192-参-内閣委員会-009号 2016年12月08日

○西田実仁君 午後も引き続きよろしくお願いいたします。
 様々な世論調査によりますと、カジノ解禁ということについて国民のまだ多くは反対をされておられます。
 昨年六月に日本世論調査会が行いました観光に関する全国面接調査によりますと、国内のカジノ設置に反対する声が六五%、賛成が三〇%を大きく上回っているということであります。反対の主な理由として、この場でも議論されておりますギャンブル依存症の人が増えるんではないか、あるいは設置した地域の治安が悪化する、子供の成長に悪影響を及ぼす、反社会的勢力の拡大を招くと、こういう理由で反対をされているようであります。
 また、先週末に読売新聞が行った調査でも、カジノ解禁に反対というのは、今紹介した一年前の調査に比べますと減ってはおりますけれども、いまだ五七%が反対し、賛成は三七%と、こういう数値になっているわけであります。
 こうした国民の多くが反対をしているというこのカジノ解禁の道を開くということをなぜ今推進しなければならないのかということについて、しっかり議論をしなければならないというふうに思います。
 この法案には、IRの定義についてこのように述べておられます。この法律において特定複合観光施設、IRというのは、カジノ施設及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設が一体となった施設と。
 注目すべきなのは、このIRに内包されております国際会議場や展示施設という存在でございます。通常、これらの施設というのは税金を投入して造られることが多いわけでありますけれども、このIRにおきましては、カジノ運営権の見返りとして、本来公金で建てるべきところを民間側の投資によってそれが導入できるというメリットを指摘する専門家の方もいらっしゃいます。すなわち、公金を使わないでこうした観光開発が可能になるのではないかという、そういうメリットを挙げられる方がいらっしゃいます。
 実際に、シンガポールにあるあの有名な、空飛ぶプールで有名なマリーナ・ベイ・サンズ、行ったことありませんけれども、テレビで見ますとすごく立派な建物でありますが、その社長も報道に答える形で、カジノの収入があるからこそ利益率の高くない展示場ビジネスを手掛けることができると、このようにも言っておられるわけでありますね。
 しかし、一方で、カジノを含むIRには、その弊害も既に数多く指摘されております。それゆえに、今紹介した世論調査でも反対が賛成を上回っていると、こういうことであります。全ての政策がそうでありますけれども、功罪両方あるわけでありますので、本当にこのIRが日本にとってプラスになるのかどうか、これをしっかりと議論をし、また冷静な判断をしていかなければならないというふうに思います。
 そこで、まず提案者にお聞きしたいと思います。
 世論調査によりますと、国民の多くが反対しているカジノの設置であります。それをなぜ今推進するのか。もちろん、この法律ができたからといって、すぐカジノが合法化されるわけではないということは再三御説明なさっておられるとおりでございますけれども、カジノ合法化への道を開くということは間違いない事実でありましょうから、これについてまず提案者から御答弁いただきたいと思います。

○衆議院議員(細田博之君) 今のIR法案の基になる考え方については、国会の中で言わば超党派の議員の皆さんが、やはり言わば今や国際標準になっていて百二十七か国で行われており、サミット参加国は皆実施しているIR、そしてカジノの解禁を日本でもできないだろうかということで検討が始まりまして、議員連盟設立は約五年前でございますが、ちょうど民主党政権下でございました。民主党の先生も会長になられ、それで自民、公明、みんな、維新、まあ党の変遷は今日までございますが、これは有志でございますから、そういったことを国際的なレベルで考えようじゃないかということで法案の作成が始まったということがあるわけでございます。
 そして、積極的なプラス面については、西田議員が今御指摘のように、これからは日本はもう観光立国の時代だから、日本に行って楽しむ、それから日本人も楽しむ、そうしていよいよ非常に豊かな実体験ができるような複合的な施設をやはり造るべきであると、そういう時代に入ったという認識で立法案もできたわけでございますが、やはり実際に国会で御審議いただくまでには様々なことは検討が行われまして、しかも政府側も、急に我々が議員立法だけ出して、じゃ、政府はいいでしょうというんじゃいけないので、政府側にもお願いしまして、内閣官房等にも、相当実際に調査をしてみる、そういう権能を持つ役職もできて、世界中の実態、あるいは規制の実態、弊害の実態、効果の実態、そういったものについても研究をしていただいてきておったわけでございます。特に安倍政権になりましてからはそのような検討も進んできたわけでございまして、大体の調べは付いたという感じもございます。
 それから、もう一方では、よくここで議論されておりますような、外国人客はどんどん確かに増えております。しかし、今は買物をして帰る。買物については逆にいろんな物流の面で補われて、日本に行って買物をする人がまた減ったりしているわけでございますが、本当に日本の売りは、観光地を巡り、そして日本に来て楽しく過ごすと。だから、本当はこのIRだけではなくて、IRを起点にして観光旅行もできるような幅広い観光をして多くのお客さんにお金を落としてもらう、日本人も楽しめる施設にする、こういうことを目指してやろうというのが趣旨でございますが、他方、おっしゃいますように、弊害の面もある。
 我々が弊害と言うのは、特に今指摘されているのはギャンブル依存症の問題であります。我々もこの議論が出ますときにいつも申し上げるんですが、このカジノは、確かにこれからやろうというと、そこで何かまた生ずるんではないかというおそれがあるという面は分かるんでございますが、従来、もはや看過できないほどギャンブル依存というのは存在するわけでございます。家庭が崩壊しかかったり、それにのめり込む人がいる。先ほどもちょっと御自身の御体験をしゃべった方もおられますけれども、それは確かにあるわけです。
 だから、政府はもっと大きな予算を付けたり、あるいはDVとかいじめとか、こういうものでも社会が一体となって、それらの人を治療したり、コンサルタントをやったり、駆け込み寺、奥さんが困ったというときにそれをちゃんと見てあげるとか、そういう社会的な体制を組む必要があるということも実態なんですね。
 だから、そこに今度は弊害面として大きく今取り上げられているのは、既にある大きなものであると。だから、それは私どもも政府に言って、まず第一番目の法案は基本法として出すけれども、必ずこれは、ほかの既存のものも含めて政府がしっかり対応をして、そして、なるほど、政府はこういう予算も取ってこういうふうにやるんだなという、その納得を得なきゃならないから、基本法をまずお願いすると同時に、それは、これから実施法が出るまでの間にしっかりと体制を組む。
 しかも、相当お金が掛かるわけでございますので、私どもは、そういうお金についても、施設における収入を、納付金等の収入も充てる方がいいんじゃないか、それに加えて、それは、使途としては、観光振興と文化財振興、その他整備、芸術家の助成、そういった前向きのことを納付金制度を使うことによって積極的な意味を持たせるとともに、先ほど御指摘のマイナス面の手当てもしていこうじゃないか、そういういいきっかけであるということと、なかなか日本の成長というのが、こういう観光振興をやらなければいけない時期に来ておるという現状認識でお願いしている。
 それが御理解を得るまでに時間が掛かっているということと、これだけを聞けば、何かやるよりやらない方がいいんじゃないかというシンプルな批判もたくさんあるわけでございますが、総合的に考えて、我々はこれまでも努力して今日に至っているということでございます。

