196-参-内閣委員会-005号 2018年03月27日
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
私の方からも、この法案につきまして、まず保育充実事業についてからお聞きしたいと思います。中でも、対策協議会についてお聞きしたいと思います。
法案の附則第十四条第四項には、特定市町村又は事業実施市町村を包括する都道府県は関係市町村等との協議会を設置することができることとなります。協議会で議論する項目につきましては、法案では、小学校就学前子供の保育に係る子ども・子育て支援に関する施策であって、市町村の区域を超えた広域的な見地から調整が必要なもの又は特に専門性が高いものとされております。
その内容でありますけれども、規制改革推進会議の規制改革推進に関する第二次答申によりますれば、協議会にて議論する項目について、まず第一に保育に関わる情報の共有化、第二に地方自治体の待機児童解消に向けた取組を促す制度改革、そして第三に保育の受皿拡大を支える保育人材の確保等が示されております。
この中で、特に保育人材の確保、とりわけ保育士の偏在是正について今日はお聞きしたいと思います。
首都圏では、保育士の東京集中が顕著であります。もちろん、保育士が最も足りない、有効求人倍率が図抜けて高いのが東京であることは十分に理解しますけれども、東京周辺の埼玉や千葉、神奈川などでは、東京の余りの高い処遇により保育士の流出が顕在化しております。私の地元の埼玉におきましても、特に県南の東京に近い保育施設から、せっかく育てた保育士が東京へ流出してしまうという悲鳴の声を伺っております。
東京への保育士の流出を防ぐために、保育士の給料に独自の上乗せをする事例も多く見られるようになりました。先ほど岡田委員も御指摘されましたし、先般本会議でもありましたが、ネット上でも話題の松戸手当がその典型であります。
昨年十月から、千葉県松戸市では、保育施設が支払う給料とは別に、勤続年数に応じて四万五千円から七万二千円の手当を独自に保育士に支給しております。この四万五千円というのがみそでありまして、隣接する東京都が二〇一五年度に保育士等キャリアアップ補助金を創設し、二〇一七年度には支給額を最大四万四千円まで増額しております。松戸手当はそれを上回る四万五千円という数字であります。千葉県松戸市のように、東京に隣接する地域では、給料の高い都内に保育士が流出することを防ぐための方策に迫られているということだと思います。
給料だけではありません。新卒の保育士が市内にアパートを借りて保育園に勤める際に家賃の一部が補助される制度がございますが、地方出身の新卒の保育士も、家賃補助も高く給料も高い東京都内に当然引き寄せられていくわけであります。
こうした自治体の財政格差により保育士の偏在がますます助長されていいのかというのが私の問題意識であります。子育て支援について自治体間で競争していくことは、決して悪いことばかりではもちろんありません。しかし、だからといって、国が一定の基準を決めて保育士の処遇改善を実施している一方で、財政力のある自治体が独自の上乗せ施策を取り、結果として格差が生じて保育士の偏在が生じているとなれば、自治体間競争とだけ言って済まされないのではないでしょうか。
そこで、松山大臣にまずお聞きしたいと思います。特にこの首都圏におきましては、保育士の東京集中が顕著であります。保育士の偏在についてどのように把握し、その是正についてどのような対策を取っていくお考えか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(松山政司君) 西田委員にお答えいたします。
各自治体におきまして、独自に保育士に対して給与の上乗せ補助を実施するなど、必要な保育士の確保に各自治体が努められているということは承知をいたしております。
国としては、自治体間で保育士に偏りが生じないようにこれまでも全国統一的な処遇改善に取り組んできておりまして、特に今年度は、技能、経験を有する者を対象に全国一律に月額四万円の処遇改善を実施をしたところでございます。
さらに、新しい経済政策パッケージにおきましては、二〇一九年四月からも更に一%の賃金引上げを行うこととしており、引き続き全国統一的な処遇改善に努めてまいります。
こうした処遇改善に加えて、厚生労働省を中心に、保育士資格を持ちながら保育士として就業していない方に対する再就職の支援、加えて保育士の業務負担軽減などに総合的に取り組みながら、しっかりと引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
