185-参-災害対策特別委員会-007号 2013年12月03日

○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
おはようございます。今日は、衆議院の発議者の先生方、大変にお忙しい中ありがとうございます。
この法案がいよいよ参議院でこうした審議に入れるということで、感慨深いものがございます。私も昨年は野党の時代に防災・減災ニューディール推進基本法というのをこの参議院に提出をさせていただいた発議者でございまして、その後、自民党の国土強靱化基本法とともに併せて国会の方に提出をさせていただき、そして衆議院を通過して、いよいよ参議院ということになりました。短い時間でございますけれども、幾つか確認をさせていただきたいと思います。
法第八条、基本方針の第一項には人命の保護が最大限図られることということが定められております、当然でございますが。その中には、女性、高齢者、子供、障害者等の視点を重視した被災者への支援体制の整備、こう規定されております。この規定にあります背景、またこの法案が成立した場合には、こうした視点でどのような施策が充実されるのかについてお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(石田祝稔君) お答え申し上げたいと思います。
この規定の背景としては、災害時の避難等における女性、高齢者、子供、障害者等への支援の必要性とともに、例えば避難所等においてこれらの方々に配慮することは被災者全体の避難生活等の向上にも資すると、このように考えられると思います。したがって、その重要性に鑑み、特に人命の保護が最大限図られることという基本方針の施策の例示として示しているということで御理解をいただければと思います。
そして、どのような施策が充実するかと、こういうことでありますけれども、これまでも政府において災害対策基本法を改正し、高齢者、障害者等の要配慮者について名簿を作成することを市町村長に義務付け、名簿情報の提供を行うための制度を設けるなど一定の取組がなされてきておりますけれども、今回の法案が成立した暁には、本規定の趣旨を踏まえ、脆弱性評価を行いながら一層の推進が図られると、そのように考えております。

○西田実仁君 ありがとうございます。
この第八条の基本方針と並びまして、第九条には施策の策定及び実施の方針ということが定められております。この八条と九条の関係についてお聞きしたいと思います。
八条で基本方針が定められてございますが、それを実際に施策を策定したり実施したりする方針が第九条で定めているわけでありますけれども、九条というのは決して配慮とかあるいは留意するということではなくて、今回は施策の策定及び実施の方針として定められた。この八条と九条、基本方針と一対を成す形で九条があるというふうに私は認識しておりますけれども、発議者の方の御見解をお伺いします。

○衆議院議員(石田祝稔君) 第八条と第九条の関係についての御質問でありますが、今質問でもお述べいただきましたけれども、第八条は基本方針、第九条は施策の策定及び実施の方針を示しているところでありますが、第八条は具体的には、人命の保護が最大限図られること、そして国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず、維持され、我が国の政治、経済及び社会の活動が持続可能なものとなるようにすること、そして国民の財産等に係る被害の最小化に資すること、こういうことを第八条で定めております。
そして、一方、第九条には施策の策定及び実施の方針と、こういう形になっておりまして、基本方針に即して国土強靱化を推進するために、ある意味では個別具体の施策を策定し、実施するに当たっての方針を示すと、こういう規定になっておりまして、基本方針よりも具体性の高い施策の策定、実施の段階の方針として整理されておりますが、基本方針とともに国土強靱化の推進の核となる、このような方針として位置付けられております。

○西田実仁君 ありがとうございます。まさに国土強靱化を進める核となるということで、ともにという形で今御答弁をいただきました。
もう一つお聞きしたいと思いますが、我が党は防災・減災総点検というのをずっと訴えてまいりました。今回、この法案に定められております脆弱性評価ということといわゆる総点検ということがどう違うのか、同じなのかということがまず一点。そして、我々が唱えてまいりました防災・減災総点検というのは、備えが必要な施設又は設備等をほぼ網羅する形で統一された準則の下に科学的かつ総合的に行う施策というふうに我々は思って推進してまいりましたけれども、議案提出者の御認識、二つお聞きしたいと思います。

