203-参-予算委員会-002号 2020年11月06日
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
早速質問に入らせていただきたいと思います。
アメリカの大統領選挙が終わりました。勝者がどちらかというのはいまだ確定までには時間が要するようでございますけれども、どちらが勝利するにせよ、いわゆるアメリカ・ファーストあるいは対中強硬路線ということにはそれほど大きな変わりはないというふうに見られております。
そんな中、今、国際的な貿易収支の不均衡が生じているのが大変気になっておりまして、ちょっとパネルを御覧いただきたいと思います。(資料提示)
これは、アメリカ、日本、ドイツなど先進十か国と中国、インドなど新興十か国の貿易収支を比べたものでございます。
先進十か国の貿易収支は、この上のグラフですけれども、青い棒グラフの前年同期よりも、一番右側がこの十か国合計になっておりますが、オレンジ色棒グラフの直近三か月の方が赤字額が膨らんでいる。一方、新興国の貿易収支は反対に黒字額が膨らんでいる、拡大しているということであります。すなわち、この貿易不均衡というのが生じているわけです。これは、コロナ不況からの回復が、先進十か国の場合には消費主導で、そして新興十か国の場合には生産若しくは輸出主導で回復しているという違いから生じていると見られます。
加えて、パネルの下を見ていただきますと中国の対米貿易収支というのが出ておりまして、中国の対米貿易黒字額もその前年比も、棒グラフと折れ線グラフですが、共に拡大をしております。二〇一八年から一九年にかけまして、米中貿易戦争とも言われました第一幕においては、日本の輸出は落ち込み、景気が失速をいたしました。拡大する先進国と新興国の貿易不均衡に加えて、この米中間の貿易戦争とも言うべきものが再燃するとすれば、日本もそれへの万全の備えが必要ではないかと考えます。
そこで、まず総理にお聞きします。
米中貿易摩擦の再燃リスクに備えて、日英経済連携協定の発効や、RCEP、インド太平洋経済圏構築などによる自由貿易圏の拡大、企業への潤沢な資金供給や研究開発投資減税などによる国際競争力の強化、そして投資環境整備のためのインフラ投資の拡大など、産業基盤の強化策を来年度税制改正、また予算編成の中でしっかり盛り込む必要があるのではないでしょうか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 国際競争が激化する中で、米中経済関係を踏まえつつ、日本の産業競争力を強化し、経済成長を実現していくためには、産業基盤を強化することが重要であると認識しています。
こうした観点から、我が国としては、日英の経済連携協定の速やかな締結、発効、また、自由で公正な経済圏の拡大に取り組むとともに、官民ファンドを通じた資金供与、イノベーションの源泉たる研究開発、インフラ投資の拡大などにしっかり取り組んでいくことが重要だと思っています。
こうした政策を総動員をして、御指摘の産業基盤の強化に向けて最大限取り組んでいきたいと思います。
○西田実仁君 過去の円・ドルレートをたどりますと、日米の長期金利差とこの円・ドルレートというのは高い相関関係にございます。
次のパネルを見ていただきたいと思います。
この棒グラフ、青い棒グラフが日米の長期金利差でして、オレンジ色の折れ線グラフが円・ドルレートということでございまして、若干乖離しているときもありますけれども、かなり連動性があります。二〇一一年八月には、この一番下のところですけれども、円相場が一ドル七十五円まで上昇したときの記憶は大変鮮明であります。まさにそのときは、この青い棒グラフも一番低くなっているわけです。
そして、今、直近を見ますと、この日米長期金利差はそのときとほぼ同じぐらいにかなり縮まってきていると、こういう状況でありますが、一方、円・ドルレートはまだこの状況にあるわけであります。マクロ的に見ますとドル高是正へのマグマが非常にたまってきている状態にある、こう言わざるを得ない。
そこで、これも総理にお聞きしますが、アメリカの新政権でどのような為替政策になるかはまだ定かではございませんが、いずれにせよ、為替の安定ということは日本にとって大きな課題であります。日米、日中の連携や、あるいは円建て貿易の拡大、対外直接投資の拡大など、ドル高是正への動きに備えていく必要があるのではないでしょうか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 為替の水準だとか方向性について私が言及することは、市場に不測の影響を与えかねないことから、コメントは差し控えたいと思います。ただ、為替の安定というのは極めて重要だと、このように考えています。
政府としては、引き続き、各国の通貨当局としっかりと連絡を取り合いながら適切に対応していきたい、このように思います。
○西田実仁君 ありがとうございます。
続きまして、東京オリパラ成功への決意を改めて伺いたいというふうに思います。
人類は、ちょうど百年前の一九二〇年四月二十日から九月十二日まで、第七回アントワープ・オリンピックを開催をいたしました。ちょうどスペイン風邪がいまだ終息し切らない中での開催でありました。当時、アメリカのスペイン風邪の終息は一九二〇年の四月、フランスは二〇年末、そして日本も二〇年五月終息という、そういう記録が残っている中でのアントワープ五輪の開催だったわけです。