○西田実仁君 この特定複合観光施設には、展示施設というのが先ほど来から申し上げているように含まれますけれども、ここには、当然ですけれども、美術館とか博物館といったものが含まれるかどうかということであります。立法者の意思を確認したいと思います。
 同時に、この我が国の文化とか伝統、芸術を生かした日本らしさ、先ほど来もちょっとお話がございました、我が国しかできないようなIRを造るというお話もございましたが、そうした観光資源を整備することが重要であるということも改めて確認したいと思いますが、いかがでしょうか。

○衆議院議員(西村康稔君) 御指摘のとおり、法案の第二条のところで、御指摘のありました、「カジノ施設」「及び会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与すると認められる施設」という書き方をいたしておりますので、このその他の観光に寄与する施設として、私ども、御指摘のあった美術館とか博物館とか劇場とか、こういったものも当然含まれるというふうに考えております。
 ただ、具体的にどういったものを備えなきゃいけないのか、今申し上げたことを全部備えなきゃいけないのか、それとも、ここに明示してあるものはもちろん必要なんだと思いますが、その他の観光施設としてどんなものが考えられるかということで、この辺りの基準については、今後、一年以内を目途に提出される実施法案において具体的な基準、こういったものが定められていく、定義とか基準が定められていくものというふうに思います。そうなるわけであります。
 その上で、それぞれの地域やあるいはIRの設置者が、それぞれの特徴を生かして、集客のために必要ないろいろな知恵を絞りながら、これは民間の活力を生かし、民間の知恵を生かしてそうしたものが構想されていき、認定をされていくということになると思います。
 その中で、御指摘のあった日本らしい施設、これは今日の午前中にも様々な議論がございました。日本ならではの施設、それぞれの地域の特徴を生かしたもの、こういったものを構想していただいて、外国人観光客も大いに引き付けるそんな施設、日本の歴史や伝統文化、こうしたものも反映しながらクールジャパンの発信拠点になるということも期待しているところでございます。

○西田実仁君 このIRが成り立つには、カジノという点では日本は後発国なわけでありますので、他国のもう既に先行しているところとの競争ということに打ち勝たなければならない、果たして後発国の日本が勝てるのかという素朴な疑問も湧いてくるわけであります。
 既にアジアのカジノ市場が急速に飽和化しつつあるという専門家の指摘もございます。日本がこれから数年掛けて参入をするということに、もしなれば、そのパイをどう取っていくのかと。アメリカなどでは、カジノが非常に過当競争になって、かつては良かったんだけれども、結局、カジノが相次いで閉鎖されることによってリストラが起き、その地域が廃れるというような報道も聞かれるところでございます。
 もう一度お聞きしたいと思いますけれども、このIRの開発に、仮に、仮にですけれども、その経営が破綻してしまった場合にはその地域に大変な影響を与えるのではないかという、当然どんな事業でもそうだと思いますけれども、とりわけこのIRについてはそのような心配があります。しかし、そうしたリスクを負いながらも、しかしやはり今このカジノを含むIRを推進しなきゃならないという、なぜそうなのかということをもう一度改めてお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(西村康稔君) 私ども、IRの導入によって、国際観光の振興、あるいは国際会議機能、国際会議を誘致するというようなことも考えられるわけでありますし、文化振興、魅力ある都市づくり、こういった観点から幅広い波及効果があると考えているところでありますが、最近のシンガポールの例はもう何度も言及されておりますが、ラスベガスや、それから御指摘の売上げが落ちているんじゃないかというマカオにおきましても、カジノに特化した施設よりかは、このIR型の、様々なほかの施設、エンターテインメント施設を備えて総合的なIRとなっている施設の方が売上げが伸びているという傾向もあります。
 私ども、六千万人外国人観光客を目指す中で、このIRも一つのその柱として、政策の一つとして是非実行していきたいというふうに考えているところでありますが、御指摘の点につきましては、まず、これまでも申し上げているんですけれども、一定規模以上の基準を実施法において明記していただきたいと。
 つまり、温泉旅館の横にちょこっとカジノがあるような、日本全国あちこちにできるような、こんなことを考えているわけではございません。一定規模以上で、日本全体の国際観光、地域の振興にもプラス、そして財政にも寄与するということでありますので、それなりの規模のものを想定をしているわけでありまして、しかも二つ三つ、せいぜいそのぐらいから手が挙がってくればスタートをして、そしてその効果検証をしながら、段階的に数をどの程度増やしていくのかということも考えるべきだと思っておりますので、一遍に過当競争があって何か潰れるというようなことは想定をしているわけではございませんし、まさに、リゾート法のときの教訓で、民間事業者の投資がなければいけないわけでありますので、地域が、地域の自治体、地域住民の同意を得ながら、そして地域議会の同意を得て手を挙げていく、そしてその上で民間事業者が投資をしてもらわなきゃいけませんので、全国あちこちにもう幾らでもできるということではないと思います。
 地域の特性を生かしていただきながら、御指摘のような失敗事例が起こらないような基準、手続、こういったことを実施法の中で示してもらいながら、具体的な検討、しっかりとした検討がなされるものというふうに思っております。

