193-参-内閣委員会-004号 2017年04月13日
○西田実仁君 公明党の西田実仁でございます。
まず、子供の貧困対策の中で、とりわけ地方公共団体向けの交付金につきまして加藤大臣にお伺いをしたいと思います。
先般、二〇一五年度から始まりました自治体向けの地域子供の未来応援交付金の利用状況が報告をされました。補正予算で組まれた二十四億円に対して、その利用は約一割の二億四千万ということで、六十六の自治体に交付されたと伺っております。
この子供の貧困対策は待ったなしであることは言うまでもございませんで、六人に一人の一六・三%がいわゆる相対的貧困に陥っているという意味で、地域においてこうした困っているお子さんをどう支援していくのかということをそれぞれの自治体が一生懸命考えているんだろうというふうに思います。
この交付金は二〇一六年度の補正でも十億円計上されてございまして、それだけ重視をされているということであろうかと思いますけれども、にもかかわらずこの利用率が約一割にとどまっているというのは何ゆえなのかということをきちんと知っておく必要があるんではないかというふうに思います。
そこで、まず、この現状、二〇一五年度の補正予算について、正直申し上げれば利用率は非常に低いと言わざるを得ないわけでありますけれども、大臣としてはどのように認識をされているか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(加藤勝信君) 今、西田委員御指摘いただきました地域の子供未来応援交付金、これ、地域において子供の貧困対策に対応していただこうということで、平成二十七年度の補正予算で二十四億を計上させていただきました。
ただ、残念ながら、委員御指摘のように、現状、補正について見れば、約二・四億円が交付された、十分の一にとどまるという大変な状況でありまして、私どもとしても、子供の貧困対策を推進するという意味においてもこの活用が十分に至っていないと、こういう認識をしております。
その背景についてでありますけれども、一つは、それぞれの自治体においての子供の貧困対策がまだ手探り状態ということもあって準備が整っていないということもあります。また、この本交付金の場合には、改めて実態調査をしていただいて、それに基づいて地域の計画を策定して地域の連携体制を整備していただき、さらに先行的なモデル事業と、こういうふうに段階的に実施するということになって、かなり自治体の負担になっていた、またさらに、交付金事業の出発点であり、また貧困対策の出発点であると言ってもいいと思いますけれども、この実態把握の調査においてどんな項目を実施すればいいのかよく分からないと、こういう自治体からの指摘もあったと、そういったことがこうした背景にあるというふうに認識をしております。
○西田実仁君 まさに、これから行っていくという意味でもどんどんこれから利用されていくというふうにならなきゃならないと思うわけでありますけれども、また、この自治体向けの交付金がより活用されるような、申請要件等を柔軟化しているという面も伺ってはございます。
しかし、この交付金の性格に加えまして、基礎自治体の現場におきましては、子供の貧困対策に利用できる補助金については、例えば厚労省、文科省、内閣府と、その予算が混在をしていると、その使い道のすみ分けに非常に苦労しているという実態を度々お聞きします。そうしたこともこうした交付金の利活用を妨げている一因になっているのではないかというふうに危惧をしているわけであります。
子供を、例えば生活保護、就学援助、一人親と、この支援の対象となる子供を予算ごとに分類をしたり、あるいは支援する内容そのものを学習支援や居場所づくりや体験活動といった形で省庁ごとに分類をしていったり、分けられていったり、こうした新たな予算を使うには、どう組み合わせていけば有効に地域の貧困対策に活用できるのかということが非常に分かりにくいという声を基礎自治体からもよく聞きます。
こうしたことを以前もお聞きしたところ、丁寧に、様々な地方公共団体の担当者の会議等でもあるいは説明会でも説明されているというお話でございましたけれども、今申し上げましたように、省庁ごとに異なる子供の支援内容をいかに組み合わせればこうした交付金が活用できるのかというようなことを、その好事例を紹介するなどしていくような丁寧さがないと、実際にはなかなかこの交付金の活用は進まないんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣の御認識を伺います。
