213-参-総務委員会-017号 2024年06月06日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 今、野田先生からもるる御質問ありましたので、なるべく重ならないような質問にさせていただきたいと思います。
 まず、公金収納事務のデジタル化についてお伺いします。
 改正案では、eLTAXを用いて納付する公金、地方税以外、の収納事務については、地方公共団体の長が指定するとしております。その公金に該当するものとしては、地方公共団体への公金納付のデジタル化に向けた取組の実施方針についてで示されております国民健康保険料や介護保険料、また、後期高齢者医療保険料や道路占用料等のほか、規制改革推進に関する中間答申において示されている土地賃貸料、学校給食費及び住宅使用料が想定をされております。
 こうした、地方公共団体の長が指定するわけでありますので、地方公共団体ごとに違いが出ると利用者にとって不便ではないかという懸念があります。そうした不便が伴わないようにどう対応するのかを、まず総務省にお聞きします。

○政府参考人(山野謙君) お答えいたします。
 eLTAXを活用した公金収納の取組でございますが、これは地方公共団体にとって非効率、高コストとなっております、なっているとの指摘がなされております公金収納事務の効率化、合理化につながると、それから、住民や事業者の利便性が向上するなど大きなメリットがあるものであり、全国的に導入されることでより大きな効果が期待される取組となっております。
 このため、お話にもございましたが、国民健康保険料などいずれの地方公共団体においても相当量の取扱件数がある公金や、道路占有料など性質上区域外にも納付者が広く所在する公金、これについては全国的に共通の取扱いとしてeLTAXを活用した納付を行うことができるよう、地方公共団体に重点的に要請を行うこととしております。
 具体的には、これらの公金については、地方公共団体における検討状況や課題を丁寧に把握しまして、必要な情報提供や助言を行うなどきめ細やかに対応することで、全団体でのeLTAX対応の実現を図ってまいりたいと考えております。

○西田実仁君 是非徹底をお願いしたいと思います。
 質問を幾つか飛ばしまして、総務大臣にお聞きしたいと思います。
 国の地方公共団体に対する補充的な指示でありますが、生命等の保護の措置に関する指示を行うに当たり、あらかじめ地方公共団体に対する資料、意見提出の求め等、適切な措置を講ずることについては努力義務とされております。
 事態は多様かつ複雑であり、協議の主体を含め、特定の手続を必ず取るようにということは難しいのではないかといった地方制度調査会での議論を踏まえたものとのことでありますが、国といたしましてはこれらの措置について最大限努力をする姿勢をどのように示すのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(松本剛明君) 答申で指摘されておりますように、国と地方との間で十分な情報共有、コミュニケーションを図ることが国民の生命等の保護の的確、迅速な対応を実効的なものとする前提でございます。
 地方制度調査会では、事態は多様かつ複雑であり、具体的に参加する主体を特定し、特定の手続を取ることを求めるような制度化は難しいのではないかといった議論があったことを踏まえ、補充的な指示を行う際には、あらかじめ自治体に対して意見提出の求め等の適切な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。これは、全国知事会からの要望に応え、こうした規定を設けているものでございます。
 本規定は、事態の状況の適切な把握と講ずべき措置の検討を目的としておりまして、国は自治体から提出を受けた資料、意見を十分踏まえた上で補充的な指示の行使を検討する必要があると考えておりまして、法案が成立した際には、こうした法律の運用の考え方について各府省への周知を徹底するとともに、自治体に対しましてもこの旨丁寧に御説明してまいりたいと考えております。

○西田実仁君 今般の改正は、個別法で想定されていない事態において国、地方間の責任の所在が不明確となるところ、補充的な指示については国の責任において指示するというものであります。
 当然、当該指示に基づき地方公共団体が事務を処理する場合、国がその経費の財源や適切な人材を措置すべきと考えますが、どう対応していくのか、また、補充的指示権が内閣の判断だけでいつまでも継続するおそれはないのか、閣議決定される中身として補充的指示権の期間は含まれるのか、総務省にお聞きしたいと思います。

