213-参-総務委員会-018号 2024年06月11日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
 今日は、四人の先生方、本当にお忙しい中、また貴重な御意見ありがとうございます。
 順番にお聞きしたいと思います。まず、牧原先生にお伺いしたいと思います。
 事態対処の基本方針の検討のため、国は地方公共団体に対して資料や意見の提出を求めることを可能とするという今回の改正案になっておりますが、これは一方的なものではなくて、双方向的なものになることが望ましいと考えられます。円滑かつ円満に対応していくため、国は自治体と日頃よりどのような取組体制を構築していくべきと考えるかという点をお聞きしたいと思います。
 事前にいただきました先生の資料におきましては、また先ほども御発言ございましたが、総務省方式というんでしょうか、この一対一の連絡体制の重要性ということも指摘をされておられます。であるならば、こうした一対一の連絡体制等について何らかの法令上の位置付けも必要になるのかどうかも含めて、先生の御意見を賜りたいと思います。

○参考人(牧原出君) 今御指摘いただきましたように、国と地方、双方向的にやはりコミュニケーションをしていかないといけないということでありまして、実際には、非平時になれば当然そういうやり取りはすると思います。ただ、そこから先どういう取組ができるかということになるわけですけれども、先ほど一つの例として一対一の連絡体制と言いましたが、これ、あくまでも都道府県と政令指定都市だけです。これがもし千八百のその自治体全てとなると、なかなかそれは難しいと思うんですね。
 ですから、どういう形で、先ほど3D的にと言いましたけれども、その地域地域でどういう問題が起こっているか、それをどういうふうに国が把握するか、あるいは自治体がしっかり問題を伝えられるかということは、これまで非公式な形でもいろいろなやり取りはあるし、そういう会議はあるわけですけれども、こういう非平時に向けてどういうふうにそういう仕組みを構築できるかということは、まだ議論が及んでいないと思います。
 取りあえず、都道府県と連絡を取ると、都道府県はできるだけ市町村の問題を把握するということが一つのやり方です。しかし、都道府県を超えたところで問題が起こった場合、各都道府県だけでいいのかという問題もまた出てくるわけで、ここはまだ今後検討していくと思うのですけれども、少なくとも、これまでの経験を参考にしながら、できる限り国は地方の声に耳を傾けるような、そういうことがごく普通にできるようになるようにしておくことが大事かと思います。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 続いて、小原先生にお伺いをしたいと思います。
 先生からは、非常時に法的根拠がなくても政治のリーダーシップで対応することは一定程度あり得るというお考えを述べられました。一方で、この危機的な状況で合理的な判断ができ得ない状況では、それで大丈夫なのかという心配を持ちます。これはバランスの問題かもしれませんが、そして先生は、指示権の濫用を防ぐ工夫として国会の役割ということも強調をされておられました。
 国会の役割あるいは国会の機能を果たすために、国会はどのようなことを改めてすべきかをお聞きしたいと思います。

○参考人(小原隆治君) これまでの知見ではなかなか想定しにくいそういう問題にどう対応していくかというときに、今回の、ある意味では、大きな犠牲者は出ましたけれども、重大な例が、一つの先例というものができましたので、それをこつこつ、これは日本に限らずということになりますけれども、例えばイギリスではロックダウンをしたけれども、そこにどこまでの効果があったのか。果たしてインペリアル・カレッジ・ロンドンの専門家チームのレポートはどこまで適正であったかということもございましょうし、日本の場合でいいますと、では、専門家がいらっしゃって、尾身先生ほかいらっしゃって、そのアドバイスがどのようなものであったかという検証が欠かせない。
 政府の中に置かれました新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議というのがございましたけれども、そして、その議論というのは地方制度調査会の中でも踏まえた形で行われていたと思いますけれども、その有識者会議自体は、期間的に一か月とか二か月とか、ちょっと自信がございませんけれども、非常に短期間でまとめたということがございましたので、そうした、なかなかそれは、要するに政治家と専門家の関係をどうしていくか、デモクラシーとテクノクラシーの関係をどうしていくかということに関わってくるかと思いますけれども、そのテクノクラシー抜きで今の行政ができるわけではないので、その専門家の知見に関して十分な検証をして、先ほど申し上げたような立法事実と照らし合わせて、さて、今回の法制はどうかというようなことを国会を中心に、政府だけではなくて、国会を中心にきちんと検証していくと、そういった作業も必要ではないかと思っております。
 それから、原則論になりますけれども、リーダーシップの問題に関して、先ほどちょぼっと申し上げましたけれども、少々申し上げましたけれども、基本的に選挙で洗礼を受けて、そして国会首班指名という次の洗礼も受けて、それでチェックをする。最終的には国民主権ということでございますけれども、直接には国会主権の中で十分行政をチェックしていく中でリーダーシップは認められる。その限りでしかむしろ認められないということでございますので、なので、緊急の場合には一定程度のフリーハンドは私はあり得べしだという具合に思っております。
 イギリスの中でも、果たしてそれが良かったのかどうか、数日遅れになってロックダウンなどしますけれども、そのロックダウンも実はコロナバイラスアクトという国会制定法ではなくて、ミニステリアルレギュレーションズ、省令のレベルでしていったと、それが問題であったのではないかと、こういう議論もございます。
 そこはまさにテクノクラシーとデモクラシーの緊張関係の中で難しいところですけれども、その点も含めて、私はイギリス万歳と言っているわけではございませんので、各国の例と日本の例を含めてきちんとした検証が必要かと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。

