政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会-2号 2010-10-27
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
本法律案につきましては、その提案理由といたしまして先ほど大臣からもお話がございました。一つは国民の地方選挙に対する関心を高めるということ、そしてもう一つは選挙の円滑かつ効率的な執行を図るためと、こう提案理由として述べられておられます。
一つ目の関心を高めるということでは、今し方、民主党の方また自民党の方からそれぞれ統一率についての話がございましたので、私はもう重なりますから触れないようにしたいと思います。もう一つの、選挙の円滑かつ効率的な執行を図るためということで一点まずお聞きしたいのは、定数等の基準となる国勢調査人口についてであります。
本法案では、平成二十三年一月一日時点で本年の国勢調査人口が発表されていない場合には平成十七年の国勢調査人口を使用することができるとされております。しかし、この選挙の円滑かつ効率的な執行を図るという観点からは、また地方の効率的な選挙準備を進めていくためにも、来年の一月一日を待たずに平成十七年時点での国勢調査人口の使用を認めてもいいのではないかと、このようにも考えますけれども、大臣はいかがでございましょうか。
○国務大臣(片山善博君) それは、一月一日を待たずとも十七年の国勢調査の人口によっていろんなことをあらかじめ決めておきたいけれどもどうかということだと思いますけれども、それは一種の停止条件付の条例の整備のようなことになるんだろうと思いますが、それはそういう意味で可能だと思います。
○西田実仁君 今の提案理由の一番目の国民の関心を地方選挙に対して高めていくという点からの質問をさせていただきますが、さきの参議院の選挙がございました。そこで様々な声が寄せられていることも踏まえての質問にしたいと思いますが、一つは期日前投票の宣誓書ということについてであります。
この期日前投票につきましては、特に高齢者の皆様方から、期日前投票所での宣誓書の記入に困惑をしているという声が大変多く寄せられております。さきの参議院選挙でも、期日前投票の際に、選管の職員からなぜ当日行かないのかと何度も聞かれて、投票予定の党名や候補者名を忘れてしまったと。結局、何も書かずに帰ってきた高齢者もいると。これはうそじゃありません。そういう声が寄せられているという、こういうこともあるのかなと。
また、実際に期日前投票に行く高齢者の方も多くなってきておられまして、投票前の宣誓書に必要事項などを書くことが、指先が不自由で字を書くこともなかなか苦手だという方もいらっしゃって、また、緊張しているという一種の緊張感もあります。投票用紙への記入以外のことを投票所で行うということについては混乱をしてしまうというような声もあるやに聞いております。
この宣誓書がなぜ必要なのかというのは法令によるわけでありまして、公選法の施行令第四十九条の八に定められているからでありまして、事由を申し立てて、かつ当該申立てが真正であることを誓う旨の宣誓書を提出しなければならないと、こういうふうにされております。この宣誓書に記載する事由の根拠というのは、公選法の第四十八条の二であります。ここには期日前若しくは不在者投票の事由が列挙をされているわけであります。しかし、この列挙されている事由には、特段の理由もなく、とにかく早く投票を済ませたいからと、こういうような事由はないわけなんですね。
しかし、この期日前投票が国民の皆さんの間にも定着をしてきております。この公選法で列挙されている細かな様々な事由以外にも、特別な理由はないけれども早く投票を済ませたいと、こういう事由も決して無視はできないんではないかと思います。
大臣は、この公選法の規定は規定としてございますけれども、こうした早く投票を済ませたいということが期日前投票ないしは不在者投票の事由としてふさわしいと考えますか、それともそうではないと考えますか。
○国務大臣(片山善博君) これは、現行法がこうありますので、やはり法にのっとった執行をしなければいけないということだと思いますが、今議員がおっしゃったようなことは私も同感するところ大であります。
特に、期日前投票を選挙管理委員会が勧めておりますし、勧めておりますというか、できるようになりましたから投票しましょうということを呼びかけて、それに応じて行ったときに、さっきおっしゃったような例えば戸惑いを感じるとか精神的苦痛を感じるとか、そういうようなことがあるとすればそれは取り除かなければいけない。投票を、投票所に行くことを阻害するようなそういう要因があるとすればそれは取り除かなきゃいけないと思いますので、現行法にも工夫の余地はあると私も思います。
○西田実仁君 今大臣からも同意をされる御発言をいただきましたが、いろんな障害を取り除くという一つの方法として、自治体によっては、これは自治体によってできるわけですけれども、投票入場券の裏側に不在者投票宣誓書の様式を印刷している場合もございます。投票所に行く前に自宅でそうした宣誓書の事由を、緊張感がない自宅において、どこでも、自宅じゃなくてもいいんですけれども、書く方が安心してその事由を記載できるんではないかというふうにも思われます。