この大会、日本は参加して二回目にして初めてメダルを獲得しました。テニスのシングル、またダブルスです。そして、オリンピック旗が初めて掲揚され、いわゆる国威発揚の場となったことでも知られるオリンピックでございました。
それから百年、今人類を襲う新型コロナ禍の中で日本でオリンピック・パラリンピックを開催する意義は、強調してもし過ぎることはないというふうに思います。
改めて、東京オリパラ開催に向けた総理の決意並びにどのような大会にしたいか、また安全、安心な大会に向けてのコロナ対策についても伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 来年の東京大会は、人類が新型コロナウイルスに打ちかったあかしとして開催をし、東日本大震災の被災地が見事に復興を成し遂げた姿を世界に向けて発信する場になると思っています。来年七月二十三日からの開催に向けて、関係者、今一丸となって準備に取り組んでいるところです。
東京大会における感染症対策については、今年の六月にIOC理事会で示されたロードマップに沿って、各省庁、東京都、組織委員会、こうしたそれぞれの部署による調整会議を置いて今議論を進めているところであり、年内目途に中間整理を行う予定であります。
政府としては、引き続き、東京都や大会組織委員会、そしてIOC、緊密に連携し、大会に向けた準備を万全なものにしていきたい、このように思います。
○西田実仁君 そうした開催に向けての今、総理の御決意をお伺いしました。具体的に、年末に中間整理も取りまとめていくということであります。
こうした政府の着実な大会開催に向けての準備の一方で、やはり肝腎の国民の皆様の気持ちが付いていかないと成功ということはなかなかおぼつかないのも事実だと思います。オリパラは本当にやるんだろうかという国民の皆様の懸念というものは、やはりこれを払拭していかなければならない。やはりこの機運をいかに高めていくのかということが大変大事になってくると思います。
私の地元埼玉県でも、例えば競技会場付近で道案内を担う都市ボランティアの皆様方向けの研修をこのほど再開をされたと伺いました。また、活動エリアの説明動画の配信や救命講習なども実施予定だと聞いております。
こうした国民の皆様の五輪成功に向けての参加を促していくために今後どのようなことを工夫していかれるのか、橋本五輪担当大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本聖子君) お答え申し上げます。
来年の東京大会については、アスリートや観客等にとって安全、安心な大会の実現に向けて、今、政府一丸となって取り組んでいるところであります。
こういった中で、大会組織委員会のボランティアの研修、これは先月からオンラインで開催を再開されておりまして、大会ボランティアのアンケートでは大多数の方が継続参加の回答をいただいているというふうに聞いております。
また、聖火については、オリンピックミュージアムや全国各地を巡る一般展示が始まっておりまして、日本中の皆様に大会を感じていただく重要な機会となっております。
さらに、延期決定後も新たに二十の自治体が加わりまして、全国のホストタウン自治体が五百七になりました。現在も今まだ進んでおります。そして、現在、直接交流は難しいものの、相手国の選手等とのオンラインの交流や、手紙や応援動画を送る取組などをしています。五百七の自治体に対して、相手国が百七十九か国になりました。これもまだまだ今検討をしている自治体と国が多くありますので、そういったことも含めて、機運醸成とともに、政府として、引き続き感染症対策に万全を期しながら、成功に向けて、東京都、大会組織委員会、各自治体と緊密に連携をして、機運の醸成に努めていきたいというふうに思っております。
○西田実仁君 まさにこの東京オリパラ成功に向けて、一番肝腎なところはやはりコロナ対策になってまいります。
ここで、ワクチンの確保と接種体制の整備についてお聞きをしたいと思います。
現在、政府は国民全員分のワクチンの確保を目指しております。アメリカのファイザー社やイギリスのアストラゼネカ社、そしてアメリカのモデルナ社との間で、開発に成功した場合のワクチンの供給に関して基本合意し、ないしは正式契約を交わしているわけであります。
公明党では、五月二十八日にワクチン・治療薬開発推進プロジェクトチームを立ち上げました。国内で開発に携わる研究者やイギリスのアストラゼネカ社とも意見交換してまいりました。当時、我が国は、アストラゼネカ社などとワクチン確保に関する覚書こそ交わしておりましたけれども、いまだ基本合意には至らず、他国に比べて交渉が遅れているという状態と認識しております。
そこで、七月の十六日、本予算委員会におきまして、我が党から、コロナ対策のための予備費の活用によるワクチンの確保を主張、メーカー側の損失補償制度の創設についても要請し、いずれも厚労省から前向きな答弁をいただいたわけであります。その後、八月の七日にはアストラゼネカ社と、これに先立つ七月三十一日にはアメリカのファイザー社とワクチンの確保について基本合意がなされました。
ここで、総理にお聞きしたいと思います。
この海外で開発されたワクチンの確保に関する交渉におきまして、今申し上げました予備費の活用並びにメーカー側に対する損失補償制度の創設が果たした役割について、総理の御認識を伺いたいと思います。また、この外国産ワクチンの現在の開発状況、そして最終契約に向けた協議についても伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) ワクチンの確保に向けてから、公明党からの御提言も踏まえて、本年九月八日に約六千七百億円の予備費使用について閣議決定をいたしました。また、損失補償契約を可能とするための予防接種法の改正案を今国会に提出したところです。これらの措置は、世界にワクチン供給が逼迫する中で、企業と契約交渉を行うに当たって必要不可欠なものである、このように認識をしております。