○西田実仁君 小原先生に再度お聞きしますが、今言われているこの一定程度というのは、あらかじめ何か法令上定めておくべきだというお考えでしょうか。(発言する者あり)

○委員長(新妻秀規君) 挙手をお願いします。

○参考人(小原隆治君) 失礼しました。
 その根拠法を作ろうとすると、一般法の中に地方自治法で設けるというふうなことになりかねないので、この法律に基づいていればできますよということになるので、そこはどういうふうに必要なのかな、ちょっと私は、そこのところはどうかなという疑問を持っております。

○西田実仁君 続いて、東先生にお聞きしたいと思います。
 地域コミュニティー、地方政府、中央政府は自治法をどう具現化するかというところで大変大事な御指摘、実践者としての大事な御指摘であろうかというふうに思いました。まさに多機関連携がキーワード、調整と相互理解がその根幹であるというときに、このコーディネーター、人であり、またその機能、これが、その振る舞いが重要であると。まさに、私も地元においてそのようなことを強く感じています。
 しかし、こうしたコーディネーターをどういうふうに育てていくのか。これはまだ地域によって十分な地域とそうでない地域とあると思いますが、こうしたことを日本全国津々浦々にそうした機能を充実させるためには、どうこうしたコーディネーターを育成していくかという点で御所見がありましたらお伺いしたいと思います。

○参考人(東健二郎君) 御質問ありがとうございます。
 委員御指摘の点は、私も試行錯誤というか、分からないところも多いわけですけれども、今日御説明をした共同研究の中でもそうした人材をいかに育成するかというところがありましたので、それで御回答を申し上げたいと思いますけれども、やはり様々な経験を積まないといけないということがまず述べられています。
 現在活躍されているコーディネーターの方も、様々なうまくいった事例、うまくいかなかった事例を乗り越えて、周囲の信頼を獲得をして、その地位あるいはそういった活動をいろんな方々とともにやっているというふうに認識しておりますが、そうした立場を肩代わりして少し経験をしてみるとか、それを、日常の中でもそうなんですけれども、指摘されていましたのは、研修の中でロールプレイング的な形でやる。これ研修なので大丈夫なのかというようなこともあるんですが、そうした気軽な形で、そうしたシリアスな状況も含めてやっぱり経験していくことを、最初からシビアな状況に置くのではなくて、まずはそういった気軽な形で乗り越えていくステップをこれまで経験者も取ってきたわけですので、そうした形を、どういった形でも、いろいろあると思いますが、取るべきだということが提言されておりまして、日野町においてもそうした、とりわけ若手の育成という観点で取り入れていきたいと思っております。
 以上です。

○西田実仁君 そうした若手の方を中心に育成をしていく、その育成する機能みたいなものは、これはそうすると、何か国なり都道府県なりあるいは市町村なりがつくる必要があるんでしょうか。自然にそういう機能が地域に芽生えたりするものなのでしょうか。そこをお聞きしたいと思います。

○参考人(東健二郎君) 御質問ありがとうございます。
 そういった意味では、今日御紹介しましたそのまさに多機関連携の仕組みの中にそうした機能が表れていると思います。それぞれの立場で参加する方々がほかの方々の振る舞いを見るということを通じて経験を学ぶということが元々ビルトインされている制度であり、財政的な措置としてもそういったものに支援をするということをうたわれていますので、それをもっと活用しやすくするとか、こういった事例をよく、そういった意味合いがあるんだということを広く伝えていくことも重要だろうと思います。
 以上です。

○西田実仁君 ありがとうございます。
 それでは、本多先生にお聞きしたいと思います。
 生命等の保護の措置に関する指示を行うに当たりまして、地方公共団体が一方的な指示を受けるだけではなく、状況に応じた事前の関係地方公共団体等との調整は重要であるというふうに思います。
 国に対しても十分に協議を求め、さらに意見を述べられるようにするために、どのようにこれを担保していくべきと考えますでしょうか。

○参考人(本多滝夫君) 私自身はその補充的指示権には賛成はしておりませんけれども、仮にこの条文を前提にした場合に、補充的指示を行使するまでには、もちろん一方的にやっても、そういう災害等は現場で起きているわけですから、現場の実情が分からないと何を言ってもこれは従うはずがありませんし、協力するはずもありません。
 その意味で、この規定の方に、努力義務ではありますけれども、その資料の提出又は意見の提出を求めるということになっていまして、しかし、これはある意味では当たり前といえば当たり前のことではないかと思います。
 地制調の答申の中では、このようなときに調整、協議といったものをたしか書いてあったかというふうに思いますけれども、それがなぜか条文化されたときに抜け落ちて、この資料の提出と意見の提出の努力義務になってしまっているという、これは非常に私にとっては違和感を感じているところでございます。
 以上でございます。

○西田実仁君 じゃ、終わります。