そうした方策を、いろんな費用の問題ももちろんありますが、投票入場券と別途書類を出しているところもあるようですけれども、それは費用の問題にかかわってきますが、はがきの裏側にそうした宣誓書を、様式は既に決まっているわけですけれども、印刷をしてお届けをすると、そういうようなことをやっている自治体も既にございますので、これを全国展開をするときに何か課題があり得るのか。また、来るべき統一地方選というのを国民の関心を高めていくと、あるいは期日前投票ということに対する障害を除いていくという点からも、その課題があるのであれば統一地方選からそうしたことが克服できるようにまたすべきではないかというふうにも思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山善博君) 特に、これを全国に展開する際の障害といいますかマイナスでの課題というのは、私は現時点では気が付きません。むしろ、こういう一種の創意工夫、自治体における創意工夫でありますから、こういうものを他の自治体でも取り入れたり応用されたりしたらいいのではないかと思います。
○西田実仁君 この公選法にそもそも事由を述べなきゃ期日前投票できないというように定めているわけですけれども、その一番の基は公選法の四十四条であります。「選挙人は、選挙の当日、自ら投票所に行き、投票をしなければならない。」と、こういう定めがあるがゆえに、選挙の当日以外に行う期日前投票なり不在者投票についての様々な規定があるということでありますが、これからの課題だと思いますけれども、期日前投票が定着をしてくるという今の世間の流れの中で、この第四十四条の規定も、選挙人は、選挙の当日、ねばならないではなくて、当日までに投票をしなければならないというふうにすれば、随分と法体系も変わってくるのではないかというような問題関心を持ちますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山善博君) これは、私はよく議論をすることが必要だろうと思うんですね。今議員がおっしゃったことも、一理あると言うと失礼ですけれども、十分論として成り立つと思います。
ただ、そうなりますと、一体投票日って何だろうかとか、それから選挙運動期間というのは何だろうかということに及ぶわけです。極端なことを言いますと、選挙が始まって初日にもう大半の人が投票してしまって、あと残りは少ないのに営々と選挙運動をやっているということがどうだろうかということがあるんですね。そうしますと、やっぱり選挙運動期間というのを定めて、投票日を決めて、そこの投票日に本人が出向くというのを基本としながら、それより前に行うのは例外的だという、そういう構成の方が受け入れやすいというか、そうではないかと思うのであります。
ただ、別途、とにかく投票率を高めるというか、投票の機会を広く設けるんだということになりますと、議員がおっしゃったように、投票日までに、最終日までに投票したらいいということになるんでしょうけれども、今私が申し上げたようなことの兼ね合いをどう考えるかということで、現時点では、やっぱり選挙運動期間を定めて、原則は投票日なんですよと。そうすると、それより前の人は、従前は不在者投票といって非常に厳しく制限していたけど、それをある程度緩和したという現在のやり方が現実的なのではないかと私は思っております。
○西田実仁君 ここはいろんな議論があると思いますが、いずれにしても、不在者あるいは期日前投票で一人でも多く投票をすることができるように配慮をすることというのは毎回、選挙部選挙課から自治体に対して徹底もされていることでもございますので、いろんな障害を取り除いていくという工夫は必要ではないかというふうには思います。
その関連で申し上げますと、障害者の投票環境向上について御質問をさせていただきたいと思いますが、現在総務省におきましては、障がい者の投票環境の向上に関する検討会が設置をされていると聞いております。障害を有する有権者の選挙情報へのアクセス改善など、投票環境向上のための具体的な方策について協議がなされていると聞いております。
取りまとめの結果は、インターネット等で見ますと年度内に取りまとめるということになっているようでございますけれども、地方選挙に対する関心を高める、あるいは一人でも多くの方に投票いただくという観点から、次の統一地方選挙の運営にこの検討結果がどの程度反映されるのかということは大変重要なことであるというふうに思います。もう統一地方選が四月にあることは分かっているわけですから、当然そこに向けて、様々な障害をお持ちの方から寄せられてきた投票そのものの障害になるもの、これをどう除去していくのかということは検討して、統一地方選からやはりそれは反映されなければ、また四年後、まあ統一地方選でいえばですね、なってしまうわけでありまして、どの程度この検討会の結果が反映されていくのか、もし具体例で今の段階で言っていただけることがあれば、それも含めてお話しいただきたいと思います。