○西田実仁君 次に、競輪、競馬といういわゆる公営ギャンブルと、それからパチンコは、これは賭博ではないと整理されていますが、類似産業、これとカジノがどう違うのかということ、素朴な疑問なんですけれども、私もカジノには行ったことがありませんので、映像とか資料を読んで想像を巡らせているわけでありますけれども、普通の人は、ギャンブルと聞くと、やっぱり競輪とか競馬思い起こしたり、あるいは中には、まあ賭博ではないと整理されていますけれども、パチンコとかパチスロといった遊技産業などを思い浮かべる人が多いんだろうというふうに思うんですね。宝くじとか、そういう富くじ産業もございます。カジノはその延長線上にある何かギャンブルなんではないかという漠たる印象というのがあります。
 例えば、韓国で唯一自国民が入場できる江原ランドというのがあるそうですけれども、資料とか読んでいると、ふだん着の中高年の男女が気軽に訪れているみたいなことが報道されているんですね。しかし、皆様方がイメージされている日本におけるIRというのはそういうイメージなんでしょうか。つまり、近所の男性であれ女性であれ、数千円を握ってぷらっと行くというような、そういうイメージなのか、ちょっとイメージをお知らせいただきたいと思います。

○衆議院議員(岩屋毅君) 韓国の江原ランドというのは、先生御承知のとおり、炭鉱があった地域が廃鉱になってどんどん地域が廃れていったと、むしろその地域振興という観点から計画された施設だというふうに承知をしております。しかも、それまで韓国は、カジノがありましたが外国人に利用者を限定しておりましたので、自国民が行ける場所をそういう地域振興という目的も込めて計画をされたと承知をしております。
 一方、私どもが考えておりますIRというのは、あくまでも国際競争力のある観光地の形成に資するものを想定しているわけでありまして、何度も説明してまいりましたように、高規格の統合型の施設というものを想定しております。MICEの施設でありますとか、先生御指摘の文化施設でありますとか、その他のエンターテインメント施設を併設したグレードの高い施設というものを想定しておりまして、先生がおっしゃったふだん着というのがどの程度の格好のことを指すのかちょっとよく分かりませんが、まあ少なくともジャージで雪駄を履いてふらっと寄れるというような施設であっては到底魅力ある施設にはなり得ないというふうに思っておりますので、そういったものとはかなり違ったものになるというふうに考えております。

○西田実仁君 確かに、パチンコとか競馬あるいは競輪なんかも、どちらかというとそんなに遠くから来るわけじゃなくて、近所の、地域のローカルビジネスと言ったら語弊があるかもしれませんが、そういうお金の循環だと思うんですね。しかし、今の御説明、皆様方がイメージされているのは、もっと、国際観光力というんですから、世界から来て、そして地域に観光消費を呼び込んで、国や地方公共団体にも納付金として財政資金も生み出すと、そのお話がうまくいけば、非常に大きなお金の循環というんでしょうか、そういうことかなと思いますが。
 そうしますと、カジノというのは、いわゆるローカルビジネスとしての既存の賭博産業とは、あるいはその類似産業とは異なって、新しい顧客をターゲットにしているのではないかというふうにも想像できますけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○衆議院議員(岩屋毅君) おっしゃるとおりでございます。
 私ども、何もこれまでの公営競技やあるいは遊技というものを頭から否定しているわけではなくて、それはそれで、特に公営競技においてはそれぞれの目的に沿った公益に資してきていただいていると思いますし、遊技も適切に接していただく限りにおいては国民に時間消費型の娯楽を提供してきていただいているんだろうというふうに思っておりますが、今回私どもが構想しておりますIRというのは、先生がおっしゃったように、国際観光や国内観光において新しいタイプの観光スタイル、そしてビジネス、レジャーなどの新しい消費需要を創出、開拓することが期待されるというふうに考えているところでございます。
 IRは、アジアにおける日本の国際観光の競争力を高めるのみならず、新しい顧客、新しいエンターテインメントの開拓にも資するものになるというふうに期待をしているところでございます。

