決算委員会・閉1号 2005-11-17

○政府参考人の出席要求に関する件
○国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査
(平成十六年度決算検査報告に関する件)
(国が公益法人等に補助金等を交付して設置造成されている資金に関する会計検査の結果報告に関する件)
(先行して設立された独立行政法人の業務運営等の状況に関する会計検査の結果報告に関する件)

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
今日は、時間に限りもございますので、一点だけお聞きしたいと思います。
今後、小さな政府を目指していくということで、国有財産の適正な管理そして処分というものが今後加速度を増していくということが想定されておるわけでございますが、本日は、その具体的な事例として、この千葉県千葉市若葉区にございます法務省の野外訓練施設、約六千六百坪ございますけれども、この野外訓練施設が閉鎖をされるということで、これに関しまして質問をさせていただきたいと思います。
この野外訓練施設、六千六百坪、野球場とテニスコートを所有している法務省の施設でございます。この十月末、十一月一日にこの施設に張り紙が張り出され、そして十一月末日をもって、すなわち今月末をもって使用できなくなるとの、この利用者の皆様へと題するお知らせが、ある意味唐突に張り出されたわけであります。
この施設は法務省職員の野外訓練施設であり、国有財産法上はいわゆる行政財産として位置付けられております。この行政財産というのは、国有財産法第十八条によれば、私権の設定はできないということになっております。そういう意味では、たとえこの当該施設が法務省の職員のみならず一般の利用者に供されていたとしても、その利用者らに施設の閉鎖に関して十分な理解を求める周知徹底の期間等は不要というふうに法的には考えるのかもしれません。唐突にお知らせ一枚で今月末までに閉鎖をすると、こういう通告のみで済ませようとしたとも考えられるわけであります。
確かに、法律上はそのように考えてもおかしくないのかもしれませんけれども、運用についてはもうちょっと慎重にすべきではないかという観点で御質問をさせていただきたいと思います。
なぜならば、この当該施設はそもそも昭和六十一年に開設をしましたけれども、法務省の職員の野外訓練施設という目的に合った利用というのは最初から、最初の年から年間で十日ぐらいしかなかった。そもそも記録がないわけでありますけれども、三百六十五日二十四時間で、住み込みで管理人を張り付けている割には年間でたった十日ぐらいしか利用する機会がない、そういう施設だったわけであります。ということもありまして、昭和六十一年開設したその半年後に既に一般の利用者への便を開いているわけでありまして、一般開放しております。
そういう意味でいきますと、そもそもこの施設を法務省が持つ必要があったのかということに大変疑問を思うわけでありますが、それはともかくとして、実際、こうした一般利用者の延べ人数は年間一万人を超えておりまして、平成十六年度。そのうち、一般利用者が一万人超ですが、法務省の職員の利用者の延べ人数は七千人超。これはしかし、先ほど申し上げた野外訓練施設として利用したわけではありません。法務省の一般職員がレクリエーションとして利用している回数であります。人数であります。延べ人数であります。野外訓練の利用日数は平成十六、十七年度ともに一回もないと、こういうふうにお聞きしております。
こうしたこの野外訓練施設、管理人は一人しかおらないということでグラウンドの整備も行き届かず、何せ六千坪あるわけでありますので一人では到底管理できない。ということで、夏になるともう大変に草ぼうぼうになって、この野球場ないしはテニスコートを利用している一般の、職員ではない利用者の方々がボランティアで、雑草を刈り取るために夏の暑い日、週に一回は、特にこの野球場では、この野外訓練施設自体は法務省の東京矯正局の管轄だと聞いておりますが、この野球場では、登校拒否の子供たちや、また様々な家庭に問題を抱えたような子供たちを預かって、野球をすることによって青少年を育成していくというNPOがかなり存分に活用していたようでありますけれども、そうした親御さんたちがボランティアで雑草の草刈りにも駆り出されていた、こういう状態だったということであります。
こういう実態を踏まえまして、法務省に是非お聞きしたいと思いますけれども、こうした法的な位置付けは理解いたします。しかしながら、その運用についてもうちょっと、施設の閉鎖ということに関して言えば、慎重に、またソフトランディングを図るべきではなかったかと思いますが、法務省、いかがでございましょうか。