○衆議院議員(石田祝稔君) 私も、委員とともに参議院に提出をした、第百八十回国会でありますけれども、そのときの法案作りに共に携わった者として、今回の今日の日を迎えられたということは非常に感慨深いものがございます。
その上でお答えをいたしたいと思いますが、防災・減災体制再構築推進基本法案、これを第百八十回国会で提出をいたしましたが、この第二条第三項で、防災・減災総点検について、我が国における社会資本等の大規模自然災害に対する安全性の実情を明らかにするとともに、防災・減災体制再構築推進基本計画の策定その他防災・減災体制再構築の推進に関する施策の企画及び立案に必要な資料を得るために行う科学的かつ総合的な点検と、こういう定義になっております。
一方、今回の法案では、修正後の第九条第五号において、脆弱性評価を大規模自然災害等に対する脆弱性の評価と定義しております。さらに、第十七条第一項において脆弱性評価の指針を定めて行うこととしており、同条第三項においては、起きてはならない最悪の事態を想定した上で科学的知見に基づき総合的かつ客観的に行うと、こういうことに定められております。
このように、脆弱性評価は大規模自然災害に対する安全性の実情について明らかにするために行う評価のみならず、大規模自然災害以外の事故等に対する安全性も含めて行われる評価でございまして、御指摘の、備えが必要な施設、設備等をほぼ網羅する形で統一された基準の下に科学的、総合的に行う初めての施策にも相当する、そして、その意味するところは防災・減災総点検として行うことを想定していた点検を包含するものと、このように整理しているところでございます。

○西田実仁君 ありがとうございます。
最後に、防災に関する人材育成についてこの法案でどう定めているのかについてお聞きしたいと思います。
先日、本委員会におきまして参考人の方にお見えいただきましたときにも、特に防災の教育に携わる先生、防災先生という人材の育成が必要であるという御指摘も専門家の方からございました。ともするとハードばかりが強調されますが、こうした人材育成についてこの基本法においてどう定め、どう推進されるのか、最後にお聞きして終わりたいと思います。

○衆議院議員(務台俊介君) 先生御指摘のとおり、国土強靱化の推進においては何としてもそれを支える人材というのが大事だということでございます。
本法案におきましては、第十七条の五項を設けまして、脆弱性の評価は施策の分野ごとに投入される人材その他の国土強靱化の推進に必要な資源についても行うというふうに書いておりまして、この規定を受けて、今後、適切な対応が行われるというふうに考えております。
そして、本日衆議院の総務委員会で通過しました、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法案というのがございまして、その中でも、特に地域防災体制の強化のための教育訓練の充実、人材の養成、そういったことについてしっかりとした規定を設けておりますので、相まって大いに進められていくものと考えております。

○西田実仁君 終わります。
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○委員長(竹谷とし子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
この際、西田君から発言を求められておりますので、これを許します。西田実仁君。