○政府参考人(山野謙君) お答えいたします。
 補充的な指示につきましては、国の責任において指示すべきものは、限定的な要件、適正な手続を経て指示として行われるようにするものであり、補充的な指示に基づいて実施する事務については、地方公共団体の財政状況にかかわらず、確実な実施を確保する必要がございます。
 このため、国と地方の間で十分な情報共有、コミュニケーションを図る過程を通じて把握した事務の執行に要する費用や人材等の課題については、これは丁寧に解決していく必要があると考えております。
 また、補充的な指示が行使された場合には、検証を経て個別法の在り方に関する議論の契機とされる必要があり、こうした観点から、衆議院において国会へ報告を義務付ける修正がなされているものと承知しております。加えて、補充的な指示は必要な限度において行うものとされており、指示の具体的な内容によっては必要に応じて期間を区切ることもあり得ると考えております。

○西田実仁君 修正案提出者にお聞きしたいと思います。
 生命等の保護の措置に関する指示を行った場合、速やかに国会報告が行われることが望ましいわけですが、具体的にどのタイミングで行うのが適切と考えているのでしょうか。また、速やかに行う必要があるとはいえ、その内容が国会の検証等に堪えられるものでなければなりません。どのような内容を想定しているのか、お伺いいたします。

○衆議院議員(中司宏君) お答えいたします。
 まず、国会報告のタイミングにつきましては、御指摘のとおり、国が生命等の保護の措置に関する指示を行った場合には速やかに国会報告されるのが望ましいと考えております。
 他方で、政府がこの指示を行ったということは、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態が発生し、あるいは発生するおそれがあるという状態にまさしくあるということですので、この事態に対する政府による機動的な対応が、国会報告の義務があるからといって損なわれることがあってはならないと考えております。
 具体的には今後の運用の中で定まってくるものとは思いますが、政府の対応に一定のめどが立った段階で、できるだけ速やかに国会報告を行うことを政府において検討していただきたいと考えております。
 次に、報告の内容につきましては、本修正では、その旨及びその内容とされていることから、指示を行ったということに加え、いつ、どのような事態において、どの地方公共団体に対し、どのような措置の的確かつ迅速な実施を確保するためにどのような指示を行ったかなどについて報告を求めることを想定しているところであります。
 今後、国会において、適切な検証を行い、個別法の制定や改正に関する議論につなげるという本修正の趣旨を踏まえた上で、どのようなタイミングで、どのような内容の報告が、どのような手続でなされるべきかについて検討が加えられ、適切な運用が図られることになるよう期待するところであります。
 以上です。

○西田実仁君 次に、情報システムの適正な利用等に関連しまして、大災害時における投票についてお聞きしたいと思います。
 デジタル時代の地方自治のあり方に関する研究会報告書には、デジタル技術を活用した住民参加の充実、あるいはデジタル化によって住民意思を的確に反映することが可能となるとございます。
 住民参加あるいは住民意思を最も示す機会は選挙にほかなりません。しかし、いかなる大災害時においてもでき得る限り選挙を行うことが可能な仕組み、すなわち災害に強い選挙制度はいまだ十分とは言えません。とりわけ、ここでは選挙人名簿のバックアップについて取り上げたいと思います。
 公職選挙法第十九条第三項は、選挙人名簿を磁気ディスクをもって調製することができると規定し、これを受けた同法施行令第十一条は、当該選挙人名簿が滅失し又は毀損することを防止するために必要な措置を講じなければならないと定めております。また、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律に基づき、地方公共団体における選挙人名簿管理については、令和七年度までにガバメントクラウドを活用した標準準拠システムに移行することとされています。
 デジタル庁による地方公共団体情報システムのガバメントクラウドの利用についてには、地方公共団体自らがガバメントクラウドに格納したデータについてバックアップを行う責任を有する旨が記載されております。
 公選法に定めのある磁気ディスクをもって選挙人名簿を調製している自治体はどのぐらいあるのか、及び公選法施行令に定める選挙人名簿が滅失し又は毀損することを防止するために必要な措置を講じている自治体の数など、大規模災害時における投票機会の確保の現状について、総務省にお聞きします。