○国務大臣(片山善博君) 結論から申しますと、できるものから反映させていきたい、できる限り反映させていきたいと思っております。
さっき議員もおっしゃったように、障がい者に係る投票環境向上に関する検討会を設置しておりまして、これが今年度中にその結果の取りまとめということになっておりますが、論点としては、例えば、政見放送に字幕でありますとか手話通訳を付与するとか、それから点字及び音声による選挙情報の提供でありますとか、投票所のバリアフリー、の除去でありますとか、そういう投票行動に障害が生じるようなものを除去しようということでありまして、これらについて具体的な方策について提言が来ますので、その中で間に合うもの、それで実施可能なものについてはできる限り次の選挙から反映させていくようにしたいと思っております。
○西田実仁君 例えば、投票所での介添えの方の配置ということを求める声もあるようでありますけれども、例えばこうしたことは、次の統一地方選、今の検討結果を踏まえてどのような改善、お考えでしょうか。
○国務大臣(片山善博君) 先ほど申しましたように、まだ結論が出ておりませんので、今おっしゃったようなことも含めて、具体的に論点が提示されました段階でこれはお示しをしたいと思います。
○西田実仁君 今検討されていることなので、もう一つだけ具体的な例を申し上げて、是非検討もいただきたいんですが、郵便投票の代理記載の要件について緩和してもらいたいという声も上がっております。障害者の等級が、上肢又は視覚障害一級のみでございますけれども、実際には二級の方でも投票の記載が大変に難しいという方もおられるようであります。この点についても是非検討に加えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(片山善博君) これも検討すべきことがありまして、先ほど来出ておりますように、できるだけ有権者の皆さんの投票機会を拡大する、増やすということであれば、郵便投票の範囲、対象範囲なども拡大したらいいと思うんですが、一方では、やはり本人が投票所に行かれないで郵便でもって投票するということになりますから、他者の介在ということが、その可能性が拡大するわけであります。もう端的に言うと、不正投票というのがかつてなかったわけではないわけでありまして、その観点から、本人確認といいますか、認定をどうするかという技術的な問題もあります。
ですから、その兼ね合いでどの辺に収めるかということ、それが一番の大きなポイントだと思います。
○西田実仁君 よくよくいろんな検討をいただいて、もちろん公正にやらなきゃならないわけでありますし、同時に、一人でも多くの方に投票いただくという配慮も一方で必要であるという観点から、是非検討を進めていただきたいと思います。
今回の参議院選挙の途中にも様々な報道がございまして、例えば、投票方法の説明が間違ってしまって、比例区は政党名で投票するよう有権者に誤って説明をしたという発表があった自治体もございました。複数あったようであります。
こうした報道等を見るにつけ、本日の法律案ではありませんけれども、今後その開票所の経費とか、経費節減していくということは大事でありますけれども、一方で、その中身をちょっと見ますと、開票時間を短くする、あるいはいわゆるアルバイトの方を増やしていくということによって経費を節減できる部分もあろうかというふうに思いますが、一方で、この今申し上げた報道などの投票方法の説明のミスというのは、まあみんながみんなアルバイトだけだとは思いませんけれども、たまたま報道されているものについてはアルバイトの方による説明が間違ってしまったということでございました。
こうした経費節減ということと同時に、一方で、正確な投票を促す、あるいは開票につきましても、時間を短くすることは大事ですけれども、しかし一方で、正確さを犠牲にすることなく時間を短縮していくというような観点も、これもまたバランスだと思いますけれども、こうした観点について、次のまたこの委員会でも法案で審議がなされると思いますけれども、せっかくの機会ですので大臣に、今回の参議院選挙だけじゃありませんけれども、そうした全体の経費を節減していく、しかし一方で、そのために正確さが犠牲になってはならないというこの問題について御所見をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(片山善博君) もう既に議員がその結論をおっしゃったに等しいんだと思いますけれども、経費をできるだけ節減しなければいけないというのは、これは選挙執行事務に限らず行政万般に言えることだと思います。これは重要な論点、納税者の視点から見て重要な論点だと思います。
しかし一方では、特に選挙というものは正確さを期すべき分野だと思います。それは、有権者の意思というものが正確に反映しなければいけない。それは、我々国民、住民がつくる権力の源泉、権力の本を生み出す非常に重要な作業でありますから、そこが間違っていたりねじれてはいけないということで、正確さが重要ということで、その兼ね合いだろうと思います。経費の節減だけでその正確さを犠牲にするようなことがあってはならないと私は思います。
○西田実仁君 質問を終わります。ありがとうございました。