○西田実仁君 私は、ただいま可決されました強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法案に対し、自由民主党及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
案文を朗読いたします。
強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法案に対する附帯決議(案)
国土の特性として自然災害が数多く発生する我が国においては、東日本大震災をはじめとする過去の教訓に学び、平時から、大規模災害等への事前の備えを行うことが重要である。政府は、従来の防災の範囲にとどまらず、国や地域の経済社会に関わる分野を幅広く対象にして、経済社会のシステム全体の抵抗力、回復力の確保を目的とした、いわば国民生活の安全保障としての総合的な対応を行うことが必要であることを深く認識し、本法の施行に当たり、特に次の事項の実現に万全を期すべきである。
一 東日本大震災からの復興が喫緊の課題であり、地域の実情や事前防災及び減災に配慮しつつ、迅速な復興に努めること。
二 災害時に迅速な救助活動等を行うため、警察災害派遣隊の対処能力の向上及び装備資機材の整備・高度化を図るとともに、第一線警察活動に不可欠な警察施設の耐災害性の強化や災害時における交通の安全と円滑の確保に必要な交通安全施設等の整備を着実に進めること。
三 地域防災力の中核であって、現場の最前線で日々使命感を持って危険な業務に従事している常備消防、消防団及び水防団の体制・装備・訓練の充実強化等により地域防災力の充実強化を図るとともに、緊急消防援助隊の機能強化及び他の実動部隊との連携強化、消防防災施設の耐災害性の強化等により、消防防災体制の強化を図ること。
四 災害による被害の発生及び拡大を防止するため、緊急災害対策派遣隊(TEC—FORCE)の体制・装備・訓練の充実強化、他の実働部隊との連携強化等により特に広域的な災害対応力の強化を図ること。
五 大規模災害等において被害の最小化に資するため自助・共助・公助の取組が有機的かつ効果的になされるよう配慮し、自主防災組織の更なる充実強化を図ること。また、防災ボランティア及び応急・復旧・復興対策の担い手たる地元建設業者、物流事業者等がその機能を一層果たすことができるよう環境整備に努めること。
六 首都直下地震、大規模津波等様々な災害から住民を守るために、避難所となる施設の耐震化(吊り天井等の非構造部材対策を含む)、老朽化対策及び防災機能強化を加速化させること。
七 災害発生から被災者が通常の生活を取り戻すまでの各段階において、女性、高齢者、子ども、障害者、外国人等に十分配慮した施策が講じられ、更なる被害を受けることのないよう努めること。
八 国は、自力避難が困難な者が多数利用する社会福祉施設及び医療施設等について、地震発生時においても必要な機能を維持できるよう、引き続き耐震化を推進すること。また、災害医療については、災害派遣医療チームの一層の養成を図るとともに、多重的な交通手段等により被災地において迅速で的確な医療が提供できるよう、体制整備に努めること。
九 高度成長期に整備したインフラが、今後急速に老朽化していくことから、中央自動車道笹子トンネル事故のような惨事を二度と繰り返さないよう、インフラの維持管理・更新に重点的に取り組むこと。
十 ライフライン施設の耐震化や老朽化対策は、国民生活の維持に不可欠であり、引き続き取り組んでいくこと。
十一 災害時などで救援の道を塞ぐおそれや、景観の観点からも電線類の地中化、無電柱化を進めること。
十二 事前防災及び減災その他迅速な復旧・復興においては、地域の特性に応じて、自然との共生及び環境との調和並びに観光地としての魅力ある景観の維持に配慮すること。
十三 自然との共生及び環境との調和に配慮する上で、安全な地域づくりの推進等に支障を及ぼすことがないよう、関係法律に基づく許可等の事務を迅速かつ的確に処理するよう努めること。
十四 情報通信は、国家及び社会の重要な機能であることに鑑み、大規模災害等が発生した場合においても情報通信の確保を可能とするとともに、災害等に関する情報が地域住民に正確かつ速やかに伝わるよう、災害に強い情報通信基盤の整備に努めること。
十五 エネルギー安定供給や重要産業の拠点である石油コンビナートについては、国は防潮堤等の老朽化対策等を迅速に進めるとともに、民間企業による護岸の耐震化、製油所等の強靱化や国際競争力強化に資する投資を促すべく、財政上や税制上の支援、規制の見直しを推進すること。また、危機時の石油供給を円滑化するため、関係省庁は非常時の物流を円滑化すべく制度運用の見直しや合同訓練を通じ、協力体制を強化すること。