○国務大臣(加藤勝信君) 今委員からもお話がありましたけれども、この交付金の活用をいかにしやすくするかということで、先ほど申し上げた、段階的な事業実施を求めないということで交付要件の弾力化を進めるとともに、こうした様々な具体的な、例えば設問の仕方等の具体的な事例を周知をする、また更に言えば、連携体制の整備事業や、あるいは自治体独自の先行的なモデル事業についても、具体的にこうやってうまくやっている事例を一つの冊子にさせていただいて、それをそれぞれの自治体にお配りをし、また、それぞれに対して説明会、特に直接おやりになる基礎自治体についてそうした事例をもって説明会を積極的に実施をしていくというようなことを取り組んでいきたいと思っておりますし、また、委員御指摘のように、この交付金以外にも、ひとり親家庭等生活向上事業、居場所づくりを支援する、そうした事業など、様々な事業がございます。そういった事業がどういうふうになっているのかを含めて私どもの方で一覧的に情報を発信できるような、こうした対応も取らせていただきたい。一覧化については、この週明けにも一覧化してそれぞれの自治体にお示しをいただき、その中でうまく活用いただける、そういったことにも努力をしていきたいと考えております。
○西田実仁君 是非、この一覧とともに、それをどう組み合わせれば地域のニーズに合うのかというところまでかなり丁寧にやらないとなかなか分からないという声も聞きますので、よろしくお願いしたいと思います。
子供の貧困対策についてはここまででございますので、委員長のお許しがございましたら、加藤大臣は結構でございます。
○委員長(難波奨二君) 加藤大臣、御退席いただいて結構でございます。
○西田実仁君 次に、災害時に使用されますレッカー車の取扱いにつきまして、担当の松本大臣にお聞きしたいと思います。
災害、大規模自然災害等で、起きた際に、消防車や救急車など緊急自動車が道路を走行するためには、道路上に捨ておかれた被災車両の排除というものは決定的に必要でございます。真っ先に行わなきゃならないと言っても過言ではありません。
そのため、国土強靱化アクションプログラム二〇一六におきましても、事前に備えるべき目標として、大規模自然災害発生後であっても、地域社会、経済が迅速に再建、回復できる条件を整備するというふうに定められておりまして、その二番目に、道路啓開等の復旧復興を担う人材等の不足による復旧復興が大幅に遅れる事態を起きてはならない最悪の事態として位置付けておりまして、そうした不足が生じないようにすべきだというふうに掲げられてございます。大規模災害が起きた際に真っ先に現場へと急行し、被災した車両の排除を行わなければ復旧復興はままならないわけでございまして、そこで、このレッカー車というものが大変に重視されているわけであります。
この国土強靱化アクションプログラムの中には、国、地方公共団体のみならず、民間の自主的かつ主体的な取組も極めて重要と、このようにも指摘をされてございます。実際にレッカー車両を扱う団体におきましては、国や県あるいは道路管理者等と災害協定を結んで、万が一の際の被災車両の排除、すなわち道路の啓開でありますけれども、取決めを行っております。そうした民間のレッカー車の中には、高速道路株式会社と協定を結び、その義務の一環として応急作業を行うレッカー車について緊急自動車に指定されている場合もございます。
まずお聞きしたいのは、現状、この緊急自動車の指定についてでありますが、道路管理者と協定を結び、公安委員会から指定を受けるという流れになっております。ただ、この申請書類を受理する警察、都道府県警によっては条件が、その要件が異なる、あるいは道路管理者と災害協定を結んでいても緊急自動車の指定が全く受けられていない県もあるやに聞いております。こうした実態を警察庁としてどのように把握し、今後、緊急自動車の指定について、ある程度全国でばらつきのない統一の基準というものを示す必要があるのではないかと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(松本純君) 緊急自動車の指定については、各都道府県公安委員会におきまして、緊急走行の具体的な必要性と緊急走行が及ぼす一般交通への危険性との均衡等を配慮しつつ判断することとなります。
