーロッパに行くと、これはもう間違いなく地方に行っても無数にあります。これはもう間違いなく、ダンスパーティーもあれば音楽会もあればいわゆる芝居もあったり、いろんなものが回ってくるんですけれども、そういうものが確かに、私らのところでは、筑豊では少なくとも座長大会ぐらいしかありませんので、なかなかないんですよ、文化と言われても。
そういったようなものを含めて、全体的にこれ、みんなでそろそろそういったものに関して考えないかぬ時期に来ているので、消費というものが、少なくとも個人金融資産がもう巨大なものに膨れ上がっていますけれども、金がないときは金を稼ぐというのが目的になりますが、ある程度金を持った人はその金使って何するかという目的がこっちに出てこなきゃいかぬのですけれども、そこの対象の中に文化とか、いわゆるお茶とかお花とかいろんなものがもっと広範囲に広まってきて、それを文化なんだと思うんですけれども、そういったものに行くとそれは間違いなく消費ということになりますので、全体のあれが上がっていくということにもなりますので。
いろんな、我々、どうも経済に偏ってきた戦後七十年ですけれども、少しそういったものの発想を変えないかぬという時期に、そろそろこのデフレ不況が終わった次にはやらないかぬ大事な観点かなと、私自身はそう思っております。

○西田実仁君 ありがとうございました。