○西田実仁君 このIRの目的ですけれども、法律にございますように、「観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するもの」と、こうされておりますので、このIRが観光客を中心とした開発になるように、全体開発に占めるカジノの比率というもの、カジノ施設の面積比率に上限規定を設けている先行例も多いと理解しております。上限規定があれば、事業者はおのずとギャンブル以外の観光商業施設の開発が必要となって、事業者の経営戦略をまさに観光振興という本来の目的の方に確実に振り向けさせることが可能になります。そして、地域に観光消費を呼び込んで、それらの人々の一部がカジノでお金を使うと、納付金という形で国や地方公共団体にお金が流れていくと。
 そういうことから、先ほどの午前中も岩屋議員の方から、シンガポールのIR施設を例に引きながら、三%、これがカジノ施設だというお話があって、それは大いに参考になるという御発言もございました。
 私は、このカジノというのはIRの中で設置されることに限定されるわけですよね。その辺の町じゅうにできるわけじゃないという説明でした。IRの全体開発に占めるカジノ施設の比率に、その面積比率に何らかの上限規定を設けていった方がいいんじゃないかと、その方が本来の観光振興ということに間違いなく振り向けさせることになるのではないかと、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

○衆議院議員(岩屋毅君) これも先生おっしゃるとおりだと思います。
 シンガポール等の事例を度々紹介させていただいておりますが、シンガポールも、IR導入、すなわち限定的なカジノの解禁に対して国民世論は非常に分かれていたと、シンガポール政府は国民の説得に非常に苦労してこられたと承知をしておりますが、それがために、カジノ施設というものがあくまでも統合型施設のごく一部なのだということを明確にするために三%以下にカジノフロアの面積を区切るということをされたというふうに承知をしております。
 これは我が国にとりましても非常に参考になる事例であると考えておりまして、カジノのマイナス面のリスクを最小限に抑えるためにも、IR施設全体のごく一部に限るということを想定しているところでございます。

○西田実仁君 それから、この納付金の話ですけど、納付金の使途、先ほど細田会長からもお話がございました。何に使うのかというその使途については、あらかじめある程度特定をしておくということが必要ではないかというふうに思いますけれども、具体的には文化芸術の振興とか、あるいは喫緊の、介護とかあるいは保育士の方々の処遇の改善とか、いろんな課題はありますけれども、ある程度この納付金についてはあらかじめその使途について特定をしておくべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○衆議院議員(岩屋毅君) はい、これも先生御指摘のとおりだと私ども考えております。
 具体的な使途については実施法の中で明確に定めることになりますが、さきの衆議院内閣委員会における附帯決議におきましても、先生御指摘の社会福祉、文化芸術の振興等の公益のために充てるべしと。加えて、依存症対策の実施への十分な配慮を行うべしと。そして、本来の目的であります今回の推進法の第一条に定めるIR整備の推進の目的との整合性を図るべしと。国際観光振興、地域振興、財政への寄与というものがしっかり図られるようにすべしと附帯決議で上げられたわけでありますが、その方向で政府に制度設計を求めていきたいと思っております。

○西田実仁君 このIRにおけますカジノの合法化の検討というのは、元々地方自治体から起きてきたということは大変大事な事実だというふうに私は思ってございます。
 端的に言えば、当時東京だったと思いますけれども、いわゆるカジノ構想というのが出てきたときには、国からの財政支援に頼らないでいかにして地域を活性化していくのかという元々の発想が恐らくあったんだろうと思います。
 今回の法案でも、法二条二項に示されておりますように、あくまで今回のIRは地方公共団体の方からの要請に対して国がそれを認定するという、いわゆる手挙げ方式になっているわけですね。地域からの要請を受けて国が認定し、民間事業者に設置、運営させる仕組みと、こういうふうに理解しております。そして、八条には、「政府は、地方公共団体による特定複合観光施設区域の整備」「に係る構想のうち優れたものを、特定複合観光施設区域の整備の推進に反映するため必要な措置を講ずる」と。この二条と八条で、共に地域からの要請に国が認定するということが繰り返されております。
 そういうことからしますと、国が主体的に、どこにあるいはどのような施設の開発を行うべきというような要請とかあるいは指導を行う立場には国はありません。仮に国の立場から好ましい要件が、あっ、ここはいいなと、こういうふうに思ったとしても、そこの地域からの要請がなければ施設の導入の論議すら始められないと考えていいのかどうか、法四条の国の責務との関係も含めて確認したいと思います。

○衆議院議員(細田博之君) 発想が、ちょっと、私どもも今なぜこういう組み上げをしているかというと、民間主体でございまして、要するに、投資家が外資であれジョイントベンチャーであれ日本の企業であれ、恐らく、いろんなノウハウもありますからジョイントベンチャーになりやすいんですが、これが投資の魅力がなければなりません、まず。そして、できたものが魅力がなくちゃいけない。大勢の人が来なくちゃいけない。お金をどんどん落としてくれなきゃいけない。カジノに限らず、劇場かもしれないし宿泊かもしれないし、いろんなところで落としてくれなきゃならない。
 そして他方で、国は納付金を巻き上げる。それから、整備はするんだけれども、まあ巻き上げるわけじゃなくて納付金も要求する。そして、法人税も当然払うわけですから、そういった事業の売上げとコストと、様々なものをトータルで考えた場合に、それは、国がお願いしますといっても地方公共団体がお願いしますといっても、採算性がなきゃ誰も投資しないわけでございます。
 したがって、これは民と官の環境整備、あるいは世論整備もあるかもしれませんね、皆さんが、反対する人もいるかもしれない、賛成する人もいるかもしれない。あるいは港だとかそのインフラを整備しなきゃならない。それが相まって、あくまでも民間が投資しましょうというものでなければいけないんですが、それがどのぐらい出てくるか。
 今のところは、オリンピックを目指してたくさんの企業が手を挙げていました。これからはポストオリンピックという感じでございますので、そのときにどういう事業をしたいかという民間の意思が非常に尊重される内容になっております。したがって、それは公営競技や何かとは全然質が違う、その中で、トータルとして国民も楽しめるし外国の人も日本に来て楽しいというコンセプトのものができるかどうかというのが鍵でございまして、そこはこれからの民間の人たちの知恵ですね、どういうものが一番いいのかという知恵によって決まると、こういうことでございます。