○西田実仁君 この附則第十四条第四項には、先ほど申し上げた小学校就学前子供の保育に係る子ども・子育て支援に関する施策であって、市町村の区域を超えた広域的な見地から調整が必要なものが協議会の議論する項目となっております。そして、その具体的な内容として、先ほど紹介した第二次答申には、保育の受皿拡大を支える保育人材の確保が示されております。
そこで、保育人材の確保について、広域的な見地から調整が必要なものとして、私が今指摘しております保育士の近隣県から東京への流出、東京への一極集中について是非とも議論できるようにしてもらいたいと思います。
国として、今大臣御答弁いただきました保育士の偏在なきようとの施策を掲げるのであれば、この度法定されました協議会におきまして、市町村の区域を超えた広域的な見地から調整が必要な場合、具体的には保育士の流出ということですが、例えば県を超えた東京都、市区町村など周辺自治体にも同協議会に参加を促すよう、国としてもその環境づくりに努めてもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(松山政司君) 本法案に基づくこの協議会ですが、子ども・子育て支援法における都道府県と市区町村の役割、これを踏まえて都道府県を中心に広域的に待機児童対策に取り組むことを促すことを意図しておりまして、都道府県が待機児童の解消に積極的に参画ができる環境が整備をなされて、そして都道府県の支援がより実効的なものとなるように期待をしているところでございます。
協議会での協議事項ですが、地域の実情に応じて各協議会において決定するものでありますが、一つは、地域ごとに必要な人材確保の状況の分析、また、それに応じた人材確保政策あるいは育成策の強化についても議論をされることと想定をいたしております。
保育士確保につきましては、保育の実施主体である市区町村に対して都道府県の更なる役割が求められているところですが、この協議会において、地域の実情に応じて都道府県を超えた広域調整に取り組んでいただくことも可能でございます。
他方で、今般の協議会では、都道府県単位での広域的な保育士確保等の取組を強化していただくということを想定していますので、まずは県内の、国としては、都道府県そして関係市町村との連携がしっかりできるように、待機児童の取組が進められるよう進めていきたいと思っておるところでございます。
○西田実仁君 保育士、保育人材の偏在是正に本気で取り組もうとすれば、私の地元の埼玉県内における協議だけでは不十分なんですね。ですから、協議会にも東京の方にも来ていただくという形で、一刻も早くこの是正に取り組んでもらわなきゃいけないと思います。
厚労省にお聞きしたいと思いますが、今私が引きました附則第十四条第四項の、市町村の区域を超えた広域的な見地から調整が必要なものの解釈についてであります。
この市町村の区域を超えた広域的な見地は、今大臣の御答弁にもちょっとございましたが、必ずしも同一の県内調整のみを意味するものとは解さなくていいんではないかと思いますけれども、改めてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(成田裕紀君) お答え申し上げます。
繰り返しになりますけれども、本法案に基づく協議会は、子ども・子育て支援法における都道府県と市区町村の役割を踏まえ、都道府県を中心に広域的に待機児童対策に取り組むことを促すことを意図しており、都道府県が待機児童の解消に積極的に参画できる環境が整備され、都道府県の支援がより実効的なものとなることを期待しているところでございます。
広域調整につきましては、保育の実施主体である市区町村に対する都道府県の関与が求められるところ、まずは今般の協議会において市区町村間での保育園等の広域利用の取組などを推進し、こうした取組を踏まえ、都道府県間の広域調整の取組が広がることを期待しているところでございます。
なお、協議会での協議事項は地域の実情に応じて各協議会においてお決めいただくものであり、例えば、協議会に隣接する他県の市区町村に参加していただき、広域利用について議論することも可能であると考えております。
○西田実仁君 ありがとうございます。
次に、潜在保育士の活用についてお聞きしたいと思います。
実際の事例で紹介しますと、埼玉県内のA市在住の保育士のお子さんが、保育士の職場である近隣のB市内の保育園に優先して入園できないという実態があります。A市在住の保育士がA市内の保育園で勤務している場合には優先入園が可能のようでありますが、潜在保育士を活用し待機児童を一刻も早く解消するには、居住する市町村の保育園等への勤務を条件とせず、市町村の圏域を超えた利用調整を行うことが必要ということであります。