かつてはその必要性、危険性を厳格に解する運用が行われまして、一部の民間事業者のレッカー車について緊急自動車の指定がなされていない県もあったと報告を受けております。しかしながら、これまで全国統一の運用がなされるよう指導してきた結果、現在は道路管理者と協定を結び、その義務の一環として、高速道路上における事故車、故障車の排除等の危険防止のための応急作業を行う民間事業者のレッカー車については、いずれの都道府県公安委員会におきましても緊急自動車の指定を行うこととしております。
今後、緊急自動車の指定手続が適正に、適切に行われるよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○西田実仁君 今大臣からお話がございましたように、この緊急自動車の指定につきましては、高速道路上においては全ての県で指定されるようになったという話でした。
しかし、今日取り上げたいのは、高速道路はもちろんですけれども、こうした被災車両の排除等は一般道路におきましても必要になる場合があるのではないか、しかし、今現状ではそれが緊急自動車として指定をされていないことによる問題を取り上げたいと思います。
なぜ一般道路においては緊急自動車としてレッカー車が指定されないのか。その理由は、一つは、一般道路では、高速道路に比べると事故車や故障車を移動させる緊急性が一般的には低い、こういうふうに指摘されております。また、緊急走行、言ってみれば、サイレン鳴らしたり、赤色灯を付けたりすることに一般道路でレッカー車がしますと、他の一般交通に対する危険というのが増すという、そういうことから、一般道路においては、こうした被災車両を排除するレッカー車において緊急自動車には指定されていないと、このように認識をしてございます。
しかし、大規模自然災害が発生した際には、災害拡大を防止する、二次災害を防止する、さらには、もっと大事なのは、そのためにも緊急輸送道路、一般道においても緊急輸送道路の確保がどうしても必要になります。それが確保されないと、まさに二次災害や災害が拡大してしまう。
この大規模自然災害が発生した現場へ、人命を救助するための車両、例えば消防車や救急車などの緊急自動車、あるいは自衛隊等の第一陣がその被災地の現場にたどり着くためにも、道路上の瓦れきや放置車両の撤去、排除がどうしても必要になると、これ繰り返し述べております。あの東日本大震災の際にも、車両で避難していた住民が放置した車両が道路上に多数ありまして、そのために、人命救助のための車両がなかなか現場にたどり着けなかったという話も聞いてございます。それゆえ、先ほど冒頭申し上げましたように、国土強靱化プログラムの中には、起きてはならないリスクとして、その対応として道路啓開というものがプログラムの一つに盛り込まれているわけでございます。
仮に、首都直下地震等が発生した場合に、道路管理者からレッカー事業者、協定を結んでいるレッカー事業者に被災車両の排除の要請が来ても、現状では、一般道における緊急自動車の指定は受けられません。高速道路に行くために一部認められる場合もあるとは聞いておりますけれども、一般的には認められていない。一般車両同様に渋滞に巻き込まれてしまい、業務を遂行することが不可能になる、これで果たしていいのだろうかという問題意識を持ってございます。
道路管理者と災害協定を結ぶレッカー事業者におきましては、当然道路啓開に対応できる人員あるいは装備がそろっております。また、緊急の要請にいつでも対応できる人員装備を備えてございます。まさに、国土強靱化プログラムでいうところの起きてはならないリスクに対応できる体制が取られているわけで、こうした民間の力を利用しない手はないというふうに思います。そのためには、特定のレッカー車両に対して赤色灯やサイレンの装着を認める緊急自動車の指定が必要ではないかというふうに思います。
そこで、大臣に御認識をお聞きしたいと思いますが、大規模災害時、被災した車両を排除するために真っ先に現場に到着しなければならないレッカー車両については、高速道路のみならず一般道路においても緊急自動車に指定することも検討すべきではないか。先ほど、検討を今までしてこなかった理由として挙げられている、高速道路に比べると一般道路においては事故車や故障車を排除する緊急性は低いということですけれども、どういう場合が緊急性が高いのか、あるいは、その緊急走行が及ぼす一般交通への危険性をいかに排除していくのかなどを検討した上で、どういう場合に一般道における緊急自動車に指定し得るのか、そうした事例研究を是非とも行うべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(松本純君) 現在、一般道路上における応急作業に使用するレッカー車については緊急自動車の指定がなされておりません。これは、高速道路においては、事故車、故障車があると他の車両が高速走行しているため交通事故を誘発する危険性が特に高く、また高速道路の構造上迂回等もできずに著しい交通渋滞を招くおそれが特に高いことから緊急性が認められるのに対し、一般道路においては、高速道路と比べその緊急性が一般的には低いと考えられるためでございます。