○衆議院議員(西村康稔君) まさに今、細田発案者が御説明したとおりなんですが、補足をさせていただきますと、御指摘のとおり、まさに地域がどういったものをつくれるか、あるいは民間事業者が投資をするかというところが鍵なんでありますが、その地方公共団体からの提案、申請に対して国が認定するというスキーム、御指摘のとおりでありますので、地域が、地域住民の意向も踏まえて、そして議会の同意も得て手を挙げないと、これは何も始まりませんので、国からどこかやれということではありません。
 一方で、御指摘の四条に規定をしております、国はIR区域の整備を推進する責務を有するということでありますが、これは、まさにこの法案で定める基本理念とか基本指針、基本方針ですね、これに沿って整備を推進すべきということでありますので、この一年後に出てくるであろう実施法案、そこでしっかりと基準を定めたり基本方針を定めたり手続を定めたりして、そうすることによって地域が、特色あるIRの区域整備、民間も投資しやすい、そういったことを進めていくということでありますので、国が何か押し付けるということではございません。

○西田実仁君 この地域からの要請、もちろん民間が投資しなければ成り立ちませんので、地域からの要請に対して、じゃ、国はどのような基準で認定していくのかということであります。
 これは、衆議院でも議論もございましたように、公営競技の法制に倣って地方議会の同意は是非とも要件とすべきだというふうに私も思いますが、そこに至るまでに、例えば市民へのアンケート調査でありますとか、あるいは公聴会の実施とか、具体的な地域の合意に向けたアクションというもの、あるいは、想定される様々な負の影響があります、依存症の問題や治安維持とか青少年教育とか、こういう地域対策、こうしたことをきちんとやっているということがないと国から認可する際に評価が与えられないという、そういう仕組みをつくらないといけないのではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

○衆議院議員(西村康稔君) まず、御指摘のとおり、基準をしっかりと実施法案の中で作ってもらうことになりますので、もうあちこちにたくさんできるということではなくて、一定規模以上で、大きな経済効果が見込まれるものであり、かつ、地域の魅力向上、地方創生、町づくり、こうしたものに貢献することであり、また、地域独自の文化発信とかクールジャパンの推進、こうしたことにも寄与するという、こういった認定の基準が定められていくことになります。
 その上で、IRの設置について地域が手を挙げるときには住民の理解を得て進める必要がありまして、先ほど来申し上げておりますが、地方公共団体の議会の同意を要件とするというふうなことも考えられるわけであります。これはもう衆議院の内閣委員会の附帯決議においても言及されているところであります。
 その上で、更に御指摘のような地域の住民合意に向けた様々なアクション、様々な取組、これはほかの国でも、例えばマサチューセッツなどでも地域住民と事業者がアコードを結ぶようなそんな例もありますので、いろんな事例も参考にしながら、まさにいろんな御指摘の想定される負の影響、地域対策、こうした取組の状況も認定に当たっては重要な判断材料になるのではないかというふうに考えております。

○西田実仁君 この依存症、反社勢力や青少年への影響対策についてお聞きしたいと思います。
 日本で設置されるIR、もう再三言われているように、非常に厳格に少数に限るということでございます。実際に公営ギャンブルは日本にはもう百軒、パチンコ店は一万一千軒、宝くじ売場は一万五千軒と。これを、カジノは非常に少数に限る、二、三か所ということからすると、もう全然比較にならないのが既にもう今、日本にあるということであります。したがって、カジノが合法化されるということによる影響はもちろんありますけれども、それがないとしても、今既に様々な問題が起きているということは再三指摘されております。
 しかし、ここであえて申し上げたいと思いますが、韓国の依存症管理センターの報告によりますと、先ほどの江原道の廃炭鉱地域住民のやむを得ない選択として次のような言葉が述べられております。どれだけ徹底した依存症管理システムを備えていても、ギャンブル産業の副作用、例えば家産の蕩尽、自殺、地域共同体の崩壊を根本的に防ぐことはできないので、地域再生戦略としてカジノなどのギャンブル産業を誘致することは非常に慎重を期すべきである、誘致の前には徹底した準備が必要であると、そういう指摘がこの韓国の依存症管理センターから出されております。
 江原ランドの周辺では、やはり町にカジノ中毒者がいるから、あるいは子育てには向いていないとして人口が半減しているという報道も私は触れました。こうした韓国の先例についてはどのように提案者はお考えになるのか、お聞きしたいと思います。