この同趣旨の通知は、先ほども御答弁ありました、自治体向けに昨年九月に発出されています。すなわち、居住する市町村内の保育園等への勤務を条件とせず、市町村の圏域を超えた利用調整を行うことで広域的な待機児童の解消にも大きな効果を生む、そのため積極的に各市町村間で協定を結ぶ等の連携、調整を行うことと、こういう通知が発出されております。
そこで、まず大臣にお聞きしたいんですが、保育士の子供について、こうした居住する市町村の圏域を超えた保育園等の利用調整の実態に関してどのように把握しておられるのか。また、新たに法定される協議会において各市町村間での協定締結を促すなど、県が積極的な広域調整の役割を果たしてもらいたいと思いますけれども、国としてどのように指導していかれるでしょうか。
○国務大臣(松山政司君) 厚生労働省が行いました待機児童解消に向けて緊急的に対応する取組を実施している四百一市区町村を対象とした調査というのがございまして、平成二十八年十月の時点なんですが、保育士の子供の優先入所を行っていると回答した市区町村は二百四十七、全体の約六割でした。また、市区町村の境界を超えて利用調整を行っている市区町村は百十一自治体で四五%でございました。
協議会での協議事項は地域の実情に応じて各協議会においてお決めいただくものでございますが、保育所等の広域利用の推進についても協議会で議論されることを想定をいたしておるところでございます。例えば、保育所等の広域利用を目的とした市区町村間の協定は一部の自治体で先進的に行われているところもございまして、具体的に、定員に空きがある保育所等が隣接する市の待機児童を受け入れるようにする取組、また、市境ですね、市と市の境の周辺にある土地に隣接する市が保育所等を共同で整備する取組も実際に行われたりしているものと承知をいたしております。
協議会を通じてこのような協定が締結されることは更なる待機児童の解消にも役立つものと考えておりますし、厚生労働省とも連携しながら、この協議事項として想定される事例として周知に私も努めてまいりたいと思います。
○西田実仁君 こうした自治体に通知等を発出されているわけですし、また、先ほども御答弁ありました全国主管課長会議等の場を通じても要請しているということなんですけれども、結局、やっているけどそうはなっていないという、やった方が望ましいと言っているわけですけれども、実際にはそうなっていないわけでありますので、協議会がせっかく法定されるわけですから、そこの場を通じてそうした意図に沿った形になるように強力に進めてもらいたいと思います。
次に、小規模保育園卒園児の保育園等への円滑な入園のための利用調整についてお聞きしたいと思います。
小規模保育に通うお子さんが三歳児になると連携保育園に必ずしも行けず、再び保育活動をしなければならないという実態があります。その結果、二人目の子供あるいは三人目の子供を諦める家庭もおられます。希望出生率一・八を達成するためにも連携施設の確保ということが大変重要になってまいります。
そこで、まず大臣には、小規模保育園卒園児が三歳以降になると連携保育園に必ずしも通えない、こうした声があることを踏まえて、連携施設の確保に関してどのような施策を取っているのか、お話をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(松山政司君) 待機児童の約九割が三歳未満の子供であることから、三歳未満の子供を対象としたこの小規模保育施設などの受皿拡大に努めているところでございます。
一方で、この場合、委員御指摘のとおりに、三歳を迎え小規模保育施設を卒園した子供の受入先、いわゆる連携施設の確保が課題となっておるところでございます。このため、今年度から、厚労省においては、小規模保育施設を卒園した三歳の子供を受け入れるためのコーディネーター、コーディネーターの保育園などへの配置を促進する事業を始めております。
厚生労働省においてこの連携施設の確保に向けてしっかりと取り組むように、私としましても連携をしっかりしながら進めてまいりたいと思っております。
○西田実仁君 自治体に発出した通知には、市町村には、小規模保育事業者が連携施設の確保を行おうとする際には事業者の懇談の場を設定するなど配慮をいただきたいというふうになっております。しかし、配慮では非常に弱いと。小規模保育から連携施設に行けるよう、再び保活をしなくても済むよう、それこそ広域的な見地から、この新たな法定される協議会において県が積極的に関わって利用調整をすべきではないかと考えます。
協議会の議題として、この連携施設の確保も入るでしょうか。厚労省にお聞きします。
○政府参考人(成田裕紀君) お答え申し上げます。