また、海外ワクチンについては、既に大規模に投与する第三相の試験を実施をしているというふうに承知しています。我が国も、開発をリードする製薬会社三社から合計で二億九千万回分の供給を受けることについて合意に至っています。
引き続き、最終契約に向けた協議を進め、安全性、有効性の確認を最優先に、来年の前半までに全ての国民に提供できる数量を確保する予定であります。
政権発足に際して、公明党との間で連立政権合意、取り交わさせていただきましたが、ここにも盛り込まれている各事項について、公明党の御意見も踏まえ、与党としっかり調整した上で、その実現に向けて強力に取組を進めていきたいと思います。
○西田実仁君 ありがとうございます。
この予防接種の副反応による健康被害は、極めてまれではありますけれども、不可避的に生ずると言われております。今回のワクチン接種に関して、我が党の求めました健康被害救済制度が決定しておりますけれども、どのような内容になるのか、厚労大臣にお聞きします。
○国務大臣(田村憲久君) 公明党からもいろんな御要請いただいております。
予防接種法の改正案、今回この国会に提出をさせていただいておりますけれども、この中において、今言われましたとおり、健康被害救済制度、これを、この新型コロナワクチンの予防接種といいますか、ワクチンに対しても適用するということになっておるわけであります。
健康被害を生じた住民の方々から申請をいただきますれば、それに対して、審査会、これにおいて審査をいただいた上で厚生労働大臣が認定をするということで、市町村より給付をいただくという制度になっております。
感染力や重篤性が大きいという、こういうようなことからA類疾病の定期接種と同様の高い水準、取扱いをさせていただく予定でございまして、どうか法律の審議のほど、よろしくお願いいたしたいというふうに思います。
○西田実仁君 本来、ワクチンの有効性また安全性につきましては、薬事承認に関する審査の過程で確認をされ、その後も市販後調査といたしまして製造販売業者若しくは医師により副作用報告を求めるのが一般的であります。
しかし、この新型コロナウイルスワクチンの審査では、我が国の場合、感染者が少ないため、いわゆる第三段階の治験を国内では行うことができません。海外のデータで確認せざるを得ないわけであります。市販後の調査も、全国民への接種という大変大人数なものになるため、副作用報告がきちんと行われるのかも大変懸念をされているところでございます。
そこで、厚労大臣にお聞きしますけれども、この第三相試験について海外データに依存せざるを得ない我が国において、ワクチンの有効性をどのように評価できるのでしょうか。これ、是非テレビやラジオの前の国民の皆さんにも大変分かりやすいように御説明をお願いしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) この新型コロナウイルス感染症のワクチンの評価方法でありますけれども、日本や欧米各国の薬事規制当局間で国際連携をさせていただきながら意見交換をしておりまして、そういう形の中において、PMDA、医薬品医療機器総合機構において考え方というものを示させていただいております。
有効性については、海外で、やはり発症予防でありますとか重症化の予防、こういうものに対しての予防効果、これが示されているということ、それから、あと免疫原性、抗体価ですね、どれぐらい抗体が付いているか、これが、海外と同じように日本の言うなれば臨床の試験でこれが、こういうものが付いているということを確かめると、こういうことにおいて有効性というものを調べていくといいますか、いろいろと確認をしていくということでございまして、こういうことをしっかりとやった上で、有効性そして安全性を確認した上で承認プロセスに入ってくるということでございます。
○西田実仁君 全国民の皆さんに接種するという大変大人数の接種になるわけですけれども、この副作用の報告はどのように行うのか、お聞きしたいと思います。
副作用の報告を受けるのは今おっしゃったPMDA、医薬品医療機器総合機構でありますけれども、その体制が平時のままであっていいわけはないと思うんですね。どのようにその体制を強化するのでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 委員おっしゃられますとおり、短期間に多くの方々に接種をいただく可能性があるわけでございまして、大変重要な点だというふうに思います。
医療機関からは予防接種法に基づいて、それから製造販売業者、こういうところからは、これは薬機法に基づいて報告をPMDAの方にいただくということでございます。PMDAの方も体制を強化していかなければならないのでありますので、そういうところに対してもしっかりと予算等々の確保をしていかなければならないというふうに思っております。
あわせて、PMDAが取りまとめた情報を審議会の方でこれ評価をいただかなきゃならない。これは厚生科学審議会でありますとか薬事・食品衛生審議会、これ合同でやるわけでありますけれども、この頻度も、通常は大体四か月ごとぐらいにやっておるんですけれども、この頻度も、やはり通常よりも頻度を増やしていくということが必要であろうというふうに考えておりまして、しっかりと副反応、副作用等々の対応に関しましても我々としては体制整備を進めてまいりたいというふうに思っております。