○政府参考人(笠置隆範君) 選挙人名簿の調製の状況、現状についてでございますけれども、一部の人口の少ない団体を除きまして、ほとんどの選挙管理委員会におきまして、選挙人名簿の調製に当たってシステムを導入をいたしているところでございます。
 各選挙管理委員会が実施をしております選挙人名簿の滅失防止措置の具体的な内容について調査等をしておりませんけれども、庁舎内にサーバーを置いて管理する場合は、火災、水害、地震等の対策が講じられたシステム室で管理する、あるいは、自治体クラウドなどを活用して、耐震性等が確保された遠隔地でバックアップデータを管理するなどの、各自治体の情報セキュリティー部門と連携をして対応しているものと承知をいたしております。
 また、大規模災害におけます投票機会の確保というお話ございましたけれども、例えば東日本大震災の際には、被災市町村の選挙の執行に関しまして、都道府県あるいは指定都市の選挙管理委員会連合会などと連携をして、選挙事務の専門職員を派遣するなどの人的支援や選挙物資の支援に取り組んだところでございまして、このような対応も踏まえながら、選挙の管理執行に全力を尽くしていくこととなると考えております。

○西田実仁君 結局、現状を把握していないという結論なんですね。
 そして、最後、総務大臣にお聞きしますけれども、この大災害時でもできる限り投票の機会を確保する基礎は、まさにこの選挙人名簿のバックアップであります。
 しかし、先ほど私が質問の中で述べたように、現行法令では、全ての選挙人名簿のバックアップは明示的には義務付けられていないんです。その結果、いまだ選挙人名簿のバックアップの現状は、今当局から把握を現状はしていないという結論なわけですけれども、あったように、大変心もとないと。
 こうしたことがなぜ進まないのかという一つの課題として、また自治体への財政支援の根拠といたしましても、法令上の担保が必要なんではないかと考えます。また、バックアップされた選挙人名簿が大規模災害時に遠く離れた避難先でも活用されるようにする仕組みをつくれば、本人確認の上、格納された選挙人名簿と照会することで避難先でも投票が可能になってまいります。
 こうした仕組みを検討し、災害にも強い選挙制度とすべきではないかという問題意識を申し上げ、総務大臣の御所見をお伺いします。

○国務大臣(松本剛明君) 公職選挙法施行令において、選挙人名簿を電子データにより調製する際は、選挙人名簿が滅失し、又は毀損することを防止するために必要な措置を講じなければならないと規定しております。
 総務省がお示ししている地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドラインでは、業務システムのデータベース等に記録される情報について、バックアップを取ること、災害等による同時被災を回避するためバックアップデータを別施設等へ保管することなどの対策を講ずるよう求めているところです。
 選挙人名簿につきましては、住民基本台帳の情報や住民基本台帳ネットワークのサーバーに記録されている情報を活用して再調製をすることが可能であります。東日本大震災の際、この方法で選挙人名簿の再調製を行った例があります。
 大規模災害が発生した場合における選挙の執行について、避難された方に配慮した取組として、他市町村にある仮設住宅等に期日前投票所を設置した例もございます。
 このような災害時の対応につきまして、これまでも様々な関係の皆様の御議論もあったかにお聞きをしておりますし、都道府県選挙管理委員会連合会の事務局長、一般社団法人選挙制度実務研究会の代表理事の方が編者となった災害時における選挙事務支援実例集といったものも発行されているようでございます。
 私どもとしても、こうした災害時の対応について、各選挙管理委員会と連携して検討をしてまいりたいと思っております。

○西田実仁君 終わります。