本法案では、都道府県が市区町村等と協議する場を設置できる旨を盛り込んでおり、都道府県が待機児童の解消に積極的に参画できる環境を整備し、都道府県による市区町村の取組の支援をより実効的なものとすることを目的としております。
協議会での協議事項は地域の実情に応じて各協議会においてお決めいただくものであり、連携施設の確保についても協議会で議論していただくことは可能であると考えております。
○西田実仁君 一方で、市町村が必要と判断した場合には三歳以降も小規模保育を利用できることもあると聞いております。
連携施設が確保されない場合、満三歳児が四月以降も小規模保育を利用できる要件は何でしょうか、自治体が認めさえすればそれでオーケーということなんでしょうか、改めてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(成田裕紀君) お答え申し上げます。
現行の小規模保育事業につきましては、待機児童の多くをゼロ—二歳児が占めることを踏まえ、事業の対象年齢を原則ゼロ—二歳に限定しつつ、満三歳に達して卒園する児童が必要な教育又は保育を継続的に受けられるよう、連携協力を行う施設を適切に確保するところを求めております。このため、市区町村に対し、小規模保育事業の卒園児の入園先を確保するため、利用調整及び連携施設の確保に積極的に取り組むように求めてきたところでございます。
こうした努力をしてもなお卒園後の入園先が確保できない場合など、児童福祉法上、市区町村が満三歳児以上の児童に係る保育の体制の整備の状況その他の地域の事情を勘案して必要と認める場合については、市区町村の判断で満三歳児が四月以降も小規模保育事業に継続入園することが可能でございます。
○西田実仁君 それはこの新制度施行後五年間に限ったことなんでしょうか、確認したいと思います。
○委員長(榛葉賀津也君) 速記を止めてください。
〔速記中止〕
○委員長(榛葉賀津也君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(成田裕紀君) お答え申し上げます。
五年間に限った話ではないと考えております。
○西田実仁君 次に、特定市町村についてお聞きしたいと思います。
附則十四条に定めております保育充実事業、保育の実施への需要が増大している市町村について、国は保育充実事業に要する費用の一部を補助することができると、こう定められております。
厚労省にまずお聞きします。この附則第十四条に定められている保育の実施への需要が増大している市町村、いわゆる特定市町村の要件については改めて内閣府令で定めるとしておりますが、もし目安が、今の待機児童数とか今後見込まれる増大する待機児童数とか、数値の目安があれば示していただきたいと思います。また、特定市町村以外では、保育充実事業を実施する市町村、いわゆる事業実施市町村、この要件については特に定めはないのでしょうか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(成田裕紀君) お答え申し上げます。
本法案におきましては、保育の需要が増大している市区町村を特定市町村とし、特定市町村以外の市区町村を事業実施市町村と規定しております。
特定市町村の具体的な要件としては、内閣府令において、待機児童がいる市区町村、今後保育ニーズが増加することが見込まれる市区町村とすることを想定しており、これに該当すれば保育充実事業を実施することができることになります。また、事業実施市町村につきましては、保育の量的拡充及び質の向上を図るため特に必要があるときは、保育充実事業を実施することができることとしております。この特に必要があるときとは、管内の認可外保育施設の質の向上を図り、認可保育所等への移行を推進する必要がある場合などを想定しているところでございます。
○西田実仁君 この保育充実事業の内容につきましても内閣府令で定めるとされておりますが、具体的には、パブリックコメントに示されているのは、まず、幼保連携型認定こども園等への移行を目指す幼稚園における長時間預かり保育を支援するための事業、二つ目に認可外保育施設の認可保育所等への移行を支援するための事業と、パブコメに府令案として示されております。
そこで、厚労省にお聞きしますが、この幼稚園における長時間預かり保育運営費支援事業、認可外運営費支援事業について、本法律案が成立し施行された場合、どのように支援が充実していくのか、従来の子どものための教育・保育給付費補助金による実績を踏まえて、これまでの支援とはどこがどのように充実されるのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(成田裕紀君) お答え申し上げます。