○西田実仁君 まさに今おっしゃったその頻度ですけど、もうほぼ毎日のようにやっていただかないと、これだけ大人数の国民の皆さんがやるわけですから、審議会等もいいんですけれども、厚労省にある、もう予防接種・ワクチン専門家分科会というものもあるわけですから、そこともよく機動性を持ってやっていただきたいと思います。
次に、ワクチンを順次接種する体制についてお聞きしたいと思います。
ワクチンが数種確保された場合ですけれども、どのように市町村に振り分けるのでしょうか。例えば、ある市町村が、私たちはこのワクチンが欲しい、あるいはそこにいらっしゃる住民の方がこっちのワクチンの方がいいと、こういう希望を出すことはできるんでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) ワクチンをどう選択するかということに関しては、そのワクチンの供給の体制も含めてまだ決めているわけではないわけでありますが、しかし、供給量や供給の時期でありますとか、またその搬送方法、さらには接種等々の体制ですね、これは一定の方向を示していかなければならないというふうに思っております。
自治体それぞれというよりかは、やはり国が方針を示す必要があると考えておりまして、それぞれのワクチン、承認されれば、この今回の提出させていただいております接種法に基づいて、予防接種法に基づいて接種をいただくわけでありますけれども、例えば、国の方でこの医療機関に関してはこのワクチンというような形で各自治体にお示しをさせていただくような、選んでいただくような形でお示しをさせていただければ、同じ医療機関で同じワクチンを使っていただくということになれば、今回のワクチン、二度打ちの可能性もございますので、打たれる方にしてみれば、間違った形で違うワクチンを打つということは防げるわけでございまして、そういうことも含めまして国が方向性を示してまいりたいというふうに思っております。
○西田実仁君 国が方向性を示していただいて、なるべく混乱しないようにやっていただきたいと思います。
今回のワクチンの接種は、住民に対してクーポン券を配付するなど、市町村による住民への接種の勧奨と、住民には接種を受ける努力義務があるというふうにされております。ただ、中にはワクチンの接種を希望されない方もいらっしゃるかもしれません。仮に接種されておられない場合、例えば会社には出社してはいけないとか、あるいは学校に登校してはならない等の対応が現場で起きないとも限らないわけでありまして、こうした対応は果たして適切なことと言えるでしょうか。
市町村による接種勧奨と国民の接種の努力義務に関する基本的な考えを総理にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 今回の予防接種法改正案におきまして、接種勧奨の実施や接種を受ける努力義務というものを課すことにしておりますが、これは国民の皆様に予防接種をしなければならないということを言っておるわけではございませんでして、そこはやはり国民の皆様方のそれぞれの意思に応じて接種をするかどうかというものはお決めをいただくということになると思います。
そのような意味からいたしますと、そういう情報を、もちろん基本的にこのワクチンの有効性や副反応も含めて情報をしっかりと提供することは必要でありますが、あわせて、この予防接種をするかしないかによって今言われたような差別でありますとか偏見でありますとか、こういうことが生まれてはこれはならないわけでございますので、その部分も含めてしっかりと国民の皆様方、また、各今事業者の話もございましたから、事業者の方々にも御理解いただけるように広報してまいりたいというふうに考えております。
○西田実仁君 このワクチン接種に関しましては、様々な国民の皆様からの疑問ということが出てくることは必然だと思います。そうしたことにしっかり答えていただけるコールセンター、これは是非とも設置しなければならないと。
市町村、都道府県、そして国と、それぞれに目的に応じてコールセンターを設置すべきだと考えますけれども、厚労大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(田村憲久君) 先ほど申し上げたように、こちらからといいますか、政府の方からいろんな広報もやっていかなきゃなりませんが、言われますとおり、国民の皆様方、いろんな御疑問があられるというふうに思います。それに対して対応しなきゃならないということで、これもこの九月に予備費二百二十一億円計上させていただく閣議決定をさせていただいたわけであります。
ここで各自治体にコールセンターの設置費用ということで充てていただくということになっておりますが、なかなか各自治体だけでは難しい部分もございます。十月下旬に自治体には周知をするためにいろいろとお願いしているわけなんですけれども、自治体ではなかなかお答えできないことも含めて、国の方でもしっかりとこういうコールセンター、相談窓口というものを設置しながら、国民の皆様方のいろんな御疑問にお答えをさせていただきたいというふうに思っております。
○西田実仁君 後遺症についてもお聞きしたいと思います。
イタリアの医療機関が新型コロナウイルスの感染症に関する後遺症に関してレポートを七月に出されています。