○衆議院議員(岩屋毅君) 先ほども申し上げましたように、韓国の江原ランドにつきましては、創設に至った背景でありますとか目的が私どもが考えておりますIR構想とはかなり違うということは申し上げておきたいと思います。
 他国の施策のことでございますから余り是非を論評するのもいかがかと思いますけれども、私どもの認識では、この江原ランドにおきましては、必ずしも今私どもが想定をしております適切な入場管理政策などが取られていないのではないかと認識をしております。入場料も五百円、六百円程度取っておられるそうでございますが、私どもは更に厳格な内国人に対する入場管理政策を取るべきだというふうに考えておりますし、韓国においてはカジノだけをしっかりと監視、監督するという機関もないと承知をしておりますが、私どもは、カジノ管理委員会という特別な権能を持った、国家行政組織法上、いわゆる三条委員会としての管理委員会をしっかりつくるべしと考えておるところでございまして、そういった諸外国の事例をよく研究をさせていただいて、世界でも最高水準の厳格な監視、管理体制が取れるようなIRを目指してまいりたいと思っております。

○西田実仁君 青少年への影響、悪影響についてお聞きしたいと思いますが、青少年の入場の防止と教育への配慮という二つの課題があろうかと思います。
 青少年の入場防止ということについては、カジノ施設への入場にIDチェックを義務付けることで防ぐことも可能かと思いますが、気になりますのは、教育上の措置というか、喫煙とか飲酒とか薬物利用に関しては学習指導要領にもこのリスク教育が盛り込まれて、それらとどう向き合うのかということもきちんと教育上措置されておりますけれども、賭博についてのリスク教育ということがいかほど行われているのかという大変心配をそもそも持ってございます。
 日本には既に、先ほど申し上げたように、公営ギャンブルにしても賭博の類似産業としてのパチンコ等についても相当もう町じゅうにあるわけでありますけれども、こうしたギャンブル依存症のそもそも論としてあえて申し上げますけれども、学習指導要領に賭博に関するリスク教育を例えば必修化して、依存症という病気に関して、またお金をどう自分でコントロールしていくかというマネーコントロール能力でありますとかリスク管理能力でありますとかストレスのコントロール能力でありますとか、こういうことも、賭博リスクに対する青少年向けの教育プログラムを開発していくべきではないかという、そういう専門家の指摘がありますけれども、今、現状と認識を文科省にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(瀧本寛君) お答え申し上げます。
 子供たちが成長し大人になった際、ギャンブル等に依存せず、自律的かつ健康で生きていくためには、学校教育を含む様々な場面を通じまして、消費に使える金銭の限度やその優先順位を考えた自覚ある消費行動を取れるようにすることや、欲求やストレスに適切に対処し心身の健康を保てるようにすることなどのために必要な力を育んでいくことが極めて重要であると考えております。
 このため、学校教育におきましては、家庭科の時間などを通じまして、家計における収支バランスや計画を考え、適切な意思決定に基づいた消費行動を行えるようにすることや、保健体育の時間などを通じて、欲求やストレスが及ぼす影響あるいは適切な対処が必要であることなどについて理解し、自分に合った対処法を身に付けられるようにすることなどについて指導をしているところでございます。
 文部科学省といたしましては、依存症に関する教育について、議員の御指摘、様々な御提案なども含めまして、児童生徒の発達段階に応じた適切な指導の在り方の観点を踏まえつつ、引き続きこうした指導の充実に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 諸外国では、カジノ導入により発生します依存症や犯罪、青少年の賭博など、社会的コストへの対策として近年最も実効性があるとされておりますのがカジノ区画に対する入退場管理制度だというように思います。衆議院の附帯決議にも、依存症予防等の観点から、カジノには厳格な入場規制を導入することをうたっております。
 カジノ事業者に対して厳格な入退場管理制度、特に全登録制を義務付けるべきではないか、全てのカジノ入場者に事前に例えば個人情報登録を義務付け、その入退場を管理することで、依存症対策や犯罪あるいは反社会的組織対策、また青少年への悪影響の除去ということも進むのではないかと思われますけれども、提案者はどのように考えますでしょうか。

○衆議院議員(西村康稔君) 御指摘のとおり、カジノ施設への入場者の制限につきましては、青少年の健全育成あるいはギャンブル依存症対策、こういった観点からも必要であるというふうに考えております。
 御存じのとおり、もう議論もされておりますが、シンガポールでは、いわゆる排除プログラムということで、自己申告であったり、あるいは家族の申告に基づいて入場制限がなされるという、そういう仕組みが導入されております。こうした諸外国の様々な仕組みを参考にしながら、実効性なども考慮しながら、今後、法施行後一年以内を目途として政府が十分な検討を重ねた上で策定、提出をされる実施法案の中でしっかりとそうした規定も定めていただきたいというふうに思いますし、その際にマイナンバーカードなどの活用も是非検討いただければというふうに思っているところであります。

○西田実仁君 様々な懸念が、これから実施法をこの法律が成立すると作って初めてカジノが合法化されるという説明は何度もお聞きしました。その実施法を作るというふうに至った場合でも、なかなかこの日本の社会で多くの国民に理解されないということもあり得ると思いますし、そういう場合にはもう反対するかもしれないとさっき西村さんも言っておられましたけれども、それだけ大変に抵抗が日本の社会にはあるということだと思うんですね、賭博という行為に対して。最高裁の判決をまつまでもなく、普通の人が思っているカジノ、賭博に対する良くないという社会通念上の問題が大変に根深いと私も正直思います。
 そういうふうに考えて、でもなお、それでもやるべきなんだというふうに仮になった場合には、もうこの実施法の段階で、もちろん細田先生おっしゃるように、民間の投資ですから、その投資意欲をそいでしまったら何の意味もないというのもよく分かるんですけれども、もう当分の間、日本人はその中に入れないというようなことまで考えないと、理解されないと、どんなにお金がもうかりますよって言っても実際にはやれないということになってしまうんじゃないかと思いますけれども、こうした、当分の間、日本人の入場制限若しくは入場の禁止、これも検討していくべきではないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