保育の受皿確保に当たりましては、一定の保育の質が確保されている認可保育園等を増やしていくことが必要であり、施設の新たな整備のみならず、認可保育園等への移行を希望する認可外保育施設や長時間預かり保育を行う幼稚園に対して支援を行うことも重要でございます。このため、本法案では、保育充実事業を法律上に位置付け、これらの施設に対して運営費を補助する事業の推進を図ることとしております。
今般、平成三十年度予算案では、この認可化移行運営費支援事業の充実を図るため、認可保育園に倣い、施設の規模に応じた補助単価の見直しを行うとともに、都道府県が本法案に基づく待機児童対策に係る協議会を設置している場合に一定の補助の加算を設けることとしており、引き続き認可保育園への移行を支援してまいりたいと考えております。
○西田実仁君 そうした認可移行を目指す認可外保育所の運営費に対する補助率を引き上げていくという方向だろうと思います。
この子どものための教育・保育給付費補助金は、従来、予算補助でありましたが、今回新設される附則第十四条第三項に基づいて法律補助となっていくわけであります。ただ、この法律補助なんですが、いわゆるできる規定で、国は補助することができるとされていることにとどまっておりまして、必ずしも義務付けはしておりません。これはなぜそのようにされたのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(成田裕紀君) 本法案では、国は市区町村の実施する保育充実事業を支援するため、予算の範囲内で保育充実事業に要する費用の一部を補助することができることとしております。保育充実事業につきましては、法律上その実施を市区町村に義務付けているものではなく、待機児童の問題など、地域の実情に応じて市区町村が取り組むものであることから、国庫補助についても補助することができると規定することといたしました。
今後とも、待機児童の解消などのため、市区町村が事業の実施ニーズをきちんと把握し事業を実施するよう、各市区町村に対して引き続き支援をしてまいりたいと考えております。
○西田実仁君 最後に、拠出金についてお聞きしたいと思います。
この子ども・子育て拠出金は、会社と個人事業主の一般事業主に課せられ、会社側は全額負担しております。従業員に子供がいようがいまいが負担するものでありまして、社会保険料と一緒に徴収される言わば税金のようなものであります。
今回、この法案第六十六条の二第一項の新設によりまして、保育所等の運営費の一部に充てられることになりました。具体的には、施設型給付費あるいは地域型保育給付費などの支給に要する費用で、国、都道府県その他の者が負担する額のうち、満三歳未満保育認定子供に関する費用の一部が充当対象になります。
今回、こうした保育所等の運営費の一部に子ども・子育て拠出金を充てることになるわけですが、充当対象の年齢区分を満三歳未満とした理由は何でしょうか。また、対象額の六分の一を超えない範囲とされた理由は何でしょうか。保育給付が想定より増加した場合、どのように対応するんでしょうか。内閣府にお聞きします。
○政府参考人(小野田壮君) お答え申し上げます。
新しい経済政策パッケージにおきまして、経済界からは、喫緊の課題であります待機児童解消のための子育て安心プランの実現に必要なゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費等に必要な三千億円を御協力いただくこととされてございます。
まず、満三歳未満児相当分とした理由についてでございますが、待機児童の約九割はゼロ歳から二歳児でございます。そのため、ゼロ歳から二歳児の保育の受皿を整備することが、子供の預け先を確保する必要性の高い保護者のみならず、企業にとっても労働力確保に資するという観点から、経済界との協議を踏まえ、拠出金を充当する対象を子育て安心プランの実現に必要なゼロ歳から二歳児相当分の保育の運営費に限ることとしたものでございます。
次に、拠出金を六分の一を超えない範囲内で充てることとした理由についてでございますが、経済界から御協力いただく三千億円のうち、子育て安心プランにおける保育の運営費、ゼロ歳から二歳児相当分でございますが、の増加分がおおむね二千億円となっておりまして、これを上限に拠出金を充当することとしてございます。
上限を規定するに当たりましては、保育給付の費用については国や地方自治体の負担が割合で規定されていることから、保育の運営費、ゼロ歳から二歳児相当分の増加分の二千億円を、ゼロ歳から二歳児相当分に係る保育給付費の総額のおおむね一・二兆円、これで割った六分の一という割合を上限として法律に規定することとしたものでございます。