これによりますと、新型コロナから回復し、発症から平均二か月たった元患者さんの八七%が何らかの後遺症を訴え、特に倦怠感や呼吸苦の症状が続くといいます。四割の元患者さんは生活の質が低下しているというふうに答えられてもおられます。先般、世界保健機関においてもこうした警告もなされているところです。
こうした新型コロナウイルス感染症の後遺症の調査研究についてどう取り組んでおられるのか、その上で、回復した元患者さんに対する支援の方針について総理にお伺いしたいと思います。厚労大臣にお聞きします。
○国務大臣(田村憲久君) 今委員おっしゃられましたとおり、回復された患者の皆様の中に後遺症で苦しまれている方々、これ海外でもそういうようなことがあるということで、いろんな報告等々承知をいたしております。
ただ、一方で、後遺症についていまだまだ分からないところがたくさんございまして、国内の中でやはりしっかりとこれ研究していかなきゃならないということでございまして、本年八月からでありますけれども、実態把握、原因究明、こういうことに関しまして厚生労働科学研究をスタートさせていただいているところであります。その研究の結果、そういうものをしっかりと我々把握しながら、どういうようなことをこれからしていかなきゃならないか、検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○西田実仁君 続きまして、コロナ不況が直撃する女性非正規の就業者の方々に対する支援策についてお聞きしたいと思います。
総理は所信表明におきまして、新型コロナウイルスにより特に女性の雇用が厳しい状況にさらされていると、こう述べられました。
確かに、二〇〇八年のリーマン・ショックのときには、いわゆる輸出型の大企業あるいは金融業といったところに勤める男性やその派遣の就業者の方々に大きな打撃を与えましたが、コロナ禍は、内需型サービスのパートやアルバイトの女性就業者の方々を特に直撃をしております。なぜなら、コロナの影響を大きく受ける飲食、宿泊、また娯楽等のサービス産業では、こうしたパートやアルバイトの女性就業者の方の比率が高いからであります。
パネルを御覧いただきたいと思いますが、実際これは、正規雇用の方は男女共に少しずつ増えている面もあるんですが、この一番右側の方ですけれども、パートやアルバイトの非正規の方は、赤いところですけれども、女性を中心に大きく雇用が減っているわけでございます。
そんな中で、このコロナでシフトを減らされたので掛け持ちにより労働時間を確保しないとこれ以上家計を支えられないと、こういう掛け持ちワークで働きたいという就業者の方のニーズと、企業側はフルタイムではなかなか雇うのは余裕がないけれども短時間のパートなら欲しいと、こういうニーズがあります。この両者をマッチングする、そういう機能が果たしてあるのかどうか。
現在、国、厚労省、産業雇用安定センター等が推進をしておりますマッチングは、在籍型出向などもございますけれども、これは主にやはり男性正規就業者向けにどうしてもなるわけでして、こうした今申し上げた女性非正規の就業者と企業のニーズをマッチングすることには必ずしも適さないのではないか。
そこで、こうしたコロナ不況が直撃する非正規雇用の女性の個別ニーズをどう把握し、また、その対応する施策についてどう取り組んでおられるのか、非正規雇用の女性労働者の方に特化した施策があるのか、厚労大臣、そして橋本担当大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 委員おっしゃられましたとおり、このコロナ禍ということで、飲食業でありますとかサービス産業で非常に厳しいということで、ここでお勤めになられている方々、非正規労働の方々が多いわけであります。全体非正規労働者の中で、令和二年九月時点で一千四百二十一万人と七割女性ということでありまして、前年同月比で見ますと七十三万人減少していると、非常に厳しい状況であります。
特に今委員がおっしゃられましたとおり、兼業、副業、ダブルワークで働いておられる方々も多くおられるわけでございまして、こういう方々に対してハローワークの方でマッチングをしっかりやるようにということで今対応をさせていただいております。言われるとおり、産業雇用安定センターの方はどちらかというと正規の方々中心になるものでありますから、ハローワークを中心にそのようなマッチングをさせていただいております。
あわせて、兼業・副業ガイドラインというものを作っておりますので、今周知を図っておりますけれども、そういうものも御理解をいただきながら、言われますとおり、しっかりと女性、特に女性の非正規で働く、大変に今御苦労をいただいておられる皆様方に対する支援をしてまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(橋本聖子君) お答え申し上げます。
議員おっしゃるように、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響というのは女性に特に強く現れてきております。例えば、非正規雇用労働者を中心として女性の雇用への影響が大きく、経済的困難に陥る一人親家庭の増加も危惧されておりますけれども、生活不安やストレスが高まり、DVや性暴力の増加、深刻化が懸念をされております。さらに、子育てや介護の負担増加も懸念をされております。
一方で、オンラインの活用により男女とも新しい働き方の可能性が広がっているということもありまして、在宅での働き方の普及が男性の育児や家事への参画を促す好機でもあるというふうに調査結果が出ております。