○衆議院議員(岩屋毅君) ただいま先生が御指摘された点については、かつて、随分前になります、検討を始めた初期の段階で、議員連盟の中でも議論になったことがございます。しかし、いろいろ研究、検討してみました結果、日本人をしばらく入れないという形のIRについては幾つかの懸念事項があるというふうに我々考えました。
 その理由は、我が国の刑法が、その適用範囲について、日本の領域内で罪を犯した全ての者に適用するという属地主義を原則としているわけでございます。規制の目的が依存症などの弊害から日本人を保護するためだとしても、現行刑法は、日本人の外国での賭博行為を国外犯として処罰はしておらないわけでございます。こういったことと整合性が果たして取れるのかという議論も行いました。また、外国でも採用されております、今、西村提出者から説明もありました、入場料、排除プログラム等の入場規制を課すという政策判断の方が適切なのではないかと、一律に入場を禁止するということは過度の規制になるのではないかというふうにも考えました。
 また、これも細田提出者からお話しさせていただきましたように、国内観光客を排除する仕組みということになりますと、公益還元、目的の大きな一つであります公益への還元が不十分なものとなりまして、そもそもこの法案の目的が達成できないのではないかというふうにも考えたところでございます。
 したがいまして、本法案では、日本人の入場を一律に禁止するのではなくて、適切な入場規制、入場管理政策を取ることによりまして、一定のギャンブル依存症対策を講じた上で日本人の入場も認めるといったことを前提にしているところでございます。

○西田実仁君 ジャンケットという話に移りたいと思いますけれども、私もこの言葉は知らなかったんですけれども、いろいろ資料を読みますと、マカオのカジノにおきましては、いわゆるVIPルームの収入が全体の七割に達していて、その大半の運営はジャンケットと呼ばれる専門の業者に委託しているんだということのようであります。ホテル側は一般客フロアの運営に特化して、VIPルームはジャンケットに貸し出す仕組みで、ジャンケットはVIP顧客をカジノに送客し、カジノ事業者からコミッションを得る、言わば顧客とカジノの媒介者としての、まあ代理人と言ってもいいのかもしれませんが、定義されるというふうに理解しております。
 しかし、先行例では、このカジノのVIPルームがホテル側も関与できなくなってブラックボックス化して、闇カジノ化しているというような指摘もございます。そこで、シンガポールでは、シンガポール国民、永住者に対しては活動できないというふうにしておられるようでありますし、国内では免許制で三つの業者にしか認めていないということも、我が党の議員が現地に行った報告書で出されておりました。
 ジャンケットへの強い規制は、でも逆にVIPへの運営会社のアクセスが細るために弊害も、弊害というかビジネス上の弊害もあるということで、免許の厳格化は今後の検討課題だというふうにされているとも聞いております。しかし、元々ジャンケットというのは、そもそもカジノしか観光資源がないマカオで、その上顧客、VIPに依存せざるを得なかったそのマカオで発祥したものだというふうにも思います。
 マネロンの温床とも言われるジャンケット、日本では、このカジノ周辺領域での反社勢力の侵入を防ぐためにも、こうしたジャンケットは原則排除するということの方が良いのではないかというふうに思いますけれども、どうでしょうか。

○衆議院議員(岩屋毅君) 先生御指摘のとおり、ジャンケットという仕組みには集客上のプラスもある反面、弊害があるということも指摘されていることを私どもも認識をいたしております。
 特に、マカオという地は、ほとんどのお客さんが中国メーンランドからというところでもございますので、そこにおいてジャンケットという仕組みが盛んに使われてきたということも承知をしておりますが、シンガポールはそういう事例も参照しながら、先生今おっしゃったように、極めて限定的にこの仕組みを認めておりますが、しかし、私どもとしてはこのジャンケット制度については社会に及ぼす影響を踏まえた上で極めて慎重な検討が必要だと思っておりまして、政府においてまさに慎重に検討していただいた上でしっかりと実施法の中で規定を定めていただきたいと思っております。