○政府参考人(小貫芳信君) 御指摘の点につきましては、一般市民の利用状況等にかんがみますと、周知期間が短過ぎるではないか、唐突過ぎるではないかという御指摘、十分に理解できるところでございますので、その期間の延長等を含めまして、周知方法についても再度検討させていただきたいと、このように考えております。
○西田実仁君 そうすんなりお答えいただくと思っていなかったものですから、その次の質問を用意していたわけでありますけれども。
当初の説明でありますと、管理人さんが辞めたいと言っていたということで、八月に辞めたいという依願退職の希望があったので周知徹底する時間がなかったんだという御説明を昨日いただいたわけであります。それが理由だということでありましたので、実は私の方でも管理人の方にも取材をしたわけでございますけれども、周知期間が短かったということにつきましてはどのような理由を挙げられるんでしょうか。
○政府参考人(小貫芳信君) 先生御指摘のとおり、これが訓練施設として稼働率が極めて低かったと、こういう事情をずっと抱えてまいりました。その折に、管理人が別の職に就かれると、こういう申出がありましたので、この機会に本来の運営の用途を廃止して一般財産に転換してはどうかと、こう考えた次第でございます。
ついては、その一か月につきましては、一般市民の方からの予約受付が一か月前と、こういうことでございましたので一か月という期間を限って掲示したと、こういう次第でございますが、いろいろ御指摘を受け、いろいろ情報を提供してみますと、このグラウンドの利用を前提にして練習に励んでおられるリトルリーグの皆さんもおられると、こういう事情も判明いたしましたので、先ほど申し上げましたとおり、周知方法あるいは周知期間も含めまして再度検討させていただいて早急にまた御報告申し上げたいと、このように考えている次第でございます。
○西田実仁君 この国有財産の適正な管理また処分ということにつきましては、もちろん、庁舎等公務員の方だけ、職員の方だけが使っているケースと、今のように利用頻度、有効活用を図るために一回一回ごとに使用の許可を与えて一般市民にも利用されている場合と、様々同じ国有財産といってもあるわけでございまして、そこはやはり、今後こうした適正な管理、処分を進めていくに当たりましては十分に慎重に行うべきであるというふうに思っておりますが。
今、十分な周知期間が取れなかった理由として管理人の依願退職というお話がありました。それを再三私も説明を承ってきたわけでありますが、しかし、よく聞いてみますと、管理人は自分は辞めたいなどとは言っていないというふうに言っておりまして、むしろ管理を続けたいと言い続けてきた、にもかかわらず、八月の時点で突然法務省の方々が来られて、もう来年の三月には閉める、こう言われて、いや、閉めなくてももっとこういうふうにやり方があるんじゃないか、様々な三つほど提案をした、しかしすべてそれは却下をされ、そしてもう閉めるんだから閉めるんだということで、いきなり周知期間もなく張り紙が張り出された、こういうようなことを御当人は言っておりまして、これはやはり、先ほど再検討するということでございましたけれども、もう一度、管理人さんの意向も踏まえて、また利用の実態も踏まえて、きちっと再調査をして対処すべきであると思いますが、再度答弁を求めます。
○政府参考人(小貫芳信君) 御指摘の諸点を踏まえて再検討さしていただきたいと、このように考えております。
○西田実仁君 この国有財産法第八条におきましては、財務大臣に対しまして、行政財産を含めた国有財産の総括という規定がございまして、この総括の意味合いは、管理、処分における必要な調整という意味合いが規定されております。また、同法第十条には、財務大臣は、国有財産の管理及び処分の適正を期するため必要な措置を求めることができると規定されているわけであります。
このたびの国有財産は、私が今取り上げたのはかなり特殊な施設だと思いますけれども、このように国有財産が一般の利用に供されているケースの場合、その利用の実態も踏まえて、十分な説明と周知期間を確保した上での適正な措置が求められると思われますけれども、財務大臣の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(谷垣禎一君) 国有財産も、国に支障のない場合は広く使っていただくということは私は結構なことだと思うんですね。それで、それはやはりまた廃止しなきゃならない場合もありますから、その場合には利用しておられる方に周知徹底の手続を取るということもこれあるべきことだと思います。
ただ、具体的な管理方法ということになりますと、今御議論のあったような事例について考えますと、やはり管理をしておられるそれぞれの部局において適正な手法を取っていただきたいと、こう思っております。
○西田実仁君 じゃ、私の持ち時間を、短いですけれども、終わりたいと思います。
ありがとうございました。