十六 南海トラフ巨大地震等の未曽有の災害に備え、国土軸を越えたエネルギー供給補完を可能とするエネルギー・ネットワークの検討を進めること。
十七 大規模災害時に大量に生じる廃棄物を速やかに処理するため、地方公共団体との連携の下、計画的な廃棄物処理施設の更新や長寿命化を行うとともに、広域的な処理体制の確保等により廃棄物処理システムの強靱化を進めること。また、想定される自然災害の特性を踏まえ、地方公共団体との連携の下、地域住民の合意形成に努めつつ、地域ごとの生態系のもつ防災・減災機能を活用した土地利用を推進すること。
十八 災害が多い脆弱な我が国の国土において、守るべきは守るとの考え方のもと、既存社会資本の有効活用、施策の重点化、持続的な観点、民間資金の積極的な活用等に配慮しつつ、施設の耐震化やリダンダンシーの確保など必要なハード整備を進めるとともに、訓練・防災教育等のソフト対策を講じるなど総合的な防災・減災対策を推進すること。また、人材が脆弱性の評価の対象となることも踏まえ、防災・減災に関する実践的な知識を有する人材の育成に努めること。
十九 大規模津波発生時等における被害の軽減及び迅速な復旧・復興を図るため、避難所、避難場所、避難路、緊急輸送路の確保等に努めること。
二十 我が国製造業の製品や部素材等の多くが、国内はもちろん、世界的にも、サプライチェーンの要となっていることを踏まえ、中小企業・小規模事業者をはじめとする我が国企業における、原料や部素材等の調達先の複線化、緊急時電源の確保等を盛り込んだ、大規模災害時にも円滑な事業継続を可能とする事業計画の策定・見直しを促すとともに、老朽設備の更新や耐震強化のための投資等を促進すること。また、国及び地方の行政機関等の業務継続計画の一層の整備に努めること。
二十一 大規模災害時における食料等の安定供給機能を維持するため、生産から加工・流通にわたる食料等のサプライチェーンの災害対応力の強化を図ること。また、国土の大半を占める農山漁村における地域社会の維持・発展や、そこでの農林漁業活動を通じた国土保全機能の維持等が国土強靱化に資することを踏まえ、農山漁村の防災・減災や農地・森林の保全等に係る施策の効果的な実施を図ること。
二十二 木材の利用が森林の適正な整備に寄与し国土の保全その他の森林の有する多面的機能の持続的発揮に貢献することに鑑み、木材の積極的な利用を促進すること。また、土木工事における木材利用を促進するため、木材を利用した工法の技術開発・試験研究を進めること。
二十三 インフラの効率的・効果的な維持管理の重要性に鑑み、維持管理技術の向上等に係る研究・開発並びに人材の育成・確保を積極的に推進すること。また、国の研究機関等による災害の人工実験、シミュレーションの実施などの技術研究を積極的に促進し、大規模災害等による被害の防止・軽減を図ること。あわせて、被害の防止・軽減を図るための検討及び対策を円滑に進めるために、地形・地質をはじめとする国土に関する各種データの集約・蓄積及びその活用のための環境整備を図ること。
二十四 国土の効果的な強靱化を推進するため、災害に関する国土情報を一元的に集約し、広く共有すること。またこれらの情報及び発災後の各種情報をもとに被災状況や避難誘導等のシミュレーションを行い、災害対応に活用すること。
二十五 我が国が東日本大震災をはじめとする災害被害から学んだ教訓及びその復興を通じて得られた知識・経験を諸外国と共有することにより、各国の防災意識の向上を促し、その災害対応能力の強化に貢献すること。
二十六 我が国の力強い復興に向けた取組とその成果、また災害に強く、安心・安全な国とのイメージの発信を通じて、諸外国における「風評被害」の解消に努めるとともに、我が国への旅行者や投資の呼び込みに積極的に取り組むこと。
二十七 大島町における土砂災害の教訓を生かし、市町村が、災害が発生する前の「おそれ」の段階から事前の体制を整え、避難準備情報等の対応を行い、また、避難勧告、避難指示を適時的確に発令することができるよう、国として適切な支援を行うこと。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

○委員長(竹谷とし子君) ただいま西田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕

○委員長(竹谷とし子君) 多数と認めます。よって、西田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、古屋国務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。古屋国務大臣。

○国務大臣(古屋圭司君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。
ありがとうございます。