一方、大規模災害時において被災車両を排除して災害応急対策を的確かつ円滑に行うことは重要な課題であると認識をしております。このため、レッカー事業者から具体的な事例を伺いながら、緊急走行が及ぼす一般交通への危険性も考慮しつつ、大規模災害時にどのような対応を行うことが可能なのか研究していくよう、警察庁を指導してまいりたいと思います。
○西田実仁君 研究いただけるということで、是非現場で、例えば東日本の大震災の際、あるいはゲリラ豪雨等で水害があった常総市等の場合に、レッカーの災害協定を結んでおられる民間の方が現場に行ってどういう場面に出くわして、どういうもどかしさを持ちながら人命を助けるために頑張ってきたのかということを是非お聞きをしていただきたいと思います。これは単にレッカーの業界団体の利益ということではなくて、まさに災害時に国民の命を救っていくことに直結する話でございますので、是非とも真摯な研究をお願いしたいと思います。
この緊急自動車の指定は、しかし、現状、レッカー車とクレーン付きの積載車のみとされてございますけれども、実際に現場でこの災害時に対応するのは、このレッカー車やクレーン付積載車に加えまして、工作車あるいは普通の積載車も道路管理者の要請により出動しているわけでございまして、その現場の実態に合わせた指定車両の見直しを行うべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(松本純君) この緊急自動車としての指定がなされているレッカー車に随伴し、レッカー作業の人員や資機材を運搬するために使用される積載車あるいは工作車についても、公益性及び緊急性が認められる場合には緊急自動車の指定が可能であります。
今後とも、緊急自動車の指定手続が適切に行われるよう、警察を指導してまいりたいと思います。
○西田実仁君 最後になりますけれども、このレッカーの作業中の事故というものが絶えません。昨年も、私どもが聞いているところでは、数名のレッカー隊員が作業中に事故に巻き込まれて亡くなっているとも聞いてございます。こうした作業中の事故、亡くなるという最悪の事態に至らずとも、事故をどのように現状を認識をされておられるのか。
このレッカー作業中、現状ではいわゆる警光灯の点火が許可されておらないと聞いております。現場では発煙筒の使用にとどまっておりまして、他の車の追突事故など、二次災害あるいは二次事故の可能性も正直高まっているというふうに思われます。レッカー作業という大変公益性の高い作業をする方々の二次事故を防ぐためにも、レッカー作業車の停車中の警光灯の使用を許可してもよろしいのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(松本純君) 作業中の事故に巻き込まれてお亡くなりになる方の状況でございますけれども、都道府県警察からの報告によりますと、事故車、故障車を車載車によって運搬し又はレッカー車によって牽引することに伴って発生した交通事故について、平成二十七年中は五件発生しましたが、死亡事故はありません。二十八年中は七件発生し、このうち二件が死亡事故でありました。
平成二十八年中の死亡事故について、一件は、自動車修理業者の車載車が現場に向かう途中、路上横臥者をひいて死亡させたという事故で、レッカー作業と直接関係はありませんでした。もう一件は、レッカー事業者の車載車が事故車両を積載作業中、当該車載車に追突したトラックの運転手が死亡したという事故がありました。
今後とも、レッカー事業に伴う交通事故の実態把握に努めてまいりたいと思っております。
また、緊急走行の必要がない場合、赤色の警光灯をつけることは道路交通法上想定されておりません。道路上における各種作業を行う上で安全を確保することは重要であり、停車してレッカー作業を行う際には、非常点滅表示灯の点灯や停止表示器材の設置などによって安全を確保するよう、各事業者に対する周知を図ってまいりたいと思います。
○西田実仁君 終わります。