Yahoo!ニュース 特集「やってみないと分からない」――軽減税率は中小事業者を圧迫するか 2019年3月25日
3党合意の際、軽減税率を合意条件とした公明党
民主党政権だった2012年、「社会保障と税の一体改革関連法案の修正」で当時の民主、自民、公明の3党が合意した。この協議の際、消費増税を認める一方、軽減税率導入を3党合意の条件としていたのが公明党だった。自民党が政権に復帰した後の2014年12月、自公の与党税制改正大綱に「消費税率10%時に軽減税率導入を目指す」と明記され、検討が始まった。
なぜ軽減税率だったのか。公明党参院議員で党税調会長の西田実仁(まこと)氏は、軽減税率に合理性があると説明する。
「5%から8%(2014年)になってからの4年間、飲食料品に軽減税率が適用されなかったため、所得が低い世帯ほどエンゲル係数は上昇しています。やはり飲食料品は家計支出の中では削れない。また、世界的にみても飲食料品の消費税率は5〜6%が平均です」
与党内の議論で、公明党は酒を除き、外食を含むすべての飲食料品を対象にすべきだと主張。それに対し、税収減を抑えたい自民党と財務省が対象を絞り込む方向で議論は難航した。すると、安倍首相は2015年10月、自民党税調会長で軽減税率導入に否定的だった野田毅氏を更迭した。翌年夏に控えていた参院選をにらみ、公明党への配慮を示した格好で、軽減税率導入が事実上決定した。
こうして決まった軽減税率だが、西田氏も課題があることは認める。地元の選挙区に戻れば、事業者から、レジの問題や消費者とのトラブルの懸念、区分記載請求書等保存方式やインボイス制度についての負担が大きいという声を聞く。
「現場に苦労をかけていることは認識しています。ただ、現行の帳簿方式でも、改ざん防止や追跡可能性が実現されるなら必ずしもインボイス制度にこだわる必要はない。インボイスの導入で混乱が生じないかどうかの検証規定も法律に書かれています」
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