○西田実仁君 最後になりますけれども、カジノの、今回は民設民営ということになるわけでありまして、その影響についてお聞きしたいと思います。
 法案の二条には、「民間事業者が設置及び運営をする」と、民設民営ということがうたわれております。刑法で、もう言うまでもなく国民の勤労の美風を妨げるとして禁止されている賭博、その例外として今までは公設民営のギャンブルは認めているということでございました。政府は、法務省の見解で、刑法の賭博禁止の例外として認められる賭博として八つの項目を目的の公益性以下挙げておられます。その判断基準に従ってこの刑法の賭博禁止の例外として認められるということになるわけですね。
 しかし、それは今まで公設民営だからその八項目を満たしているという、そういう理屈だったわけですけど、今度は民設民営になるわけですね。それを認めると、それによる影響範囲をしっかりと見定めていかなきゃいけないんじゃないかというように私は思います。つまり、この一から八までの八項目の判断基準に当てはまるのであれば民営賭博でも認められるんだと、こういうことになりますと、例えば今公営ギャンブルは公設民営ですけれども、じゃ、これを民設民営にしようというときに、しかし八項目はちゃんと満たしていますよという仕組みがつくられれば、じゃそれも認められるのかどうか、論理的にはその余地が出てくると思いますし、あるいは、パチンコやジャン荘など、今は賭博ではないと整理されて遊技産業に位置付けられておりますけれども、この民営の賭博施設として認めてもらいたいと。いわゆる三店方式と言われるものが、今それによって事実上換金されているわけでありますけれども、そういう影響が及ぶのではないかと、民設民営の賭博を認めることによって。逆に、今は賭博ではないと整理されているパチンコの射幸性をもっと落としていくべきではないか、賭博の要素をもっと薄めるべきではないか、換金を認めている三店方式を見直すべきではないかと、こういう論議が起きることも考えられると思います。
 いずれにいたしましても、既存の賭博産業やその周辺の類似産業が民営賭博として動き出した場合にどのように対処していくのか。民設民営の賭博としてカジノを認めることによる影響範囲とその対処について、提案者と政府参考人にそれぞれお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(西村康稔君) 午前中の白眞勲委員の議論とも重なるんですが、私ども、カジノ単体で今回提案をして、それを賭博罪の例外として認めるべきだということをこの法案でやろうとしているわけでもありませんし、そもそもそのような提案をしていないわけでありますが、仮にカジノ単体でこの八つの観点からの検討を経て賭博罪の例外が認められるかどうかということは、これ相当議論をしなければいけないと思いますし、これはかなり難しいんではないかというふうに考えております。
 その上で、カジノを民設民営で行うのはいろんな理由があって、公的主体よりも総取りになるとか、公的主体がリスクを負うからということで民間がやるべきだというふうに我々考えたわけでありますが、これまでの公営ギャンブル以上にこれは厳格な監督、統制、規制、これを、言わばがちがちの規制をカジノ管理委員会でやってもらうということで、まず、そこの八つの項目のうち運営主体の廉潔等のところはクリアをして、さらに、カジノ単体ではなく、ほかのショッピングセンターとかエンターテインメント施設、先ほどの文化的な施設、会議場、展示施設、宿泊施設、こういったものを加えることによって、全体として、IR全体としてこれは公益性もある、観光振興にも資する、そして、その全体から上がってくる収益を納付金として徴収をして、それを公益目的にまた使っていくということで、八つの項目のうち公益性も、この統合リゾートによって公益性が増すと。
 カジノ単体でこの公益性まで認めるような、八つのことをクリアするようなことはなかなか厳しいんじゃないかというのが率直なところでありまして、したがいまして、今回、私ども、そうしたことも検討の上、IR全体として、カジノはごく一部のものとして収益を上げる施設でありますから、それはそれで必要なものとして、ごく一部でありますが、全体として違法性を阻却すると。
 もちろん、この法案ではなくて、今申し上げたような方向性、あるいは附帯決議でいただいている、衆議院でいただいている方向性、今日のやり取りも含めて、こうしたこと、まさに国権の最高機関である立法府の意思として、そしてまた我々提案者の意思として表明していることを踏まえて、政府で、しっかりと実施法の中で今申し上げたような八つのことをクリアしてもらうような、違法性が阻却できるような規制をしっかりと書いてもらうということだと思います。

○政府参考人(種谷良二君) お答えいたします。
 委員御指摘のいわゆる違法な賭博事犯、特別法によって違法性が阻却されていないような違法な賭博事犯につきましては、これまでも警察において厳正な取締りを推進してきておるところでございます。
 二十七年中の賭博罪等の検挙状況につきましては、検挙件数が二百二十五件、検挙人員は九百二十三人というふうになっております。具体的な検挙事例といたしましては、例えば、店内にバカラ台を設置して賭博をする、店内にパチスロ機を設置して賭博をする、店内に花札ゲーム機等を設置して賭博をするといったような事案につきまして、経営者につきましては賭博開張図利罪ですとか常習賭博罪で、それからお客につきましては単純賭博罪でそれぞれ検挙をしてきているところでございます。
 仮に、今後、関連法が制定されましてIR施設内におけるカジノが合法化された場合には、それ以外の違法な賭博につきましては、法と証拠に照らして引き続き厳正に対処してまいりたいというふう考えております。

○西田実仁君 この推進法が仮に成立した場合に一年以内に実施法を策定していくということでありますが、その実施法ができても、このIRの営業開始まで相当の準備が必要になるんだろうと思います。
 マネロン対策や依存症対策、ディーラーの養成やバックヤードの問題等々、想定されるこの準備作業と、また、IRが実際に営業開始になる時期のめどについて最後提案者にお聞きして、終わりたいと思います。

○衆議院議員(西村康稔君) 仮にこの今回の推進法案が成立をしましたら、その後一年以内を目途に実施法案が提出をされるということになります、内閣からですね。
 そして、それが成立をした暁には、その後、まさに具体的な手続が定められていくことになりますし、その場合、まさにIR区域を設定しようとする地方公共団体の申請、それから国の認定、それから並行的に行われるでありましょうカジノ施設に関する様々な機器に関する規則とか、こういった細かい規則の策定、それからカジノ設置運営者に対する免許等に必要な体制整備、それから、さらにその後、民間事業者の施設建設とか、その前提となる建築確認とか、それからIR運営の体制整備、その後に運営開始ということになりますし、同時に、御指摘の依存症対策とかマネロン対策とか、こういったものがしっかりと取り組まれるということになりますので、したがって、これは建設の期間も、これだけの規模、具体的な基準は実施法で決められるとしても、ある程度の規模を要するものでありますので、シンガポールの例を見ても建設にやっぱり三年とか掛かっておりますし、申し上げた実施法まで一年、それから、その成立後の手続、こういったことを考えると、少なくとも数年は掛かるというふうに我々認識をいたしているところでございます。

○西田実仁君 終わります。