なお、具体的に拠出金を充当する割合につきましては、毎年の予算編成過程で関係者と協議して、毎年度政令で定めることとしてございます。
次に、給付費が想定より増加した場合の対応でございます。新しい経済政策パッケージにおきまして、喫緊の課題である待機児童を解消するため、子育て安心プランを前倒しし、二〇二〇年度までに三十二万人分の保育の受皿を整備することとしたところでございます。この子育て安心プランの実現に当たり必要となる保育の運営費につきましては、新しい経済政策パッケージにおきまして、国、地方公共団体の負担に加え、企業主導型保育事業と合わせまして拠出金〇・三兆円を充当することとしたところでございます。
今後、この新しい経済政策パッケージの方針に従いまして、毎年度必要な保育の運営費は確保してまいります。こういう方針で臨む予定でございます。
○西田実仁君 事業主拠出金の料率引上げを財源とした三千億円の子育て支援事業のうち、何に幾ら充当するのか、改めてお示しいただきたいと思います。経済界からは、その効果の検証、中長期の事業計画の明確化、さらにオープンな場での透明性の高い議論を要請されていると思いますけれども、どのように対応していくんでしょうか。
○政府参考人(小野田壮君) お答えいたします。
企業等からいただいている事業主拠出金は、平成二十九年度予算におきまして、児童手当で約一千八百億円、地域子ども・子育て支援事業のうち放課後児童クラブ、病児保育、延長保育に約八百億円、企業主導型保育事業に約一千三百億円など、合計約四千億円に充てているところでございます。
これらに加えまして、今般、社会全体で子育て世代を支援していくという大きな方向性の中で、待機児童解消に向けた子育て安心プランの実現のため、事業主拠出金の率の上限を〇・二五%から〇・四五%に引き上げ、平成三十二年度におきまして、企業主導型保育事業の拡充に約一千億円、子育て安心プランに基づき、増加する保育の運営費のゼロ歳から二歳児相当分の拡大に約二千億円を充てることとしてございます。
また、子ども・子育て支援法におきまして、全国的な事業主の団体が事業主拠出金の率等に関しまして内閣総理大臣に対して意見を申し出ることができることとされてございまして、これまでも、各年度の拠出金の率やその使い道につきまして、日本経済団体連合会や日本商工会議所との協議の場を設けてきたところでございます。
さらに、今般、事業主拠出金を拡充するに当たりましては、事業主、とりわけ中小企業の事業主に丁寧に御説明する観点から、昨年十二月及び今年一月に開いた話合いの場に、経団連、日商のほか、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会及び全国商店街振興組合連合会に御出席いただき、意見交換もさせていただきました。
今後とも、こうした場も生かしつつ、また関係者に対し、企業主導型保育事業の各年度の実績や活用状況、今後の見通しについて見える化に努めて報告するなど、丁寧に説明、協議を行ってまいります。また、議事内容の公表などを含めまして、透明性のある議論となるよう心掛けてまいります。
○西田実仁君 最後ですが、子供の有無にかかわらず、また会社の規模にも関係なく、社会全体で子育てをするという前提により、税金と同様に拠出を求める子ども・子育て拠出金については、地方の町村部ではそもそも企業主導型保育施設の設置割合が低い、また受益と負担のバランスが悪いといった声もあります。また、人件費、とりわけ労働分配率を見ると、中小・小規模事業者の方がはるかに高く、拠出金のみ同じ比率で求められるのに納得がいかないといった声もあり、多様であります。
この子ども・子育て拠出金の拠出率について、大企業と中小・小規模企業で差を設けるなどの検討をすべきではないでしょうか。また、一般事業主に負担をいただき保育施設の整備が進んでいることをもっと広く国民の皆様に知っていただくべきでありまして、どう広報していくのか、最後に大臣にお聞きして、終わりたいと思います。
○国務大臣(松山政司君) お答えいたします。
これまでに私自身も大企業あるいは中小企業の団体関係者にもお会いをしてきました。また、事務方の方もそれぞれ事務的な協議もさせていただきました。
中小企業の様々な声も聞いてきたところでございまして、特に中小企業については、施設の運営費につきましては、例えば五%を三%にするという配慮も予定をいたしておりまして、また、複数の小規模事業者が何社かでやっていただくというところに関しては事務費用で百万円をプラスをする、また、防犯や安全設備等々に、対策についても基本年十万のところを二十万円にするというような配慮も予定をいたしておりまして、極力、今後も中小企業の声を聞きながら、しっかり対応してまいりたいと思います。
○西田実仁君 終わります。