こうしたことを踏まえまして、内閣府においてコロナ下の女性への影響と課題に関する研究会を今開催をしておりまして、現在、研究会のメンバーや有識者の方々から、非正規雇用の女性の状況を含め、就業面やあるいは生活面など様々な観点から女性が抱える課題についてお話を伺っておりまして、活発に御議論をいただいているところです。
今後、こういった議論を更に進めて、政策課題をしっかりと把握して政策立案につなげていきたいというふうに思っております。
○西田実仁君 こうしたコロナ不況が直撃する女性非正規就業者の方々の就労状況や、何に困っているのか、どうしていきたいのか等のニーズについて早急に政府として把握をしっかりとし、そしてそれに対する施策を打ち出していくべきではないかと考えますが、総理のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(橋本聖子君) 内閣府において、コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会、先ほどお話をさせていただきましたけれども、この女性の雇用や生活に与えている影響あるいは女性の視点からの課題というものを把握して、可能なものについては女性活躍加速のための重点方針二〇二一に盛り込むことを想定しております。
研究会における議論、あるいは新型コロナウイルスの今後の感染症等を踏まえながら、必要なものには、関係省庁と連携をいたしまして、来年の春を待たずにしっかりと、議員おっしゃるように、今何が必要でどの部分を求めているのかということをしっかりと把握しながら、柔軟に対応をしていきたいというふうに考えております。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 新型コロナウイルス感染症の影響により事業者の方々は厳しい経営環境に直面しており、非正規雇用で働かれる方々を中心として雇用者数は大きく減少しており、特に女性の雇用、厳しい状況にさらされているものと承知をしています。
このため、政府としては、御指摘の女性の非正規雇用労働者の動向を注視するとともに、研究会を立ち上げて、新型コロナウイルスの拡大が女性の雇用や生活に与えている影響や女性の視点からの課題の把握に努めているところであり、必要な対策をしっかり講じてまいりたいと思います。
○西田実仁君 是非お願いしたいと思います。
ここで、コロナ禍における自治体の相談窓口の状況についてお聞きしたいと思います。
新型コロナウイルス対応においては、地方自治体を始めとした各種相談窓口が住民対応のまさに最前線となっております。自治体の相談窓口は自治体の顔であり、住民にとって様々な困り事を相談する生命線ともいうべき最重要な場所であると私は認識をしております。しかしながら、現場でお伺いするお話や報道などによれば、そうした相談窓口は人員が限られ、労働条件が恵まれず、職員は大量の通知等の把握や住民対応に疲弊をしておられるという様子をお聞きします。
そこで、まず西村大臣にお聞きしたいと思いますが、新型コロナウイルスに関しては政府も対応に追われて通知や事務連絡が大量に発出をされております。こうした通知や事務連絡の意義をどうお考えでしょうか。また、政府全体として、この新型コロナウイルス感染症対策に当てた発出件数など、その実態をどう把握しておられるのか。お聞きしたいと思います。
○国務大臣(西村康稔君) お答え申し上げます。
まさに、新型コロナウイルス感染症の対応に当たっては、広範な行政分野にわたって数多くの対応が必要となっておりまして、特に地方自治体との連携、これが不可欠なものとなっております。
そうした中で、自治体や関係団体との間で各種連絡調整に当たって例えば明確な基準を設定するなど、そういったことを確保するために文書で行うことが基本だというふうに考えております。こうした自治体への文書の中には、幾つか分類がされますが、新型コロナウイルス感染症に直接対処するためのもの、それから、従来の行政事務でありますけれども、この感染症に関連して調整や修正が必要になったもの、それから、さらには支援策などの予算の執行に関するものなど、やはり必要となってくるものがあります。
政府全体の発出件数を把握することは容易ではないんですけれども、私ども内閣官房のコロナ対策推進室から十月までに発出したものは地方自治体に対して五十三件でありまして、さらに、その関連などで各省庁にも通知をお願いしているものもございます。
引き続き緊密に地方と連携をして的確に対応する必要がございます。その中で、委員御指摘のように、現場の負担にも配慮していくことが必要だというふうに認識しております。
今後、御指摘も踏まえながら、発出する文書につきましては、できる限り平易な文章、簡潔な文章、それから明確な内容とすること、それから重複を避ける、こういったことに注意しながら、また、各省にも対応をお願いする文書についても関係省庁と連携しながらそうした対応をし、地方自治体の現場の負担にはしっかりと配慮していきたいというふうに考えております。
○西田実仁君 今内閣官房の発出件数五十三件というお話がありましたが、政府全体としては把握していないということです。
そこで、パネルを御覧いただきたいと思いますが、私の方で独自に調べました。
新型コロナウイルスに関しまして、自治体に発せられた通知や事務連絡が今年一月から八月までにどの程度発出されているのかを国立国会図書館のサイトを調査をいたしまして、文書番号が付いているものだけでも六百一件です。このグラフ見ていただくように、オレンジの方は月別件数であれば四月が一番多い百五十三件、府省別で見ますと、やはり新型コロナですので厚生労働省、また警察庁が多いという順番になっているわけでございます。
これは文書番号が付されているものだけなんですよ。これ、付されていないものも含めますと、厚労省で例えばいえば八百七十件ありました。文書番号が付されているものが約一一%ぐらいですので、これから推し測りますと、この一月から八月という期間だけでも政府から自治体に対して数千件、場合によっては五、六千件が発出されているんですよ。いろんな省庁が各自治体にみんな行くわけです。
そこで、私は、この緊急事態において大量の通知や事務連絡の発出は、これは避けられません。しかし、実際にそれらを読んでみますと、非常に長文であったり用語が難しかったりと読みづらいものも多くあります。そのことが原因で現場で混乱が生じているとの話も伺いました。また、地方自治体においては、日々更新される膨大な通知や事務連絡の内容を把握しながら、目の前で困っている方が来られた方にそれをお伝えしていかなきゃいけない、そういう大変過酷な状況に置かれているわけであります。
通知やこの事務連絡の内容が伝わらない、若しくは受け手側に過大な負担が掛かることによってこうしたものの本来の目的が果たされなければ、それはそのまま住民の不利益につながってしまいます。国として、通知や事務連絡の内容を伝えるためにそれらを簡素化する、分かりやすくするといった取組について、厚労省、また国家公安委員長にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(田村憲久君) 今般のこの新型コロナウイルス感染症の課題に関しまして、やはり国と自治体がしっかりと連携をしていかなきゃならぬということで、いろんな情報交換という意味で通知もさせていただいておるわけでありますが、一方で、今委員おっしゃられましたとおり、非常に分かりづらいというお声があることも我々もお聞きをいたしております。
通知したものの疑義の解釈ですね、こういうことが分かりやすいように、例えばQアンドA、こういうものを添えさせていただいたりでありますとか、それから、分かりやすく図を添付をさせていただく、こういう努力も始めさせていただいております。それから、ウエブサイトの一覧なんかで、いろいろとお願いしていることに対しての対象者でありますとかテーマ、これごとにまとめた、そういうようなものを作らさせていただきながら、分かりやすく探していただけるような、こういうことの努力もさせていただいておりますが、いずれにいたしましても、非常に厚生労働省から通知出させていただく量が多いものでありますから、これからも自治体の皆様方のいろんな御意見をいただきながら、より分かりやすい通知を目指してまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(小此木八郎君) 御指摘ありがとうございます。
警察庁におきましては、新型コロナウイルス感染症への対応に当たり通達等を発出する際には、受け手となる都道府県警察にとって分かりやすいものとなるように、御指摘もありましたが、宛先に担当部門を明記する、内容が把握しやすい件名とする、ポイントを明示するといったことに留意するように努めてきたものと承知をしております。
今までにないこの新型コロナウイルスの拡大を防止するための対応である、そのための通達でありますから、煩雑さ、これまでにない複雑さ、あったかもしれませんが、今後もこれは負担とならないように、最終的には国民の皆さんにしっかりとした発信ができますように心掛けたいと思います。
なお、今後、通達を、これちょっと先の話になりますけれども、発出する際には、警察行政のデジタル化が進む中で、これは警察だけじゃありませんけれども、都道府県警察の負担に配慮し、現場の職員にとってその内容が更に分かりやすいものになりますように警察庁を指導してまいりたいと存じます。
○西田実仁君 こうした通知や事務連絡の実態や改善について、有識者と意見交換を行うなど検討を重ねてまいりましたが、その宛先の明確化やキーワードの明示、あるいは冒頭におけるポイントの記載といった取組が非常に効果的ではないかとの結論に至りました。
こうした取組を政府全体で進めることにより、全国の自治体の負担を少しでも減らせるとともに、より良い施策の実施につながるのではないでしょうか。行政のトップである総理の御所見を伺いたいと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 地方自治体の皆さんにおいては、住民サービスの最前線に立って、また昨今では新型コロナウイルス感染症対策にも御尽力いただいていますことに心から感謝と御礼を申し上げたいと思います。
国と地方は、国民の皆さんのためにしっかりと連携をして施策に取り組んでいくことが大事であると思います。国からの通知の発出に当たっても、地方自治体における住民サービスを圧迫することのないよう、できる限り簡素で明瞭にすることが重要だと考えています。そうしたことに気を付けながら、これから全体として取り組んでいきたいと思います。
○西田実仁君 ありがとうございます。
最後に、インフラ全般の老朽化対策についてお聞きしたいと思います。
コロナ禍でもインフラの老朽化は待ってくれません。道路や橋などインフラの老朽化は地域の生活や経済に支障を来しております。例えば、今年七月の熊本を襲った豪雨災害では、事前の点検により緊急あるいは早期に修繕が必要とされる三つの橋梁のうち、二つの橋梁が流失をしております。
老朽化対策を進めるためには、老朽化が顕在化する前に修繕するなどの対策を打ついわゆる予防保全への転換が必要ですが、その前提として、まずは点検により緊急あるいは早期に修繕する必要のある橋梁の対策を完了させなければなりません。
今年度当初予算四千億円を計上しております道路メンテナンス事業補助により、老朽化が顕在化している判定区分Ⅲ、いわゆる早期の措置が必要なもの、そしてⅣ、緊急で措置が必要なものの橋梁の修繕はどの程度進捗しているのでしょうか。また、新たにこのⅡからⅢやⅣに落ちてくる、こうした新たにⅢ、Ⅳの橋梁がどの程度発生しているのかを国交大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(赤羽一嘉君) 御質問にお答えさせていただきます。
道路の橋梁またトンネルなどの総点検は二〇一四年度からやるということが義務付けされております。現在、今、西田委員御指摘のように、早期に措置をしなければいけない、加えて、緊急に措置をしなければいけないというこのⅢ、Ⅳの判定区分は全国で約七万橋ございます。そのうち地方自治体が管理するのが約六万三千橋、そして、昨年度末までの時点で、このうち修繕に着手されたものは三分の一、未着手が三分の二の、地方でいきますと四万一千橋でございます。
これ、今、年間約七千橋が修繕をされておりますが、今お話あったかと思いますが、毎年新たに六千橋修繕が必要なものが出てくるということで、一年間で年間千橋しか減らすことができないと、現状このペースでいきますと四十年間掛かるというのが現実でございます。
これをしっかり予防、予防保全の早期移行というのが非常に大事なので、今お話をいただきましたように、今年度、道路メンテナンス事業の個別補助制度を創設いたしましたので、こうしたものを使って、できるだけ早期に集中的に対応していかなければいけないと、こう認識をしております。
○西田実仁君 そこで、パネルを御覧いただきたいんですが、今大臣からお話しのように、七千橋対策を施しても、新しく六千橋、その老朽化で対策が必要なものが出てきますから、結局、純減は千なんですね、千橋、毎年千橋。イタチごっこの状態が続いています。
今の予算、すなわち四千億円の道路メンテナンス事業補助では、単価が高い修繕が必要なⅢとかⅣの橋は毎年千橋しか減っていかないんです、赤い線見ていただきますと。全国に四万橋ある判定区分Ⅲ、Ⅳの橋が全て修繕し終え、単価が安い予防保全、この青のところですけれども、ここに移るまでには四十年掛かるということになり、必要額は右側にあります十六兆円ということになるわけです。
そこで、現状の予算に五年間で六千億円を積み増すとどうなるでしょうか。下の方です。そうなりますと、現状毎年七千橋に二千橋の合計九千橋の対策ができますので、青いところ、十年短縮して、十年も早くいわゆる単価の安い予防保全に移ることができる。老朽化が進行してから修繕をする事後保全よりも老朽化する前に小まめに直す予防保全の方が単価が安いわけですから、四十年単位で見ますと、結果的に総額一兆四千億円の縮減が財政的に可能になるということです。
つまり、足下では先行投資をするだけ費用が掛かるように見えますけれども、それだけ早期に安全を確保でき、さらに、命を守ることが当然できますし、長期的な財政健全化にも寄与することができるということで、まさに今手を打つべきであると、こう思います。
そこで、総理にお聞きします。
インフラの老朽化対策について、先行投資をすることで早期に安全確保を実現するとともに、長期的な財政健全化に寄与することができると考えますが、御認識はいかがでしょうか。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 老朽化による不具合が生じてから事務的に修繕、更新をするよりも、定期的に維持修繕を行っていくことの方が結果としてコストの縮減、平準化ができる、このように認識しています。
このため、計画的な点検、修繕、更新などを行う方式に転換をし、効率的なインフラの老朽化対策に取り組んでいきたい、このように思います。
○西田実仁君 このコロナ収束後の早期の経済回復に向けては、公共投資による景気の下支えが重要との認識が国際的にも広がっています。さきの衆議院予算委員会におきまして、インフラ老朽化対策を含めた新たな五か年計画を策定し、特別枠で必要十分な予算を確保すべきだとの我が党の質問に答えて、総理は、インフラ老朽化対策を含め、年末に向けて予算編成の中でしっかり検討すると言われました。
ここでは道路についてのみ述べましたけれども、道路に限らず下水道や公営住宅など、インフラ全般の老朽化対策は特に地方自治体において深刻です。コロナ禍で地方税収の低下が見込まれる中、例えば道路損傷者負担金的性格の自動車重量税の税収はコロナ前から既に低下しており、更に遅れが懸念されます。
最後の御質問です。
インフラ全般の老朽化対策について、前政権では、引き続き様々な財源を検討して万全を期していきたいとの答弁がされました。今後の負担の在り方を含めたインフラ全般の老朽化対策に対する総理の見解を伺えればと思います。
○内閣総理大臣(菅義偉君) 効率的な維持管理、更新のために、補助制度による財政的支援や料金などの利用者負担などを含めて、インフラ老朽対策に万全を期してまいりたいと思います。その際に、PPP、PFIなどの民間資金の活用についても検討していきたいと思います。
○西田実仁君 終わります